神隠し10
馬車へ乗り込むと、ほどなく馬車が動き始めた。
良く物語などで馬車の振動などによる乗り心地の悪さが言及されたりしてるが、室内に居るのと変わりない乗り心地だな。
恐らくは小屋ほどのデカさを誇る馬車、その巨大な車輪が原因だろう。
多少の段差や小石ていどの影響など受けるはずもなく、ゆったりと進むように見えて巨体を誇る馬が牽くため移動速度は案外速い。
だが、巨大だからこそ振動が及んでないみたいなんだよ。
大きいことは良いことだっ!うん‼
そんな馬車の中に誂えてあるソファーへと座り、早速、文を読み始めることに。
いやね、言葉が通じんのじゃけぇしぁあんめぇ。
文を書いたのは女性らしい。
太平洋戦争末期に、こちらへと来てしまったのだとか。
迷い込んだ当初は8歳だったそうだ。
疎開先から、こちらへとな。
彼女の前は江戸時代初期に迷い込んで来た流浪人で建国王らしい。
それ以前にも何人かいるらしいのだが、神話レベルで語られる方々なのだとか。
この国には日本人しか招かれないが、外国では他国からの招かれ人もいたらしい。
マヨネーズやソースなどは他国伝来らしいぞ。
そして招かれ人の特長は真素操作に優れることらしい。
この世界は全て真那で構成され、真那が物質化せず気化しているのが真素らしい。
この真素を感じるのが真素感知であり、操るのが真素操作なんだとさ。
でたよ、ファンタジー要素がさ。
マジかいな…
この真素感知や真素操作は難しく、普通は行えないらしい。
それが招かれ人なら容易く行えるようになるのだとか。
文をしたためた女性は治癒の術に優れていたために聖女と呼ばれているらしい。
本人は外を走り回る方が性に合っているそうだが、聖女と言うことで自由にさせて貰えないと愚痴っているな。
なんと、巨木杭が連なる木壁は彼女の草案にて実現したそうな。
実はこの国、三方を森に囲まれた小国だったらしい。
そんな狭い国土も年々森に侵食され減っていたのだとか。
それを森歩きしていた聖女が見付けた緑真素を吸収する木の苗木を森の外輪部へ植えたことで改善。
多少は聖女が真素操作により苗木をコントロールする必要があるが、苗木が森より緑真素を奪い巨木と化すことで森からの侵食が止まる。
そこからは逆に人間の生息圏を広げ国土を得たらしい。
森から現れる害獣被害も木壁にて防ぎつつ、森を逆に侵食していったそうだぞ。
ってもな、神話の時代には森は大きくなかったらしい。
滅びた古代王朝が森に沈んだ後、多くの国が森に飲まれたそうな。
海辺の国や町が生き延び、狭い領土を奪い合う争乱の時代が続いたのだとか。
そんな争乱を鎮め国土統一したのが招かれ人の流浪人さんなんだと。
でぇ、俺は流浪人さんから数えて3人目…過度な期待されんよな?
俺ってばさ、一般ピーポーだかんよぅ…




