一騎当千(6)
6
「ただいま」
バイトが終わって、靴を脱いで家に上がる。連絡があって物達、しかも特大遊物と真似物がいたとのことも聞いた。ユイの部屋にノックしてもソーヘーの部屋にノックしても返事がなく、風呂にはいなくてリビングにもいない。
「まさかまだ島にいるとか?」
階段を駆け下りて機材室に入る。
「ユイ! 今どうなっ…………て……わぉ」
機材室に入るや否やソーヘーとユイが重なって寝ている。
「おお、これはこれは」
ポケットからスマホを取り出してカメラ機能を起動。とっとと写真を撮るぞ。へへ、こりゃいい酒のつまみになりそうだ。
──久々にお高い日本酒でも買ってくるか。
お金ないんだ、そういえば。
無音のシャッターがその面白い瞬間を切り取る。アルバムを見て写真を確認する。
「へへっ、こりゃあいいもの撮れた」
後でメイとリョーに見せてやろう。
眉間にシワの寄ったソーヘーは多分力が枯渇してるのだろう。髪の毛先が白っぽくなっている。
手短な所にある空のペットボトルを拾って浮遊させる。
そのまま機材室を出て階段を上がっていく。能力を解除させる。下からカランコロンと音がしてくる。
「ちゃんと寝てくれよ」
そのまま部屋の中へ入って行った。




