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心金を打つ ー 。  作者: 此花 陽


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3/20

三、 粉砕される虚栄


試験の内容は、

ある紛争地域の「再建案」を

提示することであった。


若者は、書物で得た知識と、

集落の掟から導き出した

「理想的な統治」を論文にまとめた。


それは完璧な論理であり、誰も傷つかない、

清らかな計画であった。


しかし、アウグストは

その論文を一読すると、冷酷に笑い飛ばした。



「……ゴミだ。君の知性は、

 紙の上の遊戯に過ぎない」



「な、何だと……」



「君は、現地の人間が飢えて

 土を喰らっている現実を知らない。


 君の言う『高潔な品性』が、

 どれほど彼らを苛立たせ、

 さらなる暴動を招くか、想像すらできない。


 君はただ、自分自身を

 『美しく見せたい』だけなのだ」



若者は激昂した。



「私の知性を侮辱するか!

 私は掟を学び、礼を重んじ、

 誰よりも自分を律してきた!」



「いいや、君は何もしていない。

 君はただ、親の温室の中で『正解』を

 暗記してきただけの操り人形だ。


 君の言葉には、一滴の血も通っていない__」



アウグストの言葉は、

鋭い刃となって若者のプライドを切り裂いた。


そして、追い打ちをかけるような報せが届く。


彼が論文で提示した

「理想的な村」のモデルとして

挙げた集落の一つが、現地の野盗に襲われ、

壊滅したというのだ。


彼の「無知な正義」が、

現実の冷酷な力によって踏み躙られた。



「痛いか、若者よ。

 それが『現実』という名の痛みだ。


 君が捨てた親は、

 君をこの痛みから遠ざけたかったのだろう。


 だが、君は自らこの門を潜った。

 

 ならば、その『無知ゆえの罪』を、

 一生背負って生きるがいい」



若者は、初めて膝をついた。


ルミナスの白亜の床は冷たく、

彼の頬を流れる涙さえも、

傲慢な知性の破片として

砕け散るようだった___。

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