三、 粉砕される虚栄
試験の内容は、
ある紛争地域の「再建案」を
提示することであった。
若者は、書物で得た知識と、
集落の掟から導き出した
「理想的な統治」を論文にまとめた。
それは完璧な論理であり、誰も傷つかない、
清らかな計画であった。
しかし、アウグストは
その論文を一読すると、冷酷に笑い飛ばした。
「……ゴミだ。君の知性は、
紙の上の遊戯に過ぎない」
「な、何だと……」
「君は、現地の人間が飢えて
土を喰らっている現実を知らない。
君の言う『高潔な品性』が、
どれほど彼らを苛立たせ、
さらなる暴動を招くか、想像すらできない。
君はただ、自分自身を
『美しく見せたい』だけなのだ」
若者は激昂した。
「私の知性を侮辱するか!
私は掟を学び、礼を重んじ、
誰よりも自分を律してきた!」
「いいや、君は何もしていない。
君はただ、親の温室の中で『正解』を
暗記してきただけの操り人形だ。
君の言葉には、一滴の血も通っていない__」
アウグストの言葉は、
鋭い刃となって若者のプライドを切り裂いた。
そして、追い打ちをかけるような報せが届く。
彼が論文で提示した
「理想的な村」のモデルとして
挙げた集落の一つが、現地の野盗に襲われ、
壊滅したというのだ。
彼の「無知な正義」が、
現実の冷酷な力によって踏み躙られた。
「痛いか、若者よ。
それが『現実』という名の痛みだ。
君が捨てた親は、
君をこの痛みから遠ざけたかったのだろう。
だが、君は自らこの門を潜った。
ならば、その『無知ゆえの罪』を、
一生背負って生きるがいい」
若者は、初めて膝をついた。
ルミナスの白亜の床は冷たく、
彼の頬を流れる涙さえも、
傲慢な知性の破片として
砕け散るようだった___。




