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第0話 百年後の君たちは

——よし、これでいいはずじゃ。こほん、聞こえているか?わしの名前は麻璃亜(まりあ)。今からお主にメッセージを残す。お主がいる時代にはもう、わしはおそらく居ないじゃろう。それを見越して、じゃ。色々突っ込みどころがあると思うが最後まで聞いとくれ。それで本題なんじゃが、お主にわしの娘達を頼みたい。娘達はな、十つ子でみんな個性がバラバラなんじゃ。その上自由気ままで気にかけることも沢山ある。それに加えて娘達はそれぞれ能力を持っていてな。これは秘密じゃぞ。だからこそ、お主に頼みたいんじゃ。わしは、お主にならこの役目を全うできると信じておる。ふふ、不安じゃろ〜、なんとなくわかるわい。わしだって最初は不安でいっぱいじゃったぞ。この子達の母親代わりになれるかどうか……死なせたらどうしようかとか……。誰だって最初は初心者じゃろ?気楽にいけばいいんじゃぞ。気楽にいけば。そういうことで、あとはよろしく〜……と言いたいんじゃが、まだ娘達のこと、何一つ知らないじゃろ?じゃ、簡単に他己紹介といこうではないか。

 まずトップバッターを飾るのは長女、紫苑(しおん)!紫苑は重度の引きこもりでゲームとネットサーフィンに明け暮れておる。……悪口じゃないぞ。じゃが、妹想いでとーっても優しい子じゃ。ポテチが好きじゃからポテチを持って会いに行くと喜ぶぞ。まあ、喜ぶ姿は滅多に見せんけどな……。恥ずかしがり屋さんなんじゃ。ふふ、かわいいじゃろ?言い忘れておったが、わしには娘、息子は山ほどいる。実はわしは孤児院を運営していてな。血は繋がっておらんが皆わしの子供じゃ。わしはそういうスタンスで子供を育てておる。

 じゃあ次じゃ、次女、葵(あおい)!葵は超頭が良くてな。激ムズ試験を難なくこなせて資格も沢山持っておる。小さい頃からじゃぞ。おまけにテストで一回も間違えたことがないときた。羨ましいのう〜。普段は研究や発明に没頭しておって紫苑みたいに引きこもっておるんじゃ。いや〜、困ったもんじゃの〜。でも引きこもっていても大事な時には出てきてくれるんじゃ。姉妹に会いにな。紫苑もそうじゃ。も〜、みんなかわいいのう〜……おっと、親バカが出てしもうた。失礼、失礼。お主も、わしの娘達のかわいさに胸を射抜かれると思うぞ。ふふっ。

 次、三女、桃花(ももか)!桃花はの〜、とーっても優しいんじゃ。わがままを言ったことがない気がするのう。誰かに怒ったこともないし……いっつもにこにこしているのう。そうそう、動物が大好きで動物に対しても優しいんじゃ。……って優しい優しいうるさいのう、わし。でもそうなんじゃ。ほんっと〜に優しくて……あの子はもう天使じゃのう。うん、そうじゃ、天使じゃ。そういうことにしておこう。皆んなわしの天使じゃが、よく皆んなからも天使、と呼ばれておるぞ。会ってみればわかる、かわいいやつじゃ。

 そんじゃ、次、四女、橙子(とうこ)!橙子は元気いっぱいで明るい姉妹のムードメーカーじゃ。運動が大好きで格闘技が得意なんじゃぞ。橙子にかかれば大柄な男でも軽々持ち上げて倒してしまうんじゃ。腕相撲だって負けたことがないんじゃよ。ひえ〜、恐ろしい子……。じゃが勉強はちょっと苦手で、テストでは毎回赤点をとってしまうんじゃ。まあ、人によって向き不向きはあるから仕方ないのう。橙子と居ると自然と元気がもらえる気がするぞ。そうじゃ、ダンスも得意なんじゃよ。よくキレッキレのダンスを披露してくれるぞ。お主も一緒に踊ってみるのもいいかもしれんな。

 次じゃ、五女、黄菜(きいな)!うーん、この子が一番説明が難しいんじゃ……。黄菜は……喋っているところを見たことがないのう。表情もぴくりとも動かしたことがないし……謎じゃ。この子だけ能力がわからんし、あまり動かないんじゃ。あ、ご飯が大好きなんじゃ。す〜ごく大食いなんじゃぞ。必要最低限のことだけ動くんじゃ。あとは……多分、めんどくさいだけだと思うが……。むむむ、やはり説明が難しいのう。そういえば、赤子の頃から泣いたことがなかったような……。とにかく、黄菜のことも気にかけてくれるとわしは嬉しいぞ。

 お次は〜六女、碧(みどり)!碧は超努力家でストイックな子じゃ。能力に依存せず、能力を格段に極めようとする心意気。ん〜、素晴らしいのう。わしも碧を見習って魔法の特訓でもしようかの〜。そしてそして、ここだけの話じゃが碧は実は秘密組織の総統なんじゃ。わしも経緯はあまり知らんが能力を見出されてトップに上り詰めたらしいぞい。いや〜、若いって素晴らしいのう。わしも若いうちに色々やっておけばよかったかの……。……ん?今は若くないのかって?いや〜それはどうかのう。わしはまだまだ現役……と言いたいところじゃが、もう引退かもしれんな。まあいい。

 よし、次、七女、藍沙(あいさ)!藍沙は生真面目で芯の強い子じゃ。剣術を極めておって、誰かを守ることを己の使命とする優しい子なんじゃぞ。そうそう、剣術もそうじゃが日本の文化が好きで、よく和菓子やお茶を嗜んでおる。いわゆる茶道じゃな。お団子とかよく一緒に食べたのう……もう今はそれも叶わないが……。……なんてな、ちょっとしんみりしちゃったのう。悪い悪い。それはそうと、藍沙の剣術は木刀を使う珍しい流派だった気がするのう。藍沙の優しさが出ておるな。うんうん、たくましく育ってくれて、わしは嬉しいぞ。じゃ、次の子の紹介にうつるか。

 八女、蓬(よもぎ)!蓬はいーっつも寝ておって、起きている時もなーんか眠たそうなんじゃ。そのせいで学校の授業をまともに聞けてないらしいんじゃ。いつも「またせんせ〜に怒られちゃったわ〜。うふふ♡」って言ってるのう。笑い事じゃないと思うが……ま、蓬が良ければそれで良し。わしは子供達の意見を尊重してきたつもりじゃ。お主も、子供達のことを大事にしてやってくれ。よいな?ふふ、さっきも言ったが気楽でいいんじゃぞ。で、蓬の紹介に戻るが……性格はおっとりしていてゆったりとした話し方が特徴じゃ。桃花と同じようにいつも笑っているんじゃが……桃花と違って……なんか……含み笑いみたいなんじゃ。う〜ん、目が笑ってないというか……本心なのか定かではないのう。怖くは……ないぞ。多分。じゃが、いつか蓬が心から笑ってくれる時が来ることを願っている。きっと蓬なら大丈夫じゃ。とにかく、蓬の事も気にかけてやってくれ。

 そんじゃ、次!九女、白愛(はくあ)!白愛は引っ込み思案で恥ずかしがり屋。誰に対しても敬語で話す真面目な子じゃ。すこーし人と話すのが苦手でいつももじもじしておる。そこも白愛のいい所なんじゃが、会話にも支障が出るからのう……。ま、白愛は頑張り屋じゃからのう〜。きっと大丈夫じゃ。あと、白愛は花や植物が好きでよく話しとるぞい。驚くでない。誰と話すのも自由じゃろ?いいんじゃよ。で、植物とは普通に話せるらしいんじゃ。でも、本人は恥ずかしいらしいから見なかったことにしといてくれ。

 そしてそして、ラストを飾るのは十女、紅緒(べにお)!最後は我らが末っ子、紅緒じゃ。通称べに、じゃ。お主もそう呼んでくれ。べにはミーハーで流行に敏感。ストバに通い、友達と街を歩き、可愛いものが好き……。ナウいってやつじゃな。……あ、ストバはコーヒー屋じゃ。一見ただの女の子に見えるが実はすごーくしたたかなんじゃ。抜け目がなくてしっかりやる時はやる子じゃ。恐ろしや……。でもでも、べにと一緒にいればきっと楽しいぞ。それと……べには夜中に出かける癖があってな。どこに行っているのかは教えてくれないがのう。

 ……そんなわけで、十つ子の他己紹介は終わりじゃ。どうじゃ?みんな個性的じゃろ?……でもな、わし、思ったんじゃが……お主にこんな大役を任せていいのかと思ってるんじゃ。なぜって、あの子達は……っと、危ない危ない。これは秘密じゃった。兎にも角にも、重大な役目じゃからお主が気を負わないかってことじゃ。うーむ、まあ、大丈夫か。お主は特別じゃからな。ってまーた喋ってしもうた。わしの悪い癖じゃ。直さんとな〜。よし、ま〜、こんなもんじゃろ。というか、もう時間がないんじゃ。最後に一つだけ、「迷ってもいい、心だけは捨てるな。」じゃ。意味は……まあ、ゆっくり考えるといい。おっと、時間じゃ。準備はよいか?母としての願いは子の健やかな成長じゃ。十人の異才が放つ夢物語。朝日昇る時月は眠り、彩り鮮やかやがて朽ちる。さあ、開幕じゃ!

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