お父様の謎
お父様に跡取り指名されてから、学園帰りや学園の休日にはお父様の商会に連れて行かれ、仕事のあれこれを教えられるようになった。
「学業がありますから卒業後でいいんじゃありませんの?私、大変ですわ!」
と、お父様に初めての反抗をしたところ。
「学園で習う内容は、全て家庭教師から習い終わってるから。君は非常に優秀だったと褒めていたよ。覚えたことはけして忘れないって」
なんと?小さな頃からのあの大変な勉強は学園で習うものだっただと?
「優秀な生徒だったから、つい高等部の内容も教えたと言っていたよ。
だから、学業が大変なんてことはないんじゃない?」
「なんですって!?」
お父様の発言にびっくりして声を上げる。
高等部の内容まで習い終わっているだと?
学園に入学してから、習う内容は知っていることばかりでまだ入学したばかりだからかなー、と何も考えずにいたが、そういうことだったのか?
「お友達と遊びたいのに・・・」
しょぼん、と呟くと、
「え!?あ、いや、もちろんトゥーリアが用事があるときはそっちを優先していいんだよ!?」
お父様が焦ったように言う。
チョロいな、フッと思ったが、
「でも、頼りにしてるから仕事も覚えてね?」と、お父様に釘を刺された。
そこは譲らないのね、お父様・・・。
どうやら、お父様は私に過度な期待をしている様子。ならば、私がいかに役に立たないかを見せれば、私を跡継ぎになど血迷った考えを見直すでしょう。
と言うわけで、私は父の仕事を手伝うことにしたのだが・・・。
「お嬢様!この書類のご確認をお願い致します!」
「お嬢様?大変申し訳ありませんがイェリ国から運ばれた荷の説明文について難解なところがございまして・・・」
「お嬢様ー、サインくださーい」
役に立たないことを見せようとしたはずが、いつの間にかお父様の部下から決裁を求められるようになってしまった・・・。
ある日、お父様の商会に連れてこられ、帳簿や業務の説明をお父様の部下から受けているうちに、前世事務職をしていた経験から、つい商会の書類や、業務改善をしてしまったのだ。
だって、書類をもっと使いやすくすれば仕事楽になるでしょ!?計算だって計算機がなければ、九九を覚えておけば能率上がるよね!うっかり、算盤開発しちゃったよ!
気づいた時には、
「さすが、旦那様のお嬢様・・・!」
と、部下の方から賞賛を浴びていた。
ふふっ。つい仕事を能率良く終わらせたいと前世の自分が暴走してしまったようだ。
おバカすぎる・・・。
仕方がないとお父様の仕事を手伝うようになって、見えてきたことがある。
お父様は、スペック高すぎ。
何ヶ国もの言葉を喋り、身のこなしも洗練され、堂々と部下に命令する姿。
家ではニコニコとほんわかとしているのに、会社では無表情に近い。お客様の前ではそつない笑顔を浮かべるけど。
(お父様は、何者?)
以前から、なんとなく思っていた疑問。
本当にこの人は、平民上がりなの?
美しい容姿、生まれながらの貴族であってもおかしくない。
社交会で妻をお金で買った男と風評があるけれど、それは夜会などパートナーと参加するべき所に、お母様を連れて行かないことにも起因する。
あんなに、仲がいいのに。
バッドエンド時、ルケンティヒ国と通じていたと、お父様とトゥーリアは断罪を受けた。
・・・もしかして、それは真実に近いんじゃないか?
私は、考えて、ぶるりと体を震わせた。




