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理系令嬢、没落公爵家を科学で救う  作者: 此花サギリ


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第35話 王都を揺るがす煌めき

王都の街は、今やかつてないほどの賑わいを見せていた。マリアンヌ・フォン・ルーベルが開発したクズ石アクセサリーと化粧品は、王宮内にとどまらず、貴族や商人の間にも広まりつつあった。煌めく輝きは、華やかな宝石に勝るとも劣らぬ存在感を放ち、王都の女性たちの間で瞬く間に話題となった。


「まさか、こんなに早く流行するとは……」


商会の従業員たちも驚きを隠せない。王家の後ろ盾、青田刈りで育てた人材、そしてマリアンヌ自身の才覚が一体となり、クズ石は単なる副産物ではなく、王都全体を揺るがす“新たな煌めき”となっていたのだ。


しかし、流行が広まる一方で、王都の令嬢たちの間には嫉妬と焦りの色が広がっていた。特に、アンベシル伯爵家の令嬢は、王宮でも有数の財力と名声を誇り、これまでの社交界では無敵とされていた。しかし、マリアンヌの登場によって状況は一変した。


「何よ……あの令嬢……ただの副産物をこんなに魅力的に変えて……」


アンベシル伯爵令嬢は鏡の前でクズ石アクセサリーを手に取りながら、心の中で怒りを噛みしめる。これまで高価な宝石で築き上げた自分の立場や人気が、幼き令嬢によって脅かされるとは思ってもみなかったのだ。


彼女は策略を練り始める。王都の社交界でマリアンヌの評判を下げる噂を流すこと、彼女の作品や事業を批判すること、そしてできるだけ早く王太子の関心を自分に向けること。すべては、マリアンヌの勢いを削ぎ、王都での影響力を奪うための作戦だった。


一方、王太子は報告書を通して流行の様子を確認しつつ、心の中でため息をつく。


「やはり、彼女はただの令嬢ではない……社交界を制する力も、事業の才覚も持っている」


王太子は、アンベシル伯爵令嬢の策略に気づきつつも、マリアンヌへの興味は揺らがない。むしろ、彼女の無関心さや独立心が、王太子の心をさらに強く惹きつけるのだった。マリアンヌは誰に媚びることもなく、自分の理想と計画に忠実に行動している。それこそが、王太子が彼女に惹かれる最大の理由だった。


王太子は決意する。


「彼女の活動を見守り、必要な支援は王家として提供する……そして、どんな策略にも惑わされず、彼女の価値を見極める」


その夜、王宮の窓辺で王太子は思う。王都の夜景に映える街灯と、煌めくクズ石のアクセサリーに身を包んだ令嬢たちの姿。社交界は騒然としているが、その中心には、冷静に事業を指揮するマリアンヌがいた。


「彼女はすべてを計算している……いや、計算を超えて、本能で最良の選択をしている」


翌日、アンベシル伯爵令嬢は、王都の噂や流行に焦りを感じつつも、マリアンヌの評判を落とす策を進める。社交界の集まりで、わざとマリアンヌの作品を批判したり、手に入らない限定商品を求める女性たちに不満を煽ったりするのだ。しかし、マリアンヌの名声はすでに確立されており、努力や策略が逆効果となることが多かった。


「王太子の目も……完全にマリアンヌに向いているわね……」


アンベシル伯爵令嬢は心の中で苛立ちを覚える。彼女の策略は一部の令嬢を惑わせる程度で、マリアンヌの魅力と実力の前にはほとんど無力だった。


一方、マリアンヌはタウンハウスで落ち着きなく実験を続けていた。アクセサリーの新デザイン、化粧品の改良、流行に合わせた限定セットの製造……彼女は社交界の騒ぎには目もくれず、自らの事業の発展に集中する。その無関心さが、王太子の心をますます惹きつけていた。


「無関心でいるのに、これほどまでに注目を集める……すごい少女だ」


王太子は思わず独り言を漏らす。王宮内の誰も、この心境は理解できないだろう。マリアンヌは社交界の中心にいるのに、決してそれに依存せず、事業と才能で自身の存在を示している。


王都全体が、マリアンヌのクズ石の煌めきに魅了される中、王太子は自らの感情と使命を再確認する。彼女を守り、支え、必要なときには王家として後ろ盾になる――そして、どの策略も届かぬほど、彼女の価値を正当に評価する。


社交界での嫉妬や策略、流行の波は止まらない。しかし、タウンハウスで黙々と事業を進める令嬢の光は、王都全体に広がり続ける。そして王太子はその光景を、誇らしく、そして胸を高鳴らせながら見守るのだった。



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