第26話 幼き令嬢と無害化粧品革命
王都でのレストランと服飾革命が成功したマリアンヌ・フォン・ルーベルは、次なる挑戦を思い描いていた。厨房や服飾事業の合間に日誌を開き、ふと化粧品の棚に目をやる。
「この世界の化粧品……前世の知識で見ても、成分が危険すぎる。肌を傷めるものが多いわ」
王都の貴族や市民たちは、高価な化粧品を使いながらも、肌荒れやかぶれに悩んでいる者が少なくなかった。マリアンヌは、科学的知識と化学の理論を応用し、毒性のない化粧品の開発を決意する。
まず彼女は、前世の化学知識を応用して、肌に優しい成分の調査を始める。植物エキス、天然油脂、精製水、保湿成分……化学反応や保存性を計算し、毒性やアレルギー反応が出ない組み合わせを選定。領地のセバスチャンには、詳細な製法を送付して試作を依頼した。
「領地の研究室で安全性確認、王都で最終調整……二段構えで進めれば、絶対に安全な化粧品が完成するわ」
試作が届くと、マリアンヌは王都の実験室で微調整を行う。香料の配合、保湿成分の比率、クリームや石鹸のテクスチャーまで、科学的に分析しながら改良する。領地のセバスチャンからも、試作結果のデータが詳細に送られてくる。
「これなら肌荒れしないし、香りも優しい……しかも見た目も上品に仕上がるわね」
完成した化粧品は、王家に献上することにした。王妃に試してもらい、安全性と効果を確認してもらうことで、自然と王都での認知度と信頼を高めるのが狙いだ。
王妃は香りを確かめ、少量を肌に塗る。しばらくして肌の感触を確かめた後、満足げに微笑む。
「マリアンヌ、この化粧品は素晴らしいわ。肌に優しく、香りも良い……王都の女性たちに絶対喜ばれるわね」
王妃は公務や舞踏会でも使用することを約束し、自然と広告塔となった。これにより、毒のない化粧品の評判は瞬く間に広がり、王都の商会での注文が殺到する。
「王妃様の後ろ盾と領地の生産力があれば、全国展開も可能ね……セバスチャン、次の生産分も頼むわ」
領地では、セバスチャンが従業員や領民と協力して生産ラインを整備。原料の品質管理、保存性の確認、包装の改良まで、科学的に管理されている。王都と領地の連携が、化粧品革命を可能にしていた。
夜、マリアンヌは日誌に今日の成果を書き込む。
•毒のない化粧品完成
•王妃への献上と評価
•領地での生産ライン整備
•商会での販売戦略
•全国展開に向けた広告・宣伝計画
「科学と知識、工夫、領民の力、王家の後ろ盾……四つ揃えば、どんな革命でも可能なのね」
窓の外に広がる王都の夜景を眺めながら、マリアンヌは次の構想を練る。レストラン、服飾、化粧品――すべて科学的知識と領地の協力、王家の後ろ盾で支えられている。これからも王都と領地を連携させ、全国規模で文化と産業の革新を進めるのだ。
「美食も服飾も化粧品も……私の手でこの世界の常識を塗り替える」
拳を握りしめ、マリアンヌは決意を新たにした。幼き令嬢の挑戦は、王都から全国へ広がる新たな革命の章を刻み始めたのだった。




