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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第5章 異世界生活5日目以降 ファスタル裏通りのマッピング~地下遺跡
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異世界生活7日目 朝練~マッピング~発見

『おはようございます、ユウトさん。

 入っていいですか?』


 というサラさんの声で目が覚めた。


「どうぞ~。」


 半分寝ぼけているが、サラさんならいつ入ってきても構わない。

 いや、なんだったら、確認せずにそのまま布団に入ってきても構わない。

 確か、昔のエロゲでは幼馴染とかが起こしに来て、そのまま朝の運動をする、みたいな展開がよくあったみたいだけど、あれって今でもあるんだろうか。

 現実にあるなら、俺も体験してみたい。

 まあ、サラさん真面目だから、望むべくもないんだけど。


『すみません。

 起こしちゃいました?』


「いえ、どっちにしてもそろそろ起きないといけない時間でしたから助かりました。

 じゃあ、中庭に行きますか?」


『はい。

 行きましょう。』


「ルッツ、行こう。」


 昨日の約束通り、三人(二人と一匹)で中庭に行くことにした。



 中庭に着くとおっさんがいつも通り暴れていた。

 いや、昨日刺激を受けたせいか、いつにも増して激しく暴れていた。

 邪魔するのも悪いので、声はかけずにいつもルッツと遊んでいる場所に移動した。


『いつもはどうやって運動してるんですか?』


「ああ、俺がこの棒を投げて、ルッツとどっちが先に取れるか競争してるだけですよ。」


『そうなんですね。

 じゃあ、今日は私も一緒に競争ですね。

 よろしくお願いします。

 ルッツ君もよろしくね。』


 そう言いながら、サラさんはルッツの頭を撫でている。


「じゃあ、いきますよ。

 最初は軽くいきますね。」


『はい。』


『わん。』


 サラさんとルッツの声が被る。

 俺はそれを微笑ましく思いながら、軽めに棒をなげた。


 同時にサラさんとルッツが走り始める。

 やっぱりルッツの方が早いみたいだな。

 最近、ルッツはどんどん走るのが早くなってきてる気がするし、俺もそんなに余裕で勝てるわけじゃない。

 よし、行くか。

 俺も走り出した。

 結局最初はルッツが棒を取った。


『ルッツ君、走るのすごい早くなってますね。

 前に一緒に運動してから、まだ数日しか経ってないのに。』


「そうなんですよ。

 まあ、最初は栄養状態も良くなかったみたいだから、あんまり全力で動けてなかったのかもしれません。」


『そうですか。

 このままじゃ、私だけどんどん置いていかれちゃいますね。

 がんばらないと。』


「いや、まあ、俺とかルッツに合わせる必要もないですから、適度に運動してくれたらいいと思いますよ。」


 サラさんは向上心がめちゃくちゃあって、とてもいいことだとは思うんだけど、一応、俺はずっとスポーツを続けてきた男だし、ルッツはやたら元気な大型犬だし、女性が一緒に運動するのはちょっと厳しいと思う。


『いえ、もっとがんばります。

 がんばらないと、足手まといになりますから。』


 サラさんは一体何と戦っているんだろう。

 中庭で犬と遊ぶのに足手まといもなにもないと思うんだけど。

 まあ、本人ががんばると言ってんだから任せとけばいいか。


「分かりました。

 でも無理しないでくださいね。

 疲れたら、休憩してくれたらいいですから。」


『はい。

 お気遣いありがとうございます。』


 それから、しばらく三人で走り回った。

 途中でサラさんは限界がきたらしく、悔しそうに休憩をしていた。

 いや、ただ遊んでるだけなのに、そんなに悔しそうにしなくてもいいのに。


 いつも通り、一時間くらい遊んだ後、帰ることにした。


「じゃあ、そろそろ帰りましょうか。」


『はい。

 本当にユウトさんもルッツ君もすごい体力ですね。

 ずっと動きっぱなしだったじゃないですか。』


「ええ、まあ。

 俺、昔から周りの人に体力オバケって言われてましたから。

 体力には自信あるんですよ。

 でも、多分統括には負けますよ。

 ほら。」


 と言って、統括の方を指さす。

 相変わらず統括は元気に暴れ回っている。


『ああ、あの人は規格外ですから。

 比べるのもあほらしい、ってみんな言ってます。』


「そうでしょうね。

 俺もあの人には勝てる気がしないですから。」


 そんなことを話しながら帰宅した。


「一応、いつもはシャワーを浴びてから食堂で朝ご飯を食べるんですけど、今日もそれでいいですか?」


『はい。

 私も汗かきましたし、シャワー浴びたいです。

 ユウトさんお先にどうぞ。』


「はい。

 じゃあ、すみませんけど、先にお借りしますね。」


 口ではそう言ったけど、一緒に浴びたらいいのになあ、とか考えていた。

 いかんな、今日はなぜだか、思考が卑猥な方に寄っていく。

 自制しないと。

 


 俺がシャワーを浴びた後、サラさんが浴びている間にマッピングの準備をすることにした。

 基本的には、昨日と同じ用意で構わないはずだ。

 一応、護身用にヨーヨーも持っていく。

 でも、このヨーヨーって武器として使うのってあんまり使い勝手よくないんだよな。

 ぶん回さないと攻撃できないし。

 もっと使い勝手のいい武器も手に入れとこう。

 裏通りは危険がある、ってみんなやたらと言うからな。

 舐めていたら痛い目にあうことがあるかもしれない。

 まあ、大丈夫だと思うけど。


『お待たせしました。

 準備できました。』

 

 サラさんの準備ができたらしい。

 

 全員の準備が整ったので、食堂で朝食を摂ることにした。

 サラさんを待っていたのもあって、いつもよりは遅い時間になっていたから、ちょっと混んでいたけど、席がないというほどじゃなかった。

 おっさんはすでに食べ終わったみたいで、姿は見かけなかった。

 別に会いたいわけじゃないから、どうでもいいが。


 食事後、研究所を出る前に一度総務課に寄った。

 昨日までの調査結果を報告しておこうと思ったためだ。

 報告は特に問題なく、すぐに終わった。

 進捗が思ったよりずっと早かったみたいで驚かれたが、データを確認した担当の人がすぐに報酬も渡してくれた。

 約束通り、きっちり20万もらってしまった。

 20万。

 俺の元の世界にいた時の手取り月収がそんなもんだったから、2日働いただけで月収分稼いだような気になってしまった。

 これは、ますます日本に帰る気がなくなるな。

 ついでに、調査はどこまでした方がいいのか?という質問もしておいた。

 総務課から依頼者に問い合わせてくれることになったので、数日内には返事がくるらしい。


 そんな細々とした用事を済ませた後、研究所を出た。

 しばらくファスタルの大通りを歩いていると、サラさんが


『今日はどのあたりの調査をされるんですか?』

 

 と尋ねてきた。


「そうですね。

 最初に雑貨屋までの道から計測し始めて、今はその周りのデータを取っていってるところですね。

 今日も昨日の続きから始めますから、一応、雑貨屋につながっている道の奥の方の調査、という感じです。」


『私、最初に裏通りで迷ってから、ずっと裏通りは怖かったんですけど、今日はユウトさんが一緒だから安心ですね。』


「まあ、俺もまだほんの一部が分かるようになっただけですから、まだまだ気を付けないと迷う可能性はありますけどね。」


『でも、ユウトさんなら迷ってもすぐに帰ってこれるから大丈夫ですよ。』


 全幅の信頼を置かれているようだ。

 期待を裏切らないようにしないと。


「まあ、地図を描きながら移動するので、動くスピードは遅いですし、周りに注意しながら歩くので、迷うことはないと思いますよ。

 と、ここから裏通りに入りますね。」


 と言って、裏通りに足を踏み入れた。

 サラさんも特に怖がるでもなくついてくる。


 しばらく歩いた後、昨日の計測終了地点に着いたので、


「じゃあ、ここから始めますね。

 とりあえず、10m間隔くらいでプロッタを設置して計測していきます。」


『はい。

 私は見学してますので、いつも通り進めてもらって構いませんよ。』


 まあ、横にサラさんがいる時点でただの作業がデートの一環みたいに感じられるから、全然いつも通りの気分ではないが、とはいえ、仕事なので作業は普通に進めていく。



 しばらく作業を続けた。

 一応、ひと段落したところで、昼前になっていたので、サラさんと昼食をとることにした。


「お昼にしようと思いますけど、どうします?

 何か食べたいものとかありますか?」


『私はなんでもいいです。

 ユウトさんは昨日とかは何を食べていたんですか?』


「昨日と一昨日の昼は店に入るのが面倒だったので、大通りの露店で軽食を買ってベンチで食べました。」


『じゃあ、それがいいです。』


「別にいいですけど、おいしくはないですよ?」


『いいんです、ユウトさんと一緒ならなんだって。』


 相変わらず、かわいらしいことを言ってくれるなあ。

 一応サラさんは王族のはずだけど、あんまりそんな感じじゃないんだよな。

 まあ、雑貨屋店主の話ではそれぞれの国はけっこう小さいみたいだし、あんまり王女様って感じでもないのかもな。

 街の人はけっこう気を使ってるっぽいけど。

 なんでもいいか、今は飯だ。

 

 大通りに出て、適当に目に入った露店で軽食を買った。

 今日買ったのはタコスっぽいやつだ。

 サラさんの分と合わせて二つ買った。


「はい、どうぞ。」


『ありがとうございます。

 頂きます。』


 サラさんと並んでベンチに座ってファストフードを食べる。

 これってデートだよなあ。

 サラさんの様子を見ても俺に好意を抱いてくれてるのは間違いないと思うんだけど、それが異性に対するものなのかどうかがよく分からない。

 俺は奥手って程ではないと思うんだけど、女性関係に関してはあんまり自分の判断に自信が持てないんだよな。

 そろそろもうちょっと仲良くなりたいんだけどな。

 よし、ちょっと世間話でもして親睦を深めるか。

 

「ところで、サラさん。」


『はい、なんでしょう?』


「サラさんは普段のお休みは何をしてるんですか?」


 サラさんの動きがピタッと止まった。

 あれ?

 変なこと聞いたか?


『休み、ですか。

 そうですね。

 何をしてる、というのはあんまりないですね。

 私、一緒に遊びに行ってくれる友達っていないですし。

 たまにお姉ちゃんとファスタルで買い物をすることはありますけど。

 それ以外は大体家にいますね。』


 サラさんが暗い顔で語りだした。

 これ、聞いたらダメなことだった?

 え、地雷ってこんなとこに落ちてんの?


『まあ、元が暗い人間なのかもしれませんね。

 だから、全然友達ができないのかもしれません。』


 あ、止めないとやばい。

 サラさんの闇が暴走しかけてる。


「あの、サラさん、変なこと聞いてすみませんでした。

 サラさんは暗くないですし。

 とても魅力的だから大丈夫ですよ。

 友達がいないのは、そう、きっと忙しいからですよ。

 なかなか時間が取れないから、遊びに行く暇がないだけですよ。」


『そう、でしょうか。』

 

「そうです。

 大体、俺がいるじゃないですか。

 俺なんて、サラさんから遊びに誘ってもらったら、いつだってついて行きますよ。」


『本当ですか?

 ずっと私と一緒にいてくれますか?』


 それは聞き方によってはプロポーズに聞こえるな。


「もちろんですよ。

 俺はいつだってサラさんのそばにいますよ。」


 我ながらいい加減なこと言ってるな、とは思ったが、サラさんは真剣なので、茶化すようなことはしない。

 別に嘘をついているつもりもないし。


『ありがとうございます。

 じゃあ、これからはサラさんじゃなくてサラって呼んでください。』


「え?」


 え?

 なんで今の話の流れでそうなったんだ?

 親愛の情を表せってことなのか?

 いや、呼び捨てで呼ぶのは構わないんだけど。

 女の人を呼び捨てで呼ぶのってすごい照れくさいよね?

 特にちょっと意識している人を名前で呼ぶのってなかなか抵抗感があるよね。


『やっぱり、ダメですか?』


「いや、いいです。

 サラ。」


『はい。』


 サラさんはとても嬉しそうな笑顔をしたのだった。

 ちなみに俺は自分のことも呼び捨てで呼んでくれ、とは言えなかった。

 照れくさかったからだ。



 その後、しばらく話していたが、どうやら今まで王族ということで周りに気安く接してくれる友達がいなかったらしい。

 ニグートの学院に所属していた時もなかなか友達ができずにさみしい思いをしていたと言う。

 ユラさんには結構友達がいっぱいいて(武器屋のおっさんとか)、みんなユラさんに気安く接しているのがうらやましかったが、自分はユラさんのようには振る舞えないからと悩んでいたらしい。

 だから、さっきサラと呼ぶように頼んだっぽい。

 俺はいきなり言われて驚いたが、家族以外から呼び捨てで呼ばれることに憧れがあったようだ。


「まあ、俺で良ければ友達でもなんでもなります。」


 とは言ったものの、俺は友達以上になりたいんだけどな。


『ありがとうございます。

 最初に会った時から、ユウトさんは私の大事な友人になってくれると思ってました。』


 そう言ってほほ笑むサラさんはとてもかわいいんだけど。

 うーん、さっきからサラさんの言い方が大げさだな。

 よっぽど悩んでいたんだろう。

 こんなにかわいくて、いい人なサラさんにも悩みがあるんだな。

 俺にできることなんて、たかが知れているが、できるだけサラさんの力になるようにしよう。


 とりあえず、このまま話しててもサラさんの変なテンションが回復しそうな気がしなかったので、


「じゃあ、そろそろマッピングに戻りましょうか。」


 気分を切り替えてマッピングに戻ることにした。


『はい。

 午後からもがんばりましょう。』


 サラさんも切り替えてくれるみたいだ。



 それから、午後は黙々とマッピングを行った。

 一応、会話はしていたが、ちょっとぎくしゃくしてしまったのは仕方がないと思う。


 作業自体は順調に進んでいた。

 ある意味、会話が弾まない方が作業は進むかもしれないしな。

 その日は、最初は雑貨屋周辺を計測していたのだが、進めるうちにどんどん細い道が現れて、例によって、俺はしらみつぶしにしたい方だから、細い道も逃さず計測を行って地図を作っていった。



 その場所を見つけた時は、最初は袋小路になっているものだと思った。

 と、言うのは、細い道の先にちょっとした広場になっている箇所があって、パッと見にはどこにも脇道がないように見えたからだ。

 だが、俺はそんなところでも一度は端まで見ないと気が済まない性質なので、広場に入ることにした。

 入ってみても別に何の変哲もない裏通りの一部、という感じだったが、端の方の建物の間に階段があるのを見つけた。

 階段は地下に降りられるようになっているらしい。


「サラさん…サラ、この階段ってどこにつながってるんでしょう?」


 さん付けで呼んだら、目で怒られた。

 しょうがない、本人が望んでるんだから、ちゃんとこれからはサラと呼ぼう。

 でも呼び捨てに敬語ってのも違和感があるな。

 いきなりタメ口ってのは無理だけど。


『どうでしょう。

 ファスタルの地下に何かあるというのは、私は聞いたことがありませんけど。』


「どう見ても、誰かの家に続いている、って感じではないですよね?」


 私有地に繋がっているのであればマッピング対象外なので、調査する必要はないと思うが、私有地でないのであれば、一応調べておいた方がいいと思う。


『そうですねえ。

 あんまり人が通った形跡もないですし。

 今は使われていない地下道、とかがあるんですかね。』


 そう、階段は随分古びていて、軽く砂が積もっているような状態だった。


「一応、総務課に相談して、どうすべきか依頼主に聞いてもらうことにしますけど、このままだと、どう報告していいか分からないので、ちょっとだけ中の様子を確認してみますね。」


『分かりました。

 でも、危ないかもしれないから気をつけて行きましょう。』


「そうですね。

 まあ、階段を降りたらどうなってるか確認するくらいにしときますよ。」


 そういいながら、階段を降り始める。



 階段は結構深くまで続いていた。

 ちょうど日本の地下鉄くらいの深さじゃないかと思う。

 内部には電灯などなく、階段の途中から暗くて周りの様子がほとんど見えなくなったため、スマホの電源を入れて、カメラのライトを点けた。

 サラはスマホに興味を持ったみたいだけど、無駄口を叩ける状況でもなかったので、黙殺させてもらう。

 降り切った所はトンネルのようになっていて、それなりの広さがあった。 

 暗いだけで正直不気味さは感じなかったけれど、何かの気配があるのは感じていた。

 ルッツも何かの気配を感じているらしく、耳が警戒態勢になって、周囲の匂いを嗅ぎ始めた。

 俺一人ならともかく、サラも一緒にいるので、何かあってからでは遅いと思い、ヨーヨーを取り出した。

 マナを制御して、体の横で回した状態にしておく。

 サラも警戒して、マナウェポンを取り出していた。

 いつ見てもかっこいいな。

 いや、そんなこと考えている場合じゃないな。

 ヨーヨーの光がある程度あることと、目が暗闇に慣れてきたので、スマホのライトを消して電源も切っておいた。

 その時、奥の方で物音がするのが聞こえた。


 ズル、ズル、みないな、何か重たいものを引き摺る様な音だった。


『うぅー。』


 ルッツが警戒して周囲に対して唸り声を上げて威嚇している。

 俺も警戒しながら、音のする方に少しずつ進んだ。

 数m進んだところで、音の正体が見えてきた。


 それは、トカゲだった。

 ただし、サイズは大型のワニくらいあったが。

 それが動くときに尻尾が擦れる音が聞こえていたようだ。


「サラ、あれは?」


 小さい声でサラに問いかける。


『おそらく、サラマンダーではないでしょうか。

 古代遺跡ではよく見られるモンスターだと思います。

 でも、なんでファスタルの地下に?』


 見たまんま、サラマンダーらしい。

 問題は、やつがこっちに対して攻撃性を示すのか、ただ平和にここで暮らしているだけなのか。

 今の所、そいつがこっちを襲ってくる素振りはない。


「とにかく、一度戻りましょう。

 ここがどういう場所なのか分かりませんが、探索するんだったら、もっと準備を整えた方がいい。」


『そうですね。

 私もそう思います。』


 二人でそう結論して、来た道を引き返そうとした時、


「囲まれてる?」


 奥に一匹だけだと思っていたサラマンダーが他にも複数いて、周りを取り囲んでいるのに気が付いた。

 ざっと見ただけで五匹くらいはいそうだ。

 これだけの数がいるのに、取り囲まれるまで音なんてしなかった。

 そうか、だからルッツは奥だけじゃなくて周囲を威嚇していたのか。

 と、思った時に、取り囲んでいたうちの一匹がこっちに飛び掛かってきた。

 俺は、咄嗟に避けながら、ヨーヨーの回転速度を上げて、再びこちらに飛び掛かってきそうなサラマンダーの一団に光の弾を打ち込む。

 


 大きな音と光とともにサラマンダー達が怯む気配がしたので、


「ルッツ、行くぞ。」


 と、ルッツに声をかけながら、サラの手を引っ張って、走ってきた道を引き返した。

 それほど奥まで入っていたわけではなかったので、すぐに階段に辿り着くことができた。

 そのままの勢いで階段を急いで登って、なんとか無事に地上に戻ることができたのだった。






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