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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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調査員とは

 君は今からこの研究所の調査員だ、という責任者の鶴の一声で調査員になれました。


『正式な登録証なんかは後日サラに渡しておくわ。

 調査員についての説明は、う~ん、説明するの面倒ね。

 サラ、あとで説明しといて。

 じゃあ、私は忙しいから行くわ。

 あ、サラ今日はもう上がっていいわよ。

 あと、ユウト君、今度ゆっくり飲みながら話しましょう。』


 と、言いながらユラさんは去って行った。

 嵐のような人だな。

 サラさんも


『あはは』


 と苦笑いしている。

 と、気を取り直して


「サラさん、ありがとうございます。

 おかげでこんなに早く調査員になれました。」


『いえ、私じゃなくてユウトさん自身がお姉ちゃ、所長に認められたからですよ。

 あんな風に言ってましたが、実際調査員になるのはそれほど簡単ではないんです。

 あの人は見ての通り、ちょっとアレな人ですけど、能力は確かですし、仕事はすごくできる人です。

 ですから、ユウトさんを認めたのは本当です。

 ユウトさんは自分の実力で調査員になったんですよ。』


「ありがとうございます。

 どこが認められたのかよく分かりませんけど、ご期待にそえるようにがんばります。」


『はい。

 私もすごく期待しています。

 ところで、ユウトさんはこれからどうされるんですが?

 まだ中庭で運動をされます?』


「いえ、もうそれなりに動いたので、そろそろ食堂に行こうかと思ってました。

 サラさんも仕事が終わったみたいですから、一緒に行きませんか?」


『はい、ご一緒させていただきます。

 食堂に向かいながら、調査員について簡単に説明しますね。』


「あ、はい、助かります。」


『では、まず調査員とは何なのかですが、研究所所属の調査員は研究所の依頼の元、特定の目的のために調査を行う人のことを指します。

 調査とは調査対象の観察、保護、捕獲、討伐など色々な対処を含みます。

 研究所所属でない人との違いとして、研究所所属者だけが立ち入りできる地域や

 場所に入ることができます。

 また、ある程度社会的地位があると思います。

 

 報酬体系は人により違うらしいですが、普通は基本給+調査の報酬となっています。

 

 研究所が出している依頼に基づいて調査するのが基本ではありますが、自分から調査内容を提案して、それを研究員が採用する、という形式もあります。

 熟練の調査員は頻繁に自分発信の調査をしているようです。

 自分の得意な調査ができるので都合がいい、という面があるみたいです。

 この場合の報酬は、調査員と研究員が契約書を作るときに決めるそうです。


 基本的には調査員は依頼を受けると、研究員との間に契約書を作ります。

 契約書の内容はおおむね、報酬、期間、費用負担について、責任範囲について、などです。

 費用負担と言うのは依頼に必要な費用をどうするか、という取り決めですね。

 責任範囲と言うのは依頼遂行時にけがをした場合にどうするか、といったことですね。

 ちなみに遺跡探索の依頼では大体、怪我などは自己責任とされています。

 それ以外にも細かい取り決めを行うことが可能です。

 ここまでは大丈夫ですか?』


 調査員と言っても調べるだけでなく討伐とかもするんだな。

 うん、大体ギルドの冒険者のイメージ通りだな。


「はい。大丈夫です。

 続きをお願いします。」


『次に、研究員と調査員の違いですが、

 実はそれほど大きな違いというのはありません。

 研究員の方がこの研究所の施設で使用を許可されている設備が多いですが、基本的には調査員の方もそれなりに施設使用が認められています。

 研究員しか使えない設備としては、分析装置などがあります。

 そういう装置のある部屋は登録された研究員のマナを使って入るようになっているので、基本的に入れる部屋の設備は使っていい、と考えて頂いて構いません。


 また、研究員の中には調査を依頼せずに、自分で調査までこなす人もいます。

 私の辺境の調査も一応これにあたりますね。


 傾向としては、頭を使うのが好きな人が研究員、体を使うのが好きな人が調査員、という感じにはなっていますが、あくまで傾向です。

 ユウトさんの場合、どちらもできそうですから、そのうち研究員になればいいと思います。

 給料は少しだけ研究員の方がいいです。

 でも調査員の方でも依頼の報酬をたくさんもらっている人は研究員よりも収入が多かったりするようです。

 調査員から研究員になるには、所長に認められる調査結果を出すか、研究員試験に合格するかになります。


 あ、あと一応この研究所はこの国の管轄ということになっていますので、正確には国に所属した調査員、研究員ということになります。

 

 最後に、依頼の受け方についてですが、先日中庭の利用許可をもらいに行った総務課の前に依頼を張り出した掲示板があります。

 また、掲示板の内容の更新は少し時間がかかるので、詳細な依頼の一覧を知りたければ、総務課の受付に聞けば教えてくれます。

 また、調査員からの提案依頼も同じように掲示板に貼り出すことができます。

 総務課で申請書を受け取って必要事項を記入すれば、あとは担当者が処理してくれます。

 

 大まかにはこんなところですね。

 分からないことがあれば、その都度聞いて頂ければ、私に分かる範囲でお教えします。

 それか、総務課で聞いてもらえば、正確なことが分かると思います。

 何か質問はありますか?』


「そうですね。

 俺はまだマナが使えません。

 調査員をするのにマナが使えないのは問題ありませんか?」


『ないとは言えないかもしれません。

 基本的には調査員も研究員もマナが使える人がほとんどです。

 調査の内容によって、マナが必要な場合とそうでない場合があると思いますし。

 ですが、ユウトさんの場合、すぐに使えるようになると思いますので、あんまり問題ないと思います。』


「そうですか。

 やっぱり早くマナを使えるようにならないといけないですね。

 よく分かりました、ありがとうございます。

 あとでちょっと、掲示板を見に行ってみます。」


 サラさんの説明は分かりやすくていいな。

 要は、ギルド的な感じだな。

 違いと言えば、調査員発信の調査ができるということか。

 例えば、俺こんな薬草を調達しに行けるけど必要な人いますか?みたいなことを提案できるんだろう。

 今はまだ俺にできることはそんなにないけど、そのうちどんどん活用したいな。

 報酬が交渉次第、ってところがおいしい。

 知らない調査よりは危険度も下がるだろうし。

 と、夢を膨らませているうちに食堂に着いた。





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