よく見るおっさん
サラさんから調査員について教えてもらっているうちに
食堂に到着した。
今日も昨日と同じくらいの時間だな。
これくらいの時間が空いていて、ちょうどいいみたいだ。
今後もこのくらいの時間に食事に来たいけど、働きだしたらどうなるか分からないな。
相変わらず5人前くらい食べている巨漢がいるが、あのおっさんはほんとにどこにいてもめちゃくちゃ目立つな。
いや、食堂と中庭でしか会ったことはないが。
なんかオーラが出てるというか、行動が派手というか、なんか目に入るんだよな。
それにしても、出くわすの今日何回目だよ。
生活サイクルが近いのかな。
だが、俺もついさっき晴れてこの世界の社会人の仲間入りを果たした。
明日から働く予定だ。
おっさん、残念だが、よく会うのも今日までだぜ。
とか、よく分からないことを一人で考えていた。
なんだかんだ、調査員になれて浮かれているのかもしれない。
と、おっさんがこっちを見た。
サラさんを見て、俺を見た。
ん?
いつも、このパターンだと俺には刺々しい視線を送ってくる奴が多い。
だが、おっさんは普通にこっちを見ていた。
いや、まあ俺もその間ずっとおっさんを見ていたわけだが。
あんまり目を合わせて、目を付けられるのは嫌だから、さっと視線を外して、日替わり定食を注文しに行った。
◇
「ふう、おいしかった。
ここのご飯は安いのにおいしくて量もあっていいですね。」
『そうですね。
職員の評判もすごくいいみたいです。
なんでもここのコックさんは元々は食材専門の調査員だったらしいですよ。
足を怪我しちゃったらしくて、調査員を続けられなくて困ってたところを料理の腕を見込んでここのコックさんにスカウトしたらしいです。』
「へえ、そういう人もいるんですね。」
『ええ、やっぱり調査員の仕事は危険なものもそれなりにありますから、怪我しちゃう人も出るみたいです。
普通は調査員を続けられないほどの怪我をすることはほとんどないんですけど。
それで、調査員ができなくなっても専門的な知識を持っている人が多いので、そのままここの職員になる人が多いです。
調査員ができなくなって、研究員になった、という人もいるらしいです。』
「そっかあ。
俺も気をつけないとな。」
『ユウトさんには怪我はしてほしくないです。
安全な仕事も多いので、そういうのをしてくれたらいいと思います。』
「まあ、どんな依頼があるか見てみないことには、何とも言えませんけど、基本的に痛いのは俺もごめんです。」
『そうですよね。
その方がいいです。』
「ところで、ここのコックさんをスカウトしたのはユラさんなんですか?」
『いえ、そういうのはお姉ちゃんの仕事ではなくて、調査員の統括というのがいるんです。
そうですね。
ユウトさんの登録が正式に完了したら一度挨拶に行きましょう。』
「へえ、調査員の統括ということは、やっぱりしっかりした人なんですか?」
『しっかり、ではないかもしれませんが、とても頼りになってみんなから慕われています。
彼のおかげでこの研究所の調査員は士気が高くて優秀だと言われています。
先ほど説明した調査員発信の依頼という制度も彼が考えて作ったものです。』
なるほど。
頼りになって、頭もいいギルドマスターがいる、という感じかな。
「そうですか。
お会いするのが楽しみです。」
『多分ユウトさんは気に入られると思いますよ。』
「そうなんですか?
仲良くさせてもらえると嬉しいですね。」
うん、偉い人と仲良くできるというのは仕事をする上で結構大切なことだ。
別に媚びへつらって取り入る必要はないが、気に入ってくれるならそれに越したことはない。
「じゃあ、行きましょうか?
俺は依頼の掲示板を見に寄り道しますけど、サラさんどうされます?」
『はい。
じゃあ私もついていきます。』




