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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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異世界生活3日目朝

3章開始です。

「う~ん、今日も気持ちいい朝だな。」


 今日もすっきり目が覚めた。

 もう知らない天井じゃない。

 時間は6時だった。

 昨日サラさんが時計を置いていってくれたから、スマホを使わなくても時間が分かるようになった。

 スマホのバッテリーは貴重だから助かる。


 俺は元々めちゃくちゃ朝が弱い。

 毎日スマホのアラームは5分おきに5回鳴らして、ようやく起きていた。


 でも、昨日と今日はアラームなしですっきり起きられている。

 それも6時というのは、俺にとっては本当に驚きの早さだ。

 サラさんはもう起きているんだろうか。

 寝る時間が早いのが起きる時間にかなり影響しているとは思うが、仕事のプレッシャーがないと、こんなに寝覚めがいいんだな。


 よし、とりあえず折角早起きできたんだからルッツと中庭で軽く運動しよう。


「ルッツ、ちょっと遊びに行こう。」


 と声をかけると、

 ルッツは尻尾が千切れるんじゃないかと言う勢いではしゃぎだした。

 やっぱり犬ってのはこうじゃないとな。

 元気に運動するのが一番だ。



 中庭に着いた。

 早朝だけあって誰もいないかと思っていたが、隅のほうで


『うぉりゃああああ』


 だの


『おぅらああああああああ』


 だのと言った野太い絶叫?怒号?とともに


《《《《《《 ずんっ 》》》》》》


 と地響きがしたり、


《《《《《《 どごっ 》》》》》》


 と壁が揺れている。

 なんじゃありゃ。

 そっちの方を見てみると、どこかで見たことのある巨漢が暴れまわっているようだった。

 多分訓練しているんだと思うが、俺にはよく分からない動きをしていた。

 ただ、早朝からこれは近所迷惑じゃなかろうか。

 でも、誰もあれに文句なんか言えないだろうなあ。

 この近所に住んでいる人ドンマイ。

 よし、見なかったことにしよう。


 あれには近づくべきでない、と早々に判断して、こっちはこっちで運動を始める。

 昨日ルッツと軽く動いて分かったことがある。

 俺はずっと運動をしていたので長年鍛えていたのだが、ここ最近は仕事が忙しすぎて、あまりトレーニングしていなかった。

 だから、体が少々なまり気味になっていたようだ。

 もう27歳になったしな。

 気をつけないとこれからは衰える一方だろうな。

 今後はこのルッツとの早朝の運動を日課にしよう。


 と言っても、おもしろくないと続かないよな。

 どうしようかな。

 と迷っていると、近くにちょうどいいサイズの木の枝が転がっているのを見つけた。

 多分池のそばに立っていた木の枝だな。

 これを使うか。


「よし、ルッツ、この木の枝を俺が投げるから、

 それを

  俺とどっちが先に取れるか競争だ。」


 これは俺独自の遊び方だ。

 もちろん、普通は人が投げたものを犬が持ってきて、それを繰り返すのだということは知っている。

 だが、それでは人が犬を走らせているだけで、犬は走らされているだけだし、人は大して運動できていないしで、どちらも楽しくないだろう。

 一緒に遊びに来たからには一緒に運動すべきだ。

 その方が絆も強くなるだろう。

 いや、いつも実家の犬とそれをやっていて、散歩している人とかに白い目で見られていたのは知っている。

 でも、この中庭には今、もっと変なおっさんしかいない。

 よし、遠慮せずに俺もおもいきりやらせてもらおう。


「ルッツ、行くぞ。」


 と言って、枝をおもいきり投げた。

 自慢じゃないが俺は肩にも自信がある。

 なかなかいい投擲ができた。

 昨日の運動でルッツより俺の方が走るのが速いのは分かっているからな。

 これくらいのハンデをやらないと、よし行くか。


「ほっ!!」


 と、それなりのスピードでダッシュした。

 これなら、俺が取れる、

 と思ったら、ルッツもスピードを上げた。

 おお、昨日より速い。

 やるじゃないか。

 俺ももっと本気を出すか。



 1時間くらいルッツと走り回ったかな。

 なかなかいい運動ができた。

 途中廊下を歩いている人が中庭を見て、唖然とした表情をしていた。

 いつもなら、俺の様子だろうと思うところだが、今日に限ってはそれはない。

だってもっとおかしい巨漢のおっさんがいたからな。

 ああ、おもいきり動いても人の目を気にしなくていい、というのはなかなかいいな。

 いつも人目が気になって全力で動けなかった。

 誰か知らんし、関わりたくも無いが、あのおっさんに感謝だ。


「ルッツ、サラさんちに戻ろう。

 軽く汗かいたし、シャワーを浴びたい。

 その後、朝ごはんを食べに行こう。」


『わん』


 ということで、一旦サラさんの家に戻った。




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