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判明

 シーラの住む街へと戻ったハルは瓦礫を触り続けた。夜になった頃には身体が慣れてきたのか、倒れることはなくなっていた。


「大丈夫ら?」


「だいぶ慣れたみたいだ。立ち眩みもない」


「そうから! そろそろご飯にするら」


「ああ頼む」


(触り続けて判ったぞ。やっぱり、あの夢に出てきた建物だったんだ。あの夢に出てきた街とこの街が同じということになる。今は三つに分かれている街が、昔はひとつの街だったとすると納得いく。夢に出てきた街は広かったからな)


 ギュッと拳を握る。瓦礫の正体が判明したことで、ひとつの答えに辿り着いた。夜の街を襲った正体が〝災厄の龍〟だとしたら、夢に出てきた街を見ていたのが〝災厄の龍〟だとしたら……転生者のハルが出した答えは……。


※ ※ ※


「そういえば、ハルって恋人いるのら?」


「ぶふっ!?」


 見た目に反して美味しい飲み物を口に含んでいたところに飛び出した質問に、ハルは堪らずむせてしまう。なんとか飲み込んだが、どうしてシーラがそんなことを訊いてくるのか不思議で仕方なかった。


「もしかして図星ら?」


「……いないよ」


「わっちに嘘は通用しないら」


「本当にいないぞ」


「う~む。だとすると両想いだら。ハルが好きな人は、ハルのことが好きなんら!」


「はあ!?」


「ちょっと残念ら。いなければわっちが貰おうと思ったら」


「そんな素振りはないんだけど?」


「ハルは鈍いら。相手はツンデレなのかもら」


「ツンデレ? 俺にデレたことあったかなあ?」


「だから鈍いら」


「……こっちの方が難解かもな」


「容易く解ける程、女の子の心は簡単じゃないら」


 食事の後片付けをする為に立ち上がるシーラ。そんなシーラのを見つめるハル。リルリッドの別荘の時のルキと重ねている。


(今頃どうしてるかな?)


「わっちと好きな人を重ねるのは勝手だけど、重ね過ぎて抱き付いたりしちゃ駄目ら」


「しないよ!?」


(ああ駄目だ! 考えないようにすればする程出てくる! 俺はこんなにルキに惹かれてたんだなあ)


 火照った顔を冷やす為に外に出る。綺麗な星空が広がっている。夢で見たのと同じ星空が。


「何の為に離れたんだ。これじゃ駄目だろう、俺。それに、もう駄目なんだ……近くに居ちゃ駄目なんだよ。俺は、災厄の龍の生まれ変わり……転生者なんだから」

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