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六度目の正直

 ゴルドに案内され、各々の部屋へと入っていく。ミラもまた、部屋の中へ入った。六度目の案内である。


(ハル様とルキ様は、芝生で訓練している騎士団の所へ。ラルロア様とナナ様は、紙飛行機を飛ばしに芝生へ。リーリッド様とシャリア様は、昼食の時間まで部屋に。五度、それは変わりませんでした)


(ミク様は、四度目迄は部屋にいらっしゃり、五度目は私と共に王城を散策しました)


 赤い髪を短く切った姿から活発に見られてきた。ロングよりもショートの方が手入れが楽なだけなのに。周りのそういう目から、本当は好きなスカートを穿けずにいた。そんなある日、リーリッドと出会う。当時十歳だったリーリッドは、ミラを見るや『メイドになれ』と言ってきた。程なくしてリルリッド家のメイドになった。メイド服姿のミラをリーリッドは褒めちぎった。『似合うよねん!』と何度も。

 そんなミラが魔術師になったのは、ラルロアが生まれて間もない頃。最初はえらく混乱した。車で轢かれ死んだ猫を目撃し、『死なないで!』と望めば事故前に戻っていた。無事に猫を救えて嬉しかった。次第にコツを掴んだミラは、何度も何度もやり直してきた。


(私が戻れるのは一日の中だけ。その日が終われば戻れない。一分一秒だって無駄には出来ません)


※ ※ ※


 昼食の時間になり、大広間に集まる。出された料理も同じものである。ブロッコリーとタコを交換しあうルキとハル、ゴルドに質問するシャリアの流れも同じ。


(この後、ハル様が王様の発言に気を悪くして出ていく流れですが、そろそろ変えてもいいでしょう)


「平民ならあるって聞こえるけど」


「それは誤解だ、ハル殿。私は国民を信じておる」


「そうですよ。王様は素晴らしい御方です。ハル様、お嫌いなタコが入っていたからといって、八つ当たりはいけません」


「誰が八つ当たるかよ!」


「あらあら、お顔が赤いですよ。図星を突かれて照れているのですね。そういう意外な面、私は好きです」


「はあああ!?」


「好きってぇぇぇ!?」


「ルキ様、フォークを落としましたよ。動揺でもされましたか?」


「ワタシが動揺!? ないないないっわよ!」


「そうでしたか。御詫びにフォークを取ってきます」


「ミラ殿、それには及ばん。予備なら持ってきておる」


「そうでしたか。流石、王城のメイドですね」


「ああ、自慢のメイド達だ」


「私の職業病でしょうね。ついつい御世話をしたくなります。しかし、優秀なメイドがいらっしゃるのでしたら心配は不要ですね。それでしたら、私はお花を摘みにでも行きましょうか」


「食べてからでもいいんじゃないか?」


 ハルの言葉に、『急ぎなのです』と返して大広間を出ると、芝生に向かって走り出す。


(ハル様が大広間を出た時と変わらない筈。問題は、どうやってレイフォンに立ち向かうかですが)


 芝生に着いたミラは、門番の所に行くと、『不審者がいます』と伝える。急いで門番が騎士団と狙撃団に連絡し、番犬を率いて王城周辺を探りに行く。

 門番と入れ違いに入ってくる黒いローブの人物。ミラを視界に捉えると、真っ直ぐに向かってきた。


「お出迎えか」


「関係者以外の立ち入りは禁止です。招待をされていない以上、アンオールの大統領といえどもです」


「知っていたか。口を封じておかなければ」


 ローブを脱ぎ捨て素顔を露にする大統領。その冷たい目は変わらない。掌に黒い玉を出現させる攻撃も変わらない。


「血生臭いのは嫌ですが、そろそろ終わりにしたいです。六度目の正直といきましょう!」



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