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魔王と平穏な日常を  作者: ダルマ787
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プロローグ 魔王と青年と復活の儀

ダンジョンとして機能していない洞窟に二つの影があった。


「準備はいい?」

「う、うん」


二つの影は、世界征服なんてものは望んでいない。

望んでいるのは、蔑みもなくただただ平穏な日常を手に入れるための力を欲しただけ。


ただ、それだけの為に、世界の行く末など微塵も考えない。


浅はかだからではなかった。


ただここまでの道のりがあまりにも理不尽で我慢ならなかった。


魔王は過去に死んだ。


封印されていた時代もある。

しかし、時代と共に魔王は死んだのだ。


だから、二つの影には必要だった。


新たな魔王が――。


しかし、二つの影は知らなかった。


過去、魔王と呼ばれる存在の価値を。


だから、会ったことすらない魔王という言葉だけの存在に可能性を見出した。


二つの影の種族は魔族。


魔王誕生から生み出された種族であり、世界から忌み嫌われ続けた種族。

生きる場所すら与えられなかったその種族は、絶命しかけている。


そして、この二つの命は諦めなかった。


生きることを。


幸運だったのは、可能性である秘宝を手に入れたことだ。


魔族の秘宝【魔玉】。


過去、人間が魔王の心臓で作ったとされる禁忌とされる魔道具。


二つの影はそれに手をかざす、魔力を注ぎ新たなる魔王の誕生を信じて――。


【魔玉】が与えられた魔力によって光輝きだす。


お互いの手を握る。


例え願いの結果にならなかったとしても、これで何かが変わることだけを信じた。


お互いを信じたまま光に包まれていった。



不幸だったのは、【魔玉】の役割は望む用途ではなかったことだ。



魔王はいずれ復活する。


それが、人類が抱える歴史的事実。


「面倒なことになった」


???


「理解などしなくてもよい」


???


「死に際に心の臓など残さなければよかったのだ」


???


「もう興味などないのだ」


何に?


「ん? 世界にだ」


は?


「力を得ればそれを試したくなるのが世の常だ」


力の使い方次第だろ。


「はっはは、力なきものの方が理解しているのだな」


???


「しかし、我は運がいいようだ」


???


「貴様に譲ろう」


はい?


「言い方を変えよう」


???


「貴様に任せた」


――――。


「は?」


後は好きにしろ。


「だから、何を?」


さぁな?


「それは押し付けたっていうんだよ!」


理解が早くて助かる。


「ふざけるなっ!」


光の世界が急激に収束する。


「おいっ、まて、何勝手に!」


ふっふふふ、あーっハハハ!


世界は知らない、もう二度と魔王は復活することはなくなったことを。


そして、知らない。


魔王復活の儀が失敗に終わり、世界にまばゆい光が放たれたことを。




一人の青年が目を開けた。


そこに映るのは二人で手を繋ぎ、立ち尽くす少女が二人。


青年は理解する。


原因はこの二人だろう。


青年は深い深いため息を吐いた。


その声に、まばゆい光によって瞑っていた二人の少女の瞼が開かれた。


二人の少女の前には、患者衣を来た青年が立っている。


どちらかともなく呼ばれる名。


「魔王……?」


そう呼ばれるだろうなと予想していた青年はたった一言。




「ちがうな」



そっぽを向いて否定したのだった。



本日より、毎日更新予定。

詳しくは活動報告に書いてあります。


お付き合いよろしくお願いいたします。

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