閑話 懲りない男
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
本作品のキャラモチーフのLINEスタンプ販売中です!
『リアルとゲームのギャップが凄い人達』
で検索してみてください☆
晃、陽奈、実莉、拓郎、海斗のリアルとゲームのキャラクタースタンプです。
「電話できん?」「ご飯あるよ」「え?なに?」「肝に念じろ」
等色々な場面で使えるスタンプがたっぷり40個入ってます。
リアギャプメンバーと一緒にLINEトークを盛り上げていきましょう!
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
夏祭りを終えた夜。
「くそぉぉぉぉ!!」
実家の二階。
六畳ほどの自室に、鯉の叫び声が響き渡った。
「あんたうるさいわよ!」
すぐ下の階から母親の怒鳴り声が飛んでくる。
「……はぁ。」
鯉は力なくベッドへ倒れ込んだ。
天井を見つめながら、大きくため息をつく。
「今日は散々だった……。」
せっかく。
せっかくハルちゃんと仲良くなれるチャンスだったのに。
思い出すだけで悔しい。
「くぅぅぅ……!」
枕へ顔を埋める。
「海斗のやつめぇ……。」
思い返すだけで腹が立つ。
あんなイケメンが現れたら勝てるわけがない。
「……。」
しばらく部屋が静かになる。
数秒後。
ガバッ。
勢いよく起き上がった。
「よし!」
「切り替えよう!」
「次だ次!」
そう言いながらポケットからスマホを取り出す。
迷わずタップしたのは、
LAST CHRONICLE ONLINE。
ログイン画面が切り替わる。
次の瞬間。
画面中央へ、一人の青年が現れた。
艶やかな黒髪を美しく束ねた和装姿。
庭園を優雅に泳ぐ錦鯉を思わせる白・紅・黒を基調とした豪華な衣装。
腰には一本の日本刀。
肩には黒いどらピコがちょこんと乗っている。
ゲーム内での鯉の姿だ。
見た目だけなら、誰もが振り返るほど完成度が高い。
もちろん、その姿を作るために使った課金額は誰にも言えない。
ログインした瞬間だった。
「鯉様!」
「こんばんはー!」
「今日もかっこいい!」
女性プレイヤー達が次々と集まってくる。
あっという間に人だかりが出来た。
「いやいや〜。」
満更でもない笑顔を浮かべる鯉。
その時だった。
少し離れた場所に、一人だけこちらを見向きもしないプレイヤーがいた。
グレージュのボブヘア。
華奢な体に大きなハンマー。
クールな雰囲気を纏う少女。
――アキ。
今日はラスクロいつメンと一緒ではないらしい。
「……アキちゃんか。」
ハルと共に行動していることが多いアキ。
ちょうど良いターゲット。
鯉はニヤリと笑う。
「次の狙い、決めた!」
そう言うと、人混みをかき分け一直線に駆け寄った。
「ねぇ!アキちゃん今一人?」
マップチャットへ文字が流れる。
アキがゆっくり振り返った。
「うわ、鯉だ……。」
露骨に嫌そうな反応だった。
「なに〜?照れ隠し?」
「全然違うけど。」
一定の距離を保ったまま返事をする。
二人のやり取りに周囲がざわつき始めた。
「え、鯉様がアキ様に?」
「珍しくない?」
「初めて見たかも。」
しかし鯉は全く気にしない。
「ねぇアキちゃん。」
「なんすか。」
「今度さ。」
少し間を置いて。
「俺とデートしない?」
「……は?」
アキは思わず素っ頓狂な声を出した。
周囲も一斉にざわつく。
「「「えぇぇぇぇ!?」」」
「……なんの冗談?」
「冗談じゃないよ。」
「本気。」
「デートしよ?」
アキは完全に困惑していた。
いつも個人チャットで面倒な絡みをしてくる男。
裏で色んな女性プレイヤーと遊んでいることも知っている。
だが。
こんな大勢の前で堂々と誘ってきたことは一度もなかった。
「……ちょっと待って。」
「今風呂上がりだから。」
⸻
その頃。
洗面所。
「……何がしたいんだコイツ。」
シャワーを浴び終えた晃は、タオルで髪を拭きながらスマホの画面を見つめていた。
風呂上がり直後、ログインしてしばらく放置していたら…
突然、鯉から話しかけられたのである。
「風呂上がりのアキ様だ!」
「キャー!」
「絶対セクシー!」
マップチャットがさらに賑やかになる。
「……人気者すぎ。」
悪い気はしていない。
そんな時だった。
ピコン。
個人チャット。
鯉
『風呂上がりのアキちゃん絶対色気あるじゃん♡』
「……。」
晃は画面を見つめる。
「えっ……。」
数秒固まる。
「気持ち悪……。」
思わず声に出た。
鳥肌が立つ。
寒いからではない。
間違いなく、このメッセージのせいだ。
⸻
『そういうのやめてもらっていい?』
返信する。
『照れなくてもいいじゃん♡』
『いや照れてない。』
『俺、男だから。』
その一文を送った瞬間。
チャットが止まった。
「……?」
数秒。
十秒。
二十秒。
返信が来ない。
そして。
『……え?』
『男?』
『うん。』
『え??????』
『リアル男。』
『マジで??????』
『マジ。』
『嘘だろぉお!?!?!?』
画面の向こうで取り乱している様子が目に浮かぶ。
晃は思わず苦笑した。
『ネットに顔も出てるよ。』
『五周年記念イベントの武闘大会デモンストレーション。』
『名前も顔も公開されてるから、知ってるものかと思ってた。』
『……。』
返信が来ない。
数秒後。
鯉は慌ててブラウザを開いた。
『ラスクロ 五周年イベ 武闘大会』
検索。
すぐに動画が表示される。
再生。
映像には。
巨大なハンマーを軽々と振り回す青年。
「アキ 朝倉晃」
その名前が表示される。
グレージュのマッシュヘア。
デニムを取り入れた春っぽい服装。
整った顔立ち。
涼しげな目元。
所謂、今風のイケメン。
イベント会場では女性ファンが黄色い歓声を上げていた。
「……。」
鯉は無言になる。
そして。
「こいつもイケメンかよ……。」
ぽつりと呟いた。
しばらく天井を見つめる。
「……うん。」
「今日はもう、大人しく寝よう。」
そう呟くと。
部屋の電気を消し、
静かに布団へ潜り込んだ。
夏祭りの夜は、
鯉にとって、最後まで散々な一日だった。
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈
ご覧頂きありがとうございます!
少しづつではありますが、お話の更新を頑張って参ります。是非ブックマーク登録で最新話の更新をお待ちいただけるとありがたいです( *´꒳`*)
「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の励みになります!星1つ頂けるだけでもモチベーションめちゃくちゃ上がります!
皆様、応援よろしくお願い致します(>人<;)
◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈┈◇┈◈




