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悪役令嬢の異世界終焉戦争〜一人の少女が巻き起こす悲劇の物語〜  作者: 偽りの箱
学園編 第3章 始まりの兆し、壊れていく世界《にちじょう》
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自らの意志

「お、ミレディじゃないか?今日はお前一人だけか?リリーはどうした?」


「生憎、今日は俺だけだ....それで?大人三人がかりで槍まで持ち出して、この近くで何かあった?」


「あぁ....それがな、この森の近くに魔物がでたらしくてな?お前は何かしらないか?」


「俺はずっとここで一人でいたけど、魔物なんかとは遭遇なんかしていないぞ?本当に魔物がでたのか怪しいなぁ?」


「......」


「お前たちの本当の目的はなんだ?まぁ言わなくてもわかるけどな!」






 その頃私は、ミレディが時間を稼いでくれたのおかげであの場所から離脱することに成功しました。それから先、ミレディと私が合流することはありませんでした。それでも、私はミレディが別れ際に行った言葉を頼りに前に進み続けました。


 ミレディが私に『任せる』と言ってくれたのが、私にとって何よりも力になっていたのです。


「必ず、助けるから....まっててね、ミレディ!」


 その後ミレディがどうなったのかを、後で知ることにはなるのですが、このときの私にはミレディがどうなったのかを考える余裕はありませんでした。それもそのはずで、ミレディから任せるとは言われたものの何をすればいいかわからなかったのです。


 そこで、私は考えたのです。


「一度村に戻って、どういう状況か確認でもしておいたほうがいいのかな?でも、ミレディの様子からすると大人たちに見つかるのは避けたほうがいいよね....」


森を迂回して、村に入ろうとしたのです。案の定その作戦は間違っていませんでした。森の中でも、大人たちの姿を見かけることが多々ありました。その都度隠れてやり過ごすことしかできなかった私は、自身の力の無さを痛感させられました。


 そこで、巡回中の二人の大人たちの会話が聞こえてきました。


「なぁ、本当にこんなところに現れると思うか?」


「さぁ?どうだろうね....もうこの村を出てるって可能性もあるんだろうけどな」


「何を言ってるんだ?それはありえないだろ、彼奴等はただのガキだ!この村の外に出れたとしても、生きていくための術を持っていないじゃないか」


「それもそうか....」


「早いとこ見つけちゃおうぜ!じゃないと、手遅れになっちまう」


「そうだな」


 その時の私には、何を話していたのか理解することすら許されませんでした。それはただ話が分からなかっただけではありません、私の中で嫌な予感が感じたからです。


「私も急がないと....嫌な予感がする気がする」


 その時の私の判断が正しかったのか、それとも間違いだったのか今でもよく考えてしまいます。ですが、村に入ること事態そう簡単にいくと思っていません。


 だからこその焦りが出ていたのかもしれません。だから私は、目の前で起こっている光景が理解できなかったのかもしれません。


「ミ....レディ?」


 私の目の前に表れた光景....そこには張り付けにされていたミレディの姿がありました。


「なんで....ミレディが張り付けにされているの....どういう状況なの?」


 私の頭はすにオーバーヒートしていました。ミレディの状況と、周りの大人達の会話、それに加え長老の話していた内容に驚きを隠せなかったからです。


「長老!本当にミレディでよかったんですか?」


「何がじゃ?」


「生け贄の件ですよ、私はミレディよりリグリエットの娘の方がいいと思うんですけどね」


「なぜそう思うんじゃ?」


「リグリエットの娘は、まだ気がついていないかもしれないですけれど、魔力の適合性と相性が抜群です....それに加え、ミレディは魔力の適合性が全くと言っていいほど感じない、それに加え拒否反応まででる始末です」


 大人達の言っていることが本当のことだとしたのなら、最初に狙われていたのは私と言うことになります。しかし......


「そうだの....適正だけで言えば、リリーの方が圧倒的かもしれんの」


「だったら!」


「これを見てみよ」


 そこに出された物は、ミレディの作っていた真髄液の試作品と思われる物でした。


「何ですかこれ?」


「これは、此奴が独学で作った物じゃろう....すなわち此奴には、これを作り出せる技量と頭脳を持ち合わせておる、それらと此奴が作り出したこの液を使用すれば面白いことが起こるとは思わんかね?」


「それは....そうなんですけど、なぜかイヤな予感しかしないんですよ」


「フォフォフォ、イヤな予感がすると言うことは、それは我々にとっては朗報にもなりえ、悲報にもなり得る可能性を秘めているということなると思うんだがね?」


「はぁ...私はもう知らないですからね」


「それじゃあ、初めていこうかね」


 そのとき、私は止めるという手段を忘れ、その場に固まることしかできませんでした。そのことを今でも後悔しています。あのときに私が止めることができていたならば、この後起こった悲劇は来なかったでしょう。それ故に私は自分を許すことができませんでした。


 悲劇を止められなかったこと、その場で固まって動けなくなったこと、魔物の降臨を許してしまったことに。

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