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悪役令嬢の異世界終焉戦争〜一人の少女が巻き起こす悲劇の物語〜  作者: 偽りの箱
第一章 第二幕 学園編 加速を始めた世界
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危うさ

 アルテラが魔物化してから一ヶ月の月日が流れ、学園の方も一学期の終盤に差し掛かっていた。

 あらから、さらに魔物に関する研究を進めていたところ、わかったことがいくつかある。


 まず、過去に魔物化した人達だが少なからず治っているということが分かった。それともう一つ…直近の出来事だが、魔物化した人物が三名ほどいるということが分かった。しかも、それは帝国の領土内でだ。


 やはり、魔物化した人を治す技術は確立されている。しかし、そのことが露呈して困る集団がいると言うことなのだろう。だけど、なぜ隠そうとしているかが分からない。魔物化の実験をしている帝都もそうだけど、その実験のリスクがわかっていないはずがない。


「駄目ね…この限られた情報の中では、何もわからないわ」


 今はまだ情報が少なすぎて判断材料があまりないため憶測の域を超えない。だけど考えることはとても大切だ。考えるだけでも、新たに得られる情報はあるかもしれないんだから。


「明日も学園があるみたいだけど、休んでもう少し色々調べた方が……先生方からは、しんどくなったら休んでいいと言われているし、でももう少しで夏休みなんだよねぇ~」


 こちらの世界でも夏休みという文化がある。日本の学生達が休むあの夏休みとほぼ同じような感じだ。

 少し違うのは、学園の生徒はこの王都から出られないということ。つまり実家に帰省できない。夏休みが始まるのは七月の中旬、そして今はもう六月下旬。

 魔物化事件があったのが五月、入学したのが四月と考えると、一学期は本当に色々な意味で濃厚な日々だった。

 

「アルテラと、一緒に夏休みに入りたかったんだけどなぁ……」


 アルテラと過ごしてきた時間は短かったものの、私なりにアルテラと仲よくやっていたと思う。それが、あのような形で幕を下ろすとは思ってもみなかった。


 これまでのことを思い出し感傷に浸っていると、唐突に扉をノックする音が聞こえてきた。


「こんな時間に誰だろ?」


 たまにアビスちゃんがやってきたりするが、アビスちゃんの場合は来る前に必ずと言っていいほど連絡が入ってくる。だからこの時間帯にやってくる人物に心当たりはない。不審に感じながらもドアスコープを除き、ノックしてきた相手を確認する。


「え!?」


 私は玄関に立っていた人物を見た瞬間に、驚きの声が隠せなかった。

 扉の目の前に立っていたのはアルテラだった。しかし、アルテラは中途半端な魔物化のせいで研究所に連れていかれたはずだった。あれから、一ヶ月が経って私の目の前に現れるとは考えにくい。しかし実際に目の前にいるのはアルテラ本人に違いなかった。

 だけど、それこそが違和感でしかなかった。


「リンメル~ドアを開けてくれよ~俺達友達だろ~」


 決して生きているという感じでしていない。目は虚ろで、誰かに操られているとしか考えられない。

 そしてそれができるのが――


「研究者ども…アルテラを私のところに刺客として送り込んできたのかしら?」


 だとしたら…やはり私が調べていることが現実味を帯びてくる。さらには、今目の前にいるアルテラは魔物化しておらず人の体で目の前に立っている。


「リンメル~早く出てこい~じゃないとお前を殺せないじゃないか~」


 やはり研究社達は、私が魔物化について調べているのに気が付いて私を消しにかかってきている可能性がある。

 ならこのアルテラは本物であって本物ではないということになる。

 アルテラの世界能力をそのままそっくりコピーしたクローンかもしれない。

 やはりこの国は信用出来ないかもしれない。だが学園にいる間は、研究者たちが干渉できないため安全だろう。

 だが寮はそうもいかない。学園の寮は別に学園の中に立てているわけではない。町中から学校に最も近いところに立てられているだけだ。


「てことは、毎日狙われる可能性があるっていうことか……しかも相手は私だけを狙っている。といっても周りを巻き込まない保証はどこにもない。今は何も手を出してこないところを見ると今日は様子見ってところかな……」


 そうなるとこの学園に…というかこの寮に私が居づらくなる。他の生徒達の危険を考えると、私はこの学園にとどまっていること自体が危険かもしれない。だがここには学ぶべきものが多く、まだ学び切れていないことも多い。この学園を出て行くのだけは避けたい。


「はぁ~、今日も寝る時間が遅くなるのね…これ関しては私に非があるのだろうけど……」


 結局昨日は今後の対策を考えるのに時間を費やしてしまい一睡もできないまま登校時間になってしまった。玄関に立っていたアルテラの存在も日が上る前には気配が消えていた。


「リンちゃん、大丈夫ですか?寝不足みたいですけど……」


「ん……あぁ、アビスちゃん心配ありがとう。昨日ずっと考え事していて気がついたら登校時間になっていただけだから大丈夫…ほんとに大丈夫」


「それは大丈夫といわないのでは?」


「いや、ほんとに大丈夫もうかたがついたことだから」


 そう昨日のうちのどう立ち回るべきか考えを改めていた。私の平穏な日常を脅かすのなら、誰であろうと容赦はしないと。


 研究所をさらに深く調べてみた結果この王都との繋がりがないことが分かった。

 元々ただの闇研究所だったのがいきなり規模を拡大。そのまま王都と同じくらい権力を得たという風になっている。それが事実かは分からないが、事実ならこの王都とは無関係であり国側が表立って動けない状況に陥っている可能性が高い。もし私の仮説が正しいならばこの国は今、危ない状況にあるの可能性が高い。


「だからこそ……私が動かないと…」


「何か言いましたか?」


「何も言ってないよ?何も…さぁ、学園に行きましょうか!」


 これ以上アビスちゃんには心配はかけられない。ここから先は私一人で物事を進めていかないといけない。


「はい!」


 私の平穏を潰させはしない……。

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