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黒猫クロマルの異世界さんぽ  作者: さちかわ
クロマルと村の幼女レベッカ
4/72

4にゃ

思考にふけっていた吾輩は気が付くとレベッカの頭に乗っていた。

どうやらレベッカの手によって乗せられたようだ。

自分の世界に入り込みすぎていた。

天才猫である吾輩はこうやってすぐ考え込んでしまう癖がある。

気をつけねばならぬことをわかってはいるが……


レベッカはどうやら自分の村へ戻っているようである。

楽しそうによくわからない歌を歌いながら歩いている。

悩みがなさそうで、うらやましい限りである。


吾輩が来た方角には先ほどの巨木が多くそびえている。

だが、レベッカが向かっている方向にはそれほど多く木は生えていない。

どうやら吾輩は森の中心部にいたようである。

なぜ吾輩はそんなところにいたのか、ますます謎は深まるばかりであるな。


「レベッカ!」

レベッカを呼ぶむさくるしい声が聞こえる。

「お兄ちゃん!」

なるほど、こやつがレベッカの兄か。

レベッカと同じ金髪だが、体格が全く違う。

身長はおそらく180㎝ぐらいで、ジムで鍛えているみたいにマッチョである。


ちなみに吾輩はジムにいたあのマッチョどもは嫌いではなかった。

なぜならあやつらはよく鳥肉のささ身をエサにくれたからだ。

少し味が薄かったが、あれはあれでうまかった。

またいつか食いたいが、それは果たして可能なのだろうか?


「レベッカ、その頭にいるものはどうしたんだ?」

マッチョが吾輩を指さす。

「この子はね、クロマルっていうの!」

なんだと!なぜ吾輩の名前をレベッカが知っているのだ!

「黒くて丸いから、クロマルって名前を付けてあげたの」

、、、子どもの考えはどこでも変わらないということか。

まあ、吾輩もこの名前に愛着を感じている。

よくわからないダサい呼び方をされるよりましである。


「名前を聞いているのではない、どこで拾ってきた」

「近くの川でお水を飲んでるの見つけたの!かわいいでしょ!」

吾輩のかわいさがまた一人の幼女を虜にしてしまったか。

天才でかわいい、まさに吾輩は完璧であるな。


「元の場所に戻してきなさい」

バカな、このマッチョには吾輩の魅力がわからないのか?

まあ、マッチョにモテても困るが。

あやつらはいいやつが多いのだが、力が強いのでなでるときに

少し痛いのが玉にきずである。


そして、兄弟げんかが始まってしまった。

マッチョ(名前はダニエルというらしい)が吾輩を森に戻してこいと言う。

そして、レベッカがそれに反対する。

それはともかく、吾輩は大きな問題を抱えていた。


それは、、、腹が減ったのである!!

あのくそまずい実も1口しか食べていないので、空腹は続いている。

とにかく何か食いたいのである。

それを主張するため、伝わらないのを承知でニャーと主張してみる。


「ほら!クロマルもレベッカと一緒にいたいって言ってるよ!」

そんなことは言っていないが、メシをくれるなら考えてやろう。

「そんなわけないだろう、おおかた腹が減っているとかであろう」

なんて優秀な男なんだ、ダニエル。

ダニエルの言葉に同意するように再びニャーと鳴く。


「では、今日一日だけ家で面倒を見よう」

ダニエルがそう提案する。

「腹をすかせたまま森に返すのは、あまりにもかわいそうだからな」

「ほんと!お兄ちゃん!」

「ああ、でも今日だけだ。明日には必ず森に戻すからな」

「なんで!」

「こいつの親や仲間が探している可能性があるからだ」

残念ながら、吾輩は数年前から一人猫である。


「あ、そっか!そうだよね。じゃあ今日だけ一緒に寝ようね」

いつのまに一緒に寝ることになったのだ。

「明日になったら、レベッカがお友達、探してあげるね」

まず、見つかることはないであろうな。



それより空腹で死にそうだ。早く何か食わせてくれ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 優しそうな人たちですねぇ。 ご飯もらえそうで何より。
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