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黒猫クロマルの異世界さんぽ  作者: さちかわ
クロマルと村の幼女レベッカ
2/72

2にゃ

森である。右を見ても、左を見ても木である。

それも公園に植えてあるような貧相な木ではない。

その2倍も3倍も太さがあるような木である。

そんなバカでかい木が数えきれないぐらい生えているのである。


いったいここはどこなのだろうか。

というより吾輩はなぜここにいるのだろうか。

確かにあの黒い箱の中に入ったと思ったのだが……


そう考えこもうとした瞬間、吾輩の腹が音を立ててなった。

そうだった、吾輩は食べ物を探していたのだった。

ここがどこかは今のところよくわからない。

森なのであれば、なにかしらの木の実などの食い物があるだろう。

そう思った吾輩はよくわからないまま、森を歩き始めた。


大体1時間ぐらい歩いただろうか。

空腹と疲れでボロボロだった吾輩の目に、急にまぶしい光が飛び込んできた。

その金色のところに何かがあると感じた吾輩がそちらに進んでいく。


すると、そこには多くの金色のリンゴのようなものを実らせた巨木があった。

周りの木もとてつもない大きさだったが、この木はケタが違う。

人間が住んでいた10階建てのマンションと同じぐらいの大きさだったのだ。

この木を見て、吾輩は思ったのである。


木があまりにも高すぎて、実が取れないんだが……



吾輩は天才猫である。したがって、木登りも別に苦手ではない。

しかし、さすがにこれは高すぎるのである。

いくら吾輩が猫でも、この高さを上り下りするのは容易ではない。

ましてや、今の吾輩は空腹状態で力が発揮できる状態ではない。

そう考え、吾輩はこの木に実っている金色リンゴをとるのをあきらめた。


しかしその時、ふとそばにあるものが落ちているのに気が付いた。

それは金色リンゴであった。


神が吾輩の味方をしてくれたのだ。ありがとう猫神様よ!!

そう猫神様?に感謝をした吾輩はその金色リンゴに飛びつき、かじりついた。

そして、衝撃を受けるのである。その金色リンゴのまずさに。


それはこの世の苦みを集約したような苦さであった。

よく人間は「腹が減っていればなんでもうまい」と言っていた。

しかし、吾輩は今日それが間違いだったということを知ったのであった。


吾輩は一口かじったその実をそのまま放り投げる。

そして、すぐにその場所を全力で立ち去った。

そして、その勢いでで森を駆け抜けていったのであった。

口の中を洗い流せる水を探すために……


そのときの吾輩は気が付かなかったのである。

なぜ疲れ切っていたはずの吾輩が全力で走ることができたのかを。

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