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EP69 冒険者ギルド支部へようこそ

もう直ぐ梅雨も明けそうだし、暑さ対策万全かな?

 なんだかんだ引き留められ長い時間外で駐留していたが、コロニーへと入港した銀河旅団は、改めて現地の冒険者ギルドの職員から謝罪を受けていた。


 「誠に申し訳ございませんでした皇帝陛下」


 正に平謝り。滑る様に雨宮の前に姿を現した肥満体型の男は、その窮屈そうな腹を押し込め、綺麗な土下座を披露した。


 (皇帝陛下?)


 「あぁ、もう良いから、情報の行き違いって有るよな」


 自分達が許された事を知るや否や、キラキラした妙に綺麗な瞳を雨宮に向け、もう一度平伏し、さっと立ち上がり雨宮の斜め前にスッと移動する。


 「・・・・・・新興の国だからな、知らなくて当然、これから知ってもらうのが大変そうだ」


 「いえいえ!その様な事はございません!先日のジェニ様の建国演説、見事でございました!あなた様の雄々しくも凜々しい、ミスリル像も見事な出来映えでございましたぞ!」


 (ミスリル像って何だよ・・・・・・しかもそんな演説してたのか・・・)


 雨宮はロペに腕を引かれながら、ジョン・田中と名乗ったギルドマスターを伴い、宇宙港を出る。


ーーーーーーーーーー


レッドアイコロニー センターストリート


 宇宙港から繋がる片側六車線の非常に大きな道路を走るバスは、雨宮、ロペ、新庄、ティオレ、ヒューニ、エクスの六人とギルドマスターを乗せ、レッドアイコロニー冒険者ギルド支部へと向かっている。


 「結構距離があるのか?」


 「いえいえ、直ぐ到着いたします、ほら!あの大きな建物が我がギルド支部ですぞ!」


 ジョンの言う通り周りの建物から、頭一つ飛び抜けて巨大なビルがバスの窓から見えてくる。

あの巨大なビルに一体何が入っているのだというのか、雨宮には理解が追いつかず、ただ心が高まりわくわくしてきただけだった。


 (デカいなぁ、デカいなぁ!)


 ニヤニヤ顔を隠す事もせずに、隣に座るロペとエクスの手を握り、にぎにぎと逸る心を落ち着けようとしているのだが、握られている二人の方は、別の期待をしてしまいそうな行動に、ついニヤけてしまうのを抑えている。


 五分と経たずバスはギルド支部へと到着し、六人は多くの冒険者やそのクライアント達で賑わう一階の受付ホールを進む。


ーーーーーーーーーー


レッドアイコロニー 月圏冒険者ギルド支部 一階受付ホール


 雨宮の胸のときめきは最高潮に達し、辺りを忙しなくキョロキョロと見渡す姿はお上りさんと言われてもおかしくは無いが、間違いなくお上りさんである。


 「スゲーな・・・・・・何かスゲーな!」


 「銀河きゅん・・・・・・恥ずかしいでしょ・・・・・・」


 「旦那様・・・・・・もうちょい落ちついて・・・・・・」


 ティオレと新庄は少し先を歩き、ヒューニは雨宮達の一歩後ろを付いてきているが、雨宮のそんな様子を、らしい(・・・)とはにかみ、あまり気にしていない様だが、その両腕に組み付いているロペとエクスは、自分達の求めていた目立ち方とは違う悪目立ちに、俯きがちになり少し顔が赤い。


 端から端まで何故これほど広いのかと思える程には広く、日暮れ時と言う事もあり、依頼をこなし、報酬を受け取る為に帰還した冒険者達が大勢詰めかけ、十数列作られた受付への長蛇の列は、このギルドの風物詩であるのだという。受付嬢達は右へ左へ書類を持って走り回り、上層階から何かが下りてくる搬送用エレベーターの前では、そわそわと何かを待っている受付嬢の補佐をする者達も居る。


 多くのパーティは代表者を一名並ばせ、他は周りに併設されたカフェのテーブルに着き、まだかまだかと報酬の分け前を待ち侘びる。既に酒を頼み赤ら顔でろれつの回らなくなっている者も居る。広い広いホールの奥には、壁沿いに設置された長い螺旋を描く階段と、エレベーターが四基対になり設置されている。

階段を使用する者は少なく、八基有るエレベーター忙しなく、満員の冒険者達を乗せた箱が、上の階とホールを行き来している。


 ギルドマスターを伴いギルド内に入ってきた集団に、胡乱げな顔をみせる者、ニヤニヤと女性クルーを見る者、訝しげにのぞき込む者、雨宮達の後に続き近付こうとする者等、反応は様々であり、ティオレという見た目がダークエルフな珍しい種族を伴っている事もあるが、中にはこのコロニー出身の新庄を見た事が有る者も多く居り、その存在に視線を向ける者が大半であった。


 「アレは新庄議員じゃ無いか・・・・・・?」


 「バカ、元、議員だろ」


 新庄はヘルフレム監獄へと投獄される際に、当時軍人であったロペのせいで、汚職議員の汚名を着せられ、無実の罪を背負った。

しかしその証拠は一切無く、冤罪では無いかという噂も当時からずっと囁かれている。と言うか実際冤罪である。


 「人気あるな、新庄議員殿」


 「やめろ、逮捕される時には辞している」


 「しかしまぁ此処ではなんですから、上へ参りましょう」


 混み合う受付ホールの間を抜け、受付カウンターの通用口を持ち上げるジョン、ゾロゾロと本来不可侵であるはずの受付の奥へと向かっていく雨宮達の背中を、奇異な目で見送る冒険者達の視線を遮る様に声を掛ける受付嬢達、ギルドの連携はとてもよく出来ている。


 「なんか背徳的な事をしている気がする」


 「そんな事あらへんですやろ?」


 「分かってんだけどなー」


 少しばかりの優越感を笑顔で表現した雨宮は、頭を打つけそうな職員用のエレベーターをくぐり、最上階へと向かう。


ーーーーーーーーーー


レッドアイコロニー ギルド支部長室


 支部長室へと通されると、秘書と思われる女性が、会議で使うロングテーブルに併せてあつらえられた椅子へと促され、雨宮達はジョンと向かい合わせに座り、椅子を引く。

 「さて、ズバリ聞かせて頂きたいのですが・・・・・・よろしいですかな?皇帝陛下?」


 「その皇帝陛下ってのはやめてくれ、むず痒い」


 「では雨宮殿でよろしいですかな?」


 「それで頼む」


 ジョンの質問は至ってシンプルだった。


 「共和国・・・・・・いえ、月へ来られた理由を・・・・・・お教え頂きたいのです」


 表情は真剣そのもので、飄々としていた今迄のジョンとは思えない程の変わり振りに、雨宮は少し驚き、苦笑する。


 「重く受け止めている所悪いんだが、只遊びに来ただけだよ」


 「遊びに・・・・・・ですかな?」


 額面通りにその言葉を受け止める様では、ギルドマスターなど出来るはずも無く、その言葉の裏を必死に考えているジョンではあったが、雨宮の言葉に裏など無く、本当に只遊びに来ただけなのだが、それを素直に信じて良い立場でも無く、只困った様な顔になり、秘書の入れた紅茶をすすりながら、手元に置かれた資料を開く。


 「私の所にも実は、バーバラ様から銀河旅団・・・・・・いえ、銀河帝国の詳細な情報が届きましてな、人口こそ少ない様ですが、数多の種族が同じ空間に住まう理想郷であると、この資料には・・・・・・記されております」


 (うーん、有る意味理想郷ではあるのかな?)


 「この共和国では、絶対主義と言う程ではありませんが、人種(ひとしゅ)以外の人間に対して強く当たる者も少なく有りません、お恥ずかしい話ではありますが、過去に亘る歴史において、最も差別感情が酷かったのがこの共和国でしたからな。未だにその感情を根強く持ち合わせる者達も、少なからず居ります」


 「差別ね・・・・・・」


 (心の弱い事だ)


 「先程のホールでも、多少ではありますが、嫌な視線を向けられましたでしょう」


 話を振られたティオレは、いつもの事と、特に気にした風では無かった。


 「まぁ、俺達には俺達の考え方がある、そっちの事はそっちで何とかしてくれ。只・・・・・・」


 「ただ・・・・・・?」


 「売られた喧嘩は買う。生死問わずのリターン盛り盛りの助だ」


 「出来れば生かして頂きたく・・・・・・」


 突如雨宮から漏れ出した怖気を伴う濃密な気配に、少ない髪の毛を逆立たせ、盛大にひるむジョンと秘書の女は、寄り添い合い失言をした自分を呪う。


 「まぁそれはそれとして置いといて・・・・・・」


 雨宮はよっこいせっと、手を動かし今迄の比較的どうでもいい話を余所へやり、雨宮の本題を切り出す。此処へ来るまでの間に、雨宮は折角ギルドマスターと話が出来るなら、何か面白い情報が得られるのでは無いかと、楽しみにしていたのだった。


 「ダンジョンについて教えて欲しいんだが」


 にかっと少年の様な笑顔をあふれ出させる雨宮に、あっけにとられたジョンは、一瞬言葉を詰まらせるが、その表情から裏を考える事すら馬鹿らしく思え、男のロマンについて、同じく男であるジョンは語る。


 「ルビーダンジョンへ・・・・・・挑戦なされますかな?」


 ふふん、と何が楽しいのか自慢げなジョンは、鼻を鳴らし、資料の裏に忍ばせていた、一冊のパンフレットを雨宮の前に差し出した。


ーーーーーーーーーー


来たれ冒険者達!


中級冒険者から上級冒険者まで、幅広く活躍出来るダンジョンで、貴方も稼ぎませんか?


レッドアイの大きさ如何によっては、一攫千金も夢では無い!?


ギルドメンバー募集中!


ギルド職員随時募集中!!


ーーーーーーーーーー


 (何だか、無料のバイト情報誌みたいだな・・・・・・)


 雨宮は前世の駅に置いてあった物を思い出しはしたが、このパンフレットには、挑戦者の生存率を少しでも上げる為に、浅い階層の攻略情報の様な物まで掲載してあり、テーマパークの地図の様な、簡易地図までフルカラーで印刷してある。


 「して・・・・・・皆さんはランクをお持ちですかな?」


 ジョンは六人を見て冒険者IDを取り出したのが二人だけと言う事に少し驚き、今更ながら、そのギルドIDを見て驚きに表情が変わる。


 「し・・・・・・新庄議員!?」


 ((((((今更・・・・・・))))))


 「お久しぶりです田中さん、三年前はまだサブマスターでしたよね」


 「あはは・・・・・・お恥ずかしい話で、何とか今の立場に辿り着きましたよ・・・・・・」


 新庄はどうやら、過去のジョンを知っているらしく、何かを知って居るぞと言う雰囲気を醸し出しているが、特にそれを語るつもりも無いと、目で合図をする。


 「ここに居る四人のIDを発行して貰えますか?」


 前回訪れたポセイドンコロニーのギルド本部では、結局雨宮は冒険者として登録出来ず、強行突破してダンジョンへと突入したが、それでは風情が無いと、グチグチと愚痴をこぼしていた。


 「勿論ですとも、是非ウチで登録していってください、こう言うのは早いほうが良いですからな!君!登録の準備をしなさい」


 「はいっただいま!」


 急に元気に動き出したジョンによって促された女は、急いで部屋を飛び出し、何かを取りに出て行く。

直ぐに戻ってきた彼女は、その手に金属製の大きなトランクを持っているが、それをテーブルの上に置くと、ガチャンガチャンと金属音を立て、トランクだった物は展開し、顕微鏡の様な不思議な機械に自動で変形した。


 (うぉぉ・・・・・・これ欲しい・・・・・・ってこれなんだ?)


 雨宮は一瞬で謎の装置の虜になり、ひっくり返してみてみたい、バラバラに分解したい、と、気持ちを抑える事も無く喜々としてその行く末を見守っている。


 「珍しいですかな?今迄設置型の物しかありませんでしたが、メーカーの努力の賜物ですな、持ち運びが出来るまでに進化いたしました!」


 「持ち運ぶ必要がありますのん?」


 エクスの疑問も、最もだと説明をしようと意気込んだジョンを遮り、機器を持ち込んだ女がそれを語り始めた。


 「それはもう!やんごとなきお方の元へと持ち込みましてですね?お忍びでのダンジョン攻略をお助けする事も我々の仕事ですし・・・・・・」「こほん」


 ジョンが咳き込む真似事をすると、急に元気に語り出した女はスッと口を閉じ、一歩後ろへと下がる。少し恥ずかしげに頬を染めているが、雨宮には好印象である。


 「成る程なぁ、漸く俺も・・・・・・冒険者か!」


 「良かったねぇ銀河きゅん」


 雨宮は促されるままに顕微鏡の様な機械の中に指を入れ、チクリと痛みを感じる事も無く、穴の右側のランプが黄色から青に変わり、登録の終了を示唆している。

そのまま他の三人も登録を済ませ、後からエクスはふと思う。


 (うちらの身体の詳細情報でも盗られたらどないしょか・・・・・・)


 「エクちゃん、そんな事は出来ないから気にしなくても良いょ」


 びくりと肩をふるわせて何故答えた!?とロペを凝視するが、ロペはにへらとスルーして秘書の女性が取り出したIDカードの色に注目する。


 「・・・・・・見た事の無い色だねぇ?」


 秘書が持ってきた雨宮のIDカードは白く光沢を放つ、金属のカードだった。


 「此方ロイヤルカードとなりまして、王家の方々や、極一部の上位議員、貴族の方々にお渡ししております」


 「成る程、ランクが分からない様になっているんだな」


 「せやけど、これを持ってる事でVIPなんがバレてまいますなぁ」


 「それを誇示したがる方もそこそこ・・・・・・いえかなり・・・・・・いらっしゃるので」


 (自慢したいのかな?俺も分からなくは無いが・・・・・・そういう時は物を見せるというより、中身じゃ無いのかなぁ?寧ろ馬鹿にされねーか?)


 この世界の上流階級の人間は、ステータスとして冒険者を経験した事がある、と言う事をひけらかしたい様で、ランクを気にする者は殆ど居ないらしい。

しかし中には、実際に冒険者として慣らしてランクを上げたいという者も極僅か存在しているらしく、銀河旅団でいうキャッシュマンファミリーがその極僅かの中の存在だという事だ。


 「普通のを貰ったりも出来るのか?」


 「勿論ですとも」


 秘書はその白いカードの下から普通の暗めの銀色のカード、所謂鉄のカードを見せて雨宮の前に並べた。カードの表にはにはF、一番下のランクと名前が、裏側にはジョブのJ、ポジションのP、クランのCが空白のままで刻まれている。白いカードの方には何も記載されて居らず、これで何が分かるのだろうかと雨宮は首を傾げる。


 「そのカードは上流階級の方々に人気のシルヴァタイトで出来ているのですよ、それを磨き上げるとその様な白い光沢を放つ物が出来上がります。又カードの中にはマイクロマジックストーンを埋め込んでありますので、情報はきちんとその中に刻まれています。」


 (成る程な、幾らでもフェイクをかます事が出来る訳か、上流階級ってのは面倒だな・・・・・・って、マイクロマジックストーン?)


 鉄のカードは冒険初心者の証である。このカードを見せる事で、様々な施設から割引を受ける事が出来たり、冒険者専用施設を利用する事も可能となる。

多くの冒険者は定宿を持たず、転々と場所を移動して生活している者も多い。


 マイクロマジックストーンは所謂魔石、その魔石に宿る魔力を逃す事無く、特殊なカッティング技術によって超小型化、硬質化させた物がこのギルドIDの本質でもあるマイクロマジックストーンである。その小型魔石の中に、ギルドのみが保有するマジックサーキットの立体加工術を用いて、圧縮しデータ化した情報を刻み込んでいる。ランクが上がれば、外側の金属カードから小型魔石を取り出し、上位の素材のカードへと移し替える。この技術もギルドの専売特許として知られている。


 「へぇー、割引ねぇ」


 「まぁ皆さんにとっては対した事では無いかもしれませんが、駆け出しの冒険者にとっては、命綱にも等しいサービスなのですよ」


 ギルドと提携しているホテルや、民宿、食堂などは冒険者のギルドIDを使う事で、ほぼ無料で提供される。

武具を取り扱う商店や、各種アイテムのメーカーショップなども、冒険者ランクによって割引率が設定されており、格安で提供される様にギルドとの様々な協力関係が結ばれている。


 「何の因果か、いきなり金から手に入ったからなぁ・・・・・・」


 未だに何故か増え続けている預金残高を思い、ゲーム等のスタートである所持金ゼロだとか、そう言う部分を光の速さですっ飛ばし、お金に対する安心感だけを手に入れた雨宮は、金銭を稼ぐ事の重要性を完全に失念している。


 「ふむ・・・・・・この裏の空欄はこのままなのか?」


 「いえいえ、その情報を入力して頂ければ、此方でも登録出来ますよ」


 そう言ってジョンは雨宮のIDを、登録マシンに設置した。


 「ではでは、如何いたしましょうか?」


 (そうだなぁ・・・・・・ジョブはなんだ?職業・・・・・・こ・皇帝?ポジションなんか何処でも良いし、クランは・・・・・・)


 「クランはどうしようか」


 「銀河旅団で良いんじゃ無いのぅ?」


 「銀河旅団でええと思いますけど」


 ロペもエクスも以前のままで良いという。


 「じゃあ銀河旅団で」


 「承知いたしました、皆様もそれでよろしいかな?」


 皆が肯き、全員のIDに情報を入力した所で、雨宮は気になった事を聞いてみる。


 「もうダンジョンには入って良いのか?」


 「勿論・・・・・・と言いたい所なのですが、駆け出しの冒険者として此処のダンジョンに入るのは、ギルドマスターとしてお勧めは出来ませんが、ヴァルハラダンジョンを突破した事も聞き及んでおりますので・・・・・・、問題ないのでは無いでしょうか?あそこもSランクですし」


 各惑星圏の主要ダンジョンと呼ばれるダンジョンは、惑星の名を冠し、尚且つ、その地域において最難関のダンジョンであると言われている。

水星圏、ヴァルハラダンジョンもその名に違わない物ではあったのだが、ヴァルハランテ消滅に伴い、洞窟部分も無くなっていて現在のポセイドンコロニーにはダンジョンが無い状態になっている。だからどうだというと、元々各地域のギルド本部は、最難関のダンジョンの氾濫(スタンピード)を防ぐ目的でそのダンジョンに併設されるのだが、本部のある場所にダンジョンが無いと、その本部を維持する為の資金が得られず、これからどうしようかと、今正に混乱している状態なのだとか。


 「なら・・・・・・行っちゃう?」


 「そうだな、今のうちに経験しておく方が良いだろう」


 「そうやねぇ、今や無いと難しぃなるかもしれへんし」


 (え?なんで?)


 「ほなさっそく行ってみますか?」


 「お・おう・・・・・・」


 雨宮は何だか腑に落ちない様子だが、五人はサクッと席を立つと、ロペとエクスが雨宮を立たせ両腕を取り外へと向かう。


ーーーーーーーーーー


 「済まないが雨宮、一度ウチに寄らせて貰っても良いか?荷物を取りに行きたいんだ」


 「そう言えばそんな事言ってたな」


 雨宮と新庄が、そんな事を言っている間に、ヒューニが車を止め、一行は新庄家へと向かう。

ジョン・田中 人種 五十二歳 ギルドマスター


 月圏レッドアイコロニー冒険者ギルド支部所属のギルドマスター。


 月共和国生まれ、若くしてBランク冒険者として活躍した、元チャイルドエリート。


 月共和国に起こっていた、小競り合いによって産まれた戦災孤児として生まれ、激戦区として言われていた戦場で終結まで自力で生き残り、少年時代を戦場で過ごす。

戦争の終結と供に、救助活動をしていた冒険者パーティーに拾われ、ギルドの孤児院へと入所する事になった。


 幼少期より魔法への高い適性を発揮し、ギルドに登録出来る最少年齢十歳に成った頃、その力を認められ、チャイルドエリートとしてレッドアイコロニーの冒険者となる。

しかし、通常チャイルドエリートはDランクから始まり、Bランクへと至るまでに十年以上はかかると言われていたが、ジョンは僅か三年でBランクへと至った。

その才能は計り知れずとも言われていたが、突如冒険者を引退、ギルドの職員として働き始める事になった。

その理由は未だ誰にも明かされて居らず、まことしやかな噂が囁かれている。


 職員となってからは運動不足がたたり、かなり腹が出てきている事が悩みの種。


 趣味は猫をあやす事、好きな食べ物はジャンクフード全般。



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