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EP66 進化の日

猫派です

ーシンシィ・ルー


 「ぶぅああああああああああああああああああああああ!!!!」


 雨宮達銀河旅団が全員小惑星から離れるまで、睨み合いを続けていたシンシィと巨人だったが、ラピスからの一報を受け、貯まりに溜まった膨大なエナルギーの一部を解き放つ。性別を超えた何者かと思う程の激情を吐き出し、怒りと憎しみを直に()つける様な激しい振動と空気の壁を押す何かが、小惑星全体を吹き飛ばし巨人とシンシィは宇宙空間に漂う。


 (殺す!いや駄目だ!殺す!駄目だ!)


 雨宮から生け捕りにしろとの命令を受けている事も有り、全力を出しつつ手加減をしろと、相反する行動を取らなければならない事に若干の迷いがあるが、その迷いを見て取った、視界を取り戻した巨人は何やら周囲から何かを集め始めた。


 「ゴォオオオオオオオオオオオ!」


 巨人は両腕を大きく広げ、白い光に包まれると、その身体の周囲に何やら肉片のようなものが集まり始める。

恐らくアレは、分解されずに残してきたあの場に居た非戦闘員と思われるものだろう。雨宮達銀河旅団のクルー達は、重要そうな人物を除き、一切を助けずに無視して脱出したのだった。


 纏わり付いた肉片は徐々にその身体と一体化し、数秒も経つ頃には元の三つ頭の巨人ができあがっていた。


・・・五倍程の大きさに成って。


 「大きくなれば良いってものじゃ無いんだー!!」


 シンシィは宇宙空間を自在に飛び回り、その拳に黄金色のオーラを纏わせ、脇腹と思われる部分へと猛烈な勢いで拳を叩き込む。


 「シッ!」


 あまりの勢いと、予想だにしない重さの拳に、巨人は撃たれた左脇腹を中心にくの字に折れ曲がり、周囲を漂う小惑星の破片へと突き刺さる。


 「その両側の顔は無くなっても死なないだろー!」


 確認も何も出来ないような事を、自らの勢いだけで納得し、オーラを手に集中させたシンシィは拳を作り、フラフラと突き刺さった身体を何とか引っ張り出した巨人へと向ける。


 「ナノマシンで無理矢理死なないようにはしてやる」


 両拳を巨人の三つ顔の内、両サイドに付いている、本人のものでは無いであろう顔に狙いを定め、両手の指を弾くようにそろえてオーラを解き放つ。

目視では追えない程の早さでその手を離れたオーラは、両サイドの頭を切り取り、三つあった頭は一つになる、かと思われたが、何を考えたのか巨人は胸に出ていたテラ娘の頭を失った頭部の代わりに移動させ、壊れた人形のような頭が、力無くガランガランと皮一枚でくっ付いているかのような状態で現れる。


 (頭の数にこだわりでもあるのか?)


 あまりに突拍子も無い行動に若干の冷静さを取り戻したシンシィは、何故何どうしてを考える事が出来るまでは落ち着いている。


 (そうか、宇宙空間にはΩウィルスが漂っている筈、あいつはそれを利用しているのかも知れない。)


 以前リンクが戻った時に共有された、クルファウストが反転進化した際に起こった状況と似通っている事を考え、その考えに至ったのだが、肝心のΩウィルスの詳細については、ロペ・キャッシュマンによってロックが掛けられ、情報が秘匿されている。その理由としては情報が散逸化し過ぎている為に、整理が必要だという事だった。


 身体の部位を失いはしたものの、巨人は未だ体力を残しているようで、身体を大きく開いたかと思うと、ぐっと縮こまり、何かを行っている。


 「グ・ォオオオオ!」


 だらんと両腕が、力を入れない状態でフラフラしているのを、何か有ったのかと観察していると、その太い両腕の奥、胸元に何やら赤い光を放つ物が見て取れる。


 (何だ?・・・・・・フレアクリスタル?いや、違う!)


カッ


 (ぐぁ・・・・・・、これは・・・・・・)


 「ぉおおおおおおおおおおおおお!!」


 胸部から放たれた光がシンシィを焼き、オーラが一瞬剥がれた瞬間を好機とみた巨人は、今迄の遅い反応が嘘のように鋭い動きでシンシィに迫る。


 三十メートル程に巨大化した、巨人の迫るスピードにしては早すぎると思う気持ちもありながら、シンシィは落ち着いて身体ごと飛び込んできた巨人を片腕で受け止め、平手で本体の顔面を叩き、頭を掴み、先程光を放った胸の辺りを確認すると、テラ娘の胸に刻まれていたマジックサーキット、紋章が浮かび上がっていた。


 「チェストバスターか、その紋章の効果が銀河旅団に通じると思うなよ」


 一瞬だけシンシィのオーラは剥がれたが、ナノマシンはその光を完全に吸収し、シンシィのエネルギーを僅かに回復させていた。


 「!?」


 「まだ諦めていないようだな」


 シンシィは近くを漂う丁度良いサイズの隕石へと巨人を叩き付け、BM(バトルマリエ)と一体化した拳で数え切れない程の拳閃を叩き付ける。

貼り付けになった巨人は、身動き一つ取れず本体の首だけが、必死に逃れようと力の限りもがき続けているが、隕石から身体が剥がれようとする一瞬を付いて、シンシィの拳は再度巨人の身体を隕石へと貼り付ける。


 「グゴッ!ゴアァ!グペァ!」


 星々の煌めきに匹敵するであろう数の拳を受け、グズグズと内側から肉体を破壊されていく巨人であったが、その心が折れる事は無く、その瞳には今も赤い光が宿りシンシィを捕らえ続けている。


 「この・・・・・・!手加減してやれば調子に乗って!」


 「ぴゅ・・・リア・・・・・・」


 「!?」


ーーーーーーーーーー


異世同位体(いせいどういたい)ピュリア・ナッシュの重大な損傷を検知


同シンシィ・ルーとの共鳴融合を許可申請


g/3ag$j[]ODMからの許諾通知


同位体両名のズレを修整


統一人格を形成


聖女システムの取り込みに失敗しました


勇者システムの取り込みに失敗しました


聖女システムと勇者システムを外部統合


観察者システムへと統合


g/3ag$j[]ODMを観察対象と確定


システムΔへのリンクを確立


リンクが拒否されました


ーーーーーーーーーー


 「・・・・・・ん?何だ?」


 雨宮の脳裏に何かがプロテクトを叩く気配がするが、ログを確認してみても【システムインフォ、表示出来ません】と謎のログが残っているだけだった。


 「ロペ?何かしたか?」


 「ん?何か有ったぁ?」


 「何か表示出来ないログが出たんだが」


 「むぅ~?・・・・・・あ、そかそか、FAMシステムのインフォメーションだねそれ。どれどれ・・・・・・はぁ!?」


 今の今まで優雅にお菓子を食べながら、巨人とシンシィの戦いを眺めていたロペはログを確認し、突然立ち上がったかと思えば呆然とARモニターを眺めている。


 「嘘でしょ?」


 (え?誰?聖女システムって何?観察者システムって何?何かバグってるし・・・・・・知らない事がなんでこんなに?)


 「ロペ?」


 「あっと・・・・・・ごめん分かんないや。何だろこれ?」


 ロペはハッと正気を取り戻し、ARキーボードを開き、何かを調べているようだ。


 「何て書いてあるのか分かるのか?」


 「それは管理者権限の凍結を解除したから分かるんだけど、知らないシステムが動いているみたい?な?」


 「何それ怖い」


 そんな謎が謎を呼ぶ話をしている間に、宇宙空間で戦うシンシィの身体が大量のナノマシンに包まれ、更に雨宮の脳裏に大量のログが流れ、辺り一面が一瞬目映い光に包まれた。


ーーーーーーーーーー


 (私が・・・)(わたしが・・・)


 ((一つになる))


 ナノマシンの殻に包まれたシンシィは、その殻を吸収し新しい命へと生まれ変わる。


 ((銀河おにーさんに祝福を))


 ((この世界に祝福を))


 ((銀河おにーさんを害する者に滅びを))


ーーーーーーーーーー


 ナノマシンで出来た硬質な雰囲気の殻は、徐々にヒビが入り漏れる光と煙のような無数のナノマシンが、改めて中の様子を覆い隠しているが、雨宮に見えるログには、雨宮が不安に思っていた、勝手に進化してしまったシンシィの結果(・・)が表示されている。

 そして雨宮は気付いた。


 「名前を付けてください、って」


 「「「「「えっ?」」」」」


 ブリッジのクルー達は突然何を言い出すのかと、雨宮を怪訝な表情で見つめているが、情報が共有されると皆首を傾げながらも、ああでも無いこうでも無いと、名前を考えている。


 「シンシィでも無く、ピュリアでも無い」


 「じゃあ何だろぅね?」


 「聞いてみるか」


 (ピュリア?シンシィ?)


ーおにーさん?


 (何て呼べば良い?)


 二人の精神生命体が融合してしまった事もそうだが、ピュリアが今まで何処に居たのかとか、何で融合したのかとか、雨宮には謎だらけだったが、其処はロペが分かっているのだろうと、半ば無理矢理納得し、彼女の返事を待つ。


ーんー、そうだなぁ・・・・・・ふゆり・・・・・・ううん、シンシアで良いかな。


 (ふゆり?)


 「シンシアで良いのか?」


ーうん、取り敢えずそれでいいや。あ、もう直ぐ身体が出来上がるよー。


 徐々に殻の周りに纏わり付いていたナノマシンが一点へと収縮し、全てのナノマシンの煙が消え一人の女性の姿がモニターに映し出される。


 「アレがシンシアか」


 姿を現したのは、シンシィでも無くテラ娘とも全く違う造形の美女、宇宙空間だというのにバトルドレスも装着して居らず、見ようによっては只の人間にしか見えない。

薄らとナノマシンを纏っているようで、宇宙空間でもなんともないようだ。


ー何だか不思議な感じがするなー、昔の身体って言っても姿だけみたいだし・・・・・・。


 (なんかよく分からん事を言ってるな)


 「身長百五十八、体重四十二、上から八十二、四十五、七十・・・・・・と言った所か」


 「「「「「!?」」」」」


 突如新庄がそのスペックを言い当てる。


 「よく判るな!?」


 「この程度造作も無い、常にイントたんの進化を見守っているからな」


 サラっと言ってのける新庄の事を、女性クルー達は白い目で見つつ、各々が自分と比較しその様子を見守っている。


 「しかし、あの女見覚えが有る気がするな」


 雨宮の脳裏に流れる大量のログを探してみても、その既視感を拭い去るに足る情報は無く、雨宮の中でモヤモヤした何かが残る。

しかし解決する手段が無い物は仕方が無いと、頭を切り替え、彼女が巨人に対してどう対処するのかを、改めて観察する事にした。


ーーーーーーーーーー


 (咄嗟にシンシアなんて名乗ってしまった・・・・・・ちょっと恥ずかしい。でも、今は仕方が無いと・・・・・・そう信じるしか無い)


 「私はシンシア、貴方は?」


 「グォ・・・・・・」


 (ピュリアであった頃の私の中に、彼の存在を感じる。きっと大切な人だったんだろうな)


 巨人はシンシアを目の前に、茫然自失と言った様子でその気配に囚われ、手を伸ばす。


 「でも、シンシィは怒っているの、おにーさんから貰った大切な身体を傷付けてしまう切っ掛けになってしまったから」


 「グォ・・・・・・!?」


 「私もちょっと怒ってるんだ、こんな形でここに来るつもりじゃなかったのに、貴方がこの世界の私を殺してしまったから、勝手に融合してしまったのよ」


 シンシアは学生服のようなブレザーのポケットから、小さな小箱を取り出し、その中から黒い中指程のサイズの小さな棒を取り出した。


 「浸食」


 「分離」


 「浄化」


 「回復」


 「隔離」


 すっすっと光の尾を曳きながら棒を振り、様々な文様を描き、巨人の身体に光で出来た文様が纏わり付くと、瞬く間に巨人は姿を消し、三人の男とバラバラになったテラ娘の残骸が現れた。そして三人と残骸は泡のような物に包まれ、シンシアと共にラピスの方へとやってくる。


 「あー・・・・・・そうか念話じゃないと届かないか」


 (おにーさん、中に・・・・・・いれてー)


ーーーーーーーーーー


 「はっ!?・・・・・・気のせいか」


 お誘いを受けたような気がするが、誰もそんな事は言っていない、と一人ノリツッコミを脳内で繰り広げた雨宮は、シンシアを招き入れ、ドックへと向かう。


ーーーーーーーーーー


ラピス一番ドック


 「あーーー!!テラ娘ーーー!!」


 ドックへと辿り着いた瞬間、雨宮はバラバラになったテラ娘の残骸へと駆け寄り、そのメインカメラを持ち上げた。


 「こんな姿になって・・・・・・」


 「もうちょっと私の方を気に掛けて欲しいんだけど・・・・・・」


 苦笑いで雨宮に話しかける元ピュリアでありシンシィでも有ったシンシアは、複雑な胸中を押し殺し改めて雨宮に向き直る。


 「初めましておにーさん、・・・・・・シンシアです」


 「あぁ、外見の事もあるから違和感が凄いんだが、日本人か?」


 「あはは・・・・・・黙秘しますと言いたい所なんですけど、転生体でも転移体でも無いです、詳しくは話せませんけど、その内判るようになりますから」


 「そうか・・・・・・」


 シンシアは何か雨宮の知らない事を知っている、しかしそれは話せない。彼女はそう言うと雨宮の側に寄り、ぐっと首を上に向ける。


 「おっきいですねおにーさん、なんでそんなにおっきいんですか?」


 以前突如として雨宮が巨大化した事があったが、最適化を施し、それ以前より少しだけ大きくなるに留まっているが、それでも前世の成人男性の平均身長(普通の人間)を大きく上回るその姿に、多少驚きながらもにこにこと笑みを浮かべながらジッと雨宮を見つめている。


 「大きくなりたいと思ったからだと思うが・・・・・・、丁度良さそうなサイズに成るように調整はしたんだが、面倒でなぁ」


 「おにーさんらしいですね」


 なんだかんだで雨宮の身長は、三メートル近くも有り、気を抜くと巨大化してしまうと言う謎の現象に見舞われている。ナノマシンをコントロールする事でその現象を抑える事が出来ては居るのだが、原因が不明だと言う事も有り、医療部隊からは定期的に医療研究室へと顔を出すようにと言われている。


 「でだ、あの三人は誰だ?」


 「ハゲがガフィア・マーフィーで、髭がユーティリー・ナムラン、ひょろいのがオー・レッチーだったかな?」


 恐らくΩウィルスが原因だと思われるが、男三人が混じり合って生まれたあの巨人の事を考えると、雨宮は薄ら寒い想いを感じ、例えロボで有っても女を求めたのは許されるべき事なのでは無いかと、よく判らない勘違いをしている雨宮だったが、シンシアは三人についてあまり思う所は無いらしく、ツンツンと整備用具用の棚に置いてあったロングレンチを手に取り、突っついている。


 「〇んこかよ、何やってんだ」


 「そのネタ判る人居るのかなー」


 そんなどうでもいい話に移りそうになっていると、ロペが姿を現し、シンシアをスキャンし始める。


 「弾かれる・・・・・・」


 「いやんー」


 シンシアは雨宮の脚に隠れ、ロペはそれを追い掛ける。


 「ちょっと・・・・・・ちゃんとスキャンを受けないと外に放り出すよぉ?」


 「それも困るなぁ、ずっと魔力で宇宙空間に居られる訳じゃないし・・・・・・」


 「アンタは自分がΩウィルスから生まれた存在だって言う事を忘れて無ぃ?そんな物を又此処で散蒔いて貰ったら困るんだけどぉ?」


 「そうなのか?」


 雨宮には分からない事ではあるが、ロペとシンシアの間では事態の共有が出来ているらしく、難しい顔をして考えていたシンシアは、ロペの腕を引き、雨宮に聞こえないであろう所まで連れ出すと、こそこそと何かを話し、ロペを納得させようとしているらしいのだが、このラピス内でナノマシンの存在しない場所など無く、雨宮に聞こえない情報なども存在しない。故に隠れてこそこそと小声で話していた所で、全く意味は無かった。


 雨宮は敢えて二人の相談を聞かなかった事にし、シンシアを今迄と同じ様に扱う事を約束したが、彼女自身、本当にシンシィの方の記憶をちゃんと受け継いでいるのかはかなり怪しい、ピュリアと違い、彼女は雨宮の実験を繰り返し受けていた、被検体でもあるのだ。


 「まぁ良い、此処で長話も何だ、他にやる事もあるし、取り敢えずブリッジに戻るか。ロペ、そいつの事頼むぞ」


 「うーん、まぁ良いかぁ。分かったー」


 雨宮は意識の戻らない三人を、取り敢えずオークと同じ牢屋へと押し込み、シンシアを連れてブリッジへと戻る事にした。


ーーーーーーーーーー


 「戻ったか雨宮、早速通信が入っているが?」


 「ゴンさんか?」


 「そうだ」


 「繋いでくれ」


 雨宮は自分の席を少し大きく改良し、座ると、待ってましたと言わんばかりにトトが膝の上に座る。

シンシアは取り敢えず補助シートに座らされ、ロペからボディチェックを受けてポケットの中のアイテムを全て没収されていた。


 「返してよー」


 「駄目に決まってるでしょ。危なっかしい・・・・・・」


ー此方水星軍機密諜報部隊ゴンザレス中将です、戦況は如何ですかな?


 「ああゴンさん、一応山は越えたかな?教会と思われる場所に居た奴らは、全員小惑星の破壊に巻き込まれてしまっただろうし、あ」


ーあぁ、此方の諜報員についてはご安心ください、ちゃんと自分で戻ってきていますので。


 「それなら良かった。」


ーして、ガフィア・マーフィーにはお会いになられましたかな?


 「会ったには会ったんだが、どうやら写真に写っていたのは偽物だったらしい」


ー何と、では本物は別に存在していると言う事でしょうか?


 「本物はこっちで預かっている、瀕死の状態だったからな。引き渡そうか?こっちでは特に必要・・・・・・」


 「大丈夫だよ、もうチェックできるところはチェックしたから、引き渡しちゃっても」


 「だそうだ。要るなら持って帰っても良いが、一応無実の囚人って感じなんだがどうなるんだ?」


ー知っている事を確認するぐらいですな、此方にも既に情報を頂いておりますので、掃き溜めの後を捜索して偽物の残骸でも手に入れば・・・・・・。


 「そいつは無理な話だな、あそこにはもう何も残っていない。残っているとしたら、建物の残骸と、資源コロニーの残りぐらいじゃないか?」


ー何と・・・・・・しかしそうですか、あそこは私有地として登録されていますから・・・・・・そうだ、ノブン・オーカーは現場に居ましたかな?


 「あー・・・・・・居た居た。彼奴も牢に閉じ込められていたって言う話だな?」


 「そう言っていたねぇ、彼も大分衰弱していたし、数年単位で閉じ込められていたのかも知れないねぇ」


 ロペは通信の間にも、関係人員の出所を洗っているようで、詳細なデータが雨宮の手元、ゴンザレスからは見えない位置へと情報が表示される。


ーなる程・・・・・・此方で出来る事はあまり無いようですな。周辺の警戒に当たらせて貰っても?


 「ああ、問題ないよ。撃ち漏らしも無かったと思うが・・・・・・あ」


 雨宮は掃き溜めへ来た当初に、戦闘機を拿捕していた事を思い出し、牢屋へと押し込んだパイロットのリストを表示する。


 「ゴンさんこんなの有るんだけど・・・・・・要る?」


 雨宮はクロスチャーチルの人員データを、リスト化した物の一部をモニターに映し、ゴンザレスへと問いかけると、難しい顔をしていたゴンザレスの顔が一気に晴れやかになり、今日一番の食い付きを見せる。


ーそれは!!!まさかクロスチャーチルの出資者のデータですかな!?


 (確かにそう言うデータも有るが、全部のデータを纏めてあるから、それだけじゃぁ無いんだがなぁ)


 「まぁ似たようなもんだ」


ー是非!是非にでも!!!そのデータが有れば、連合政府もろとも一掃出来るのです!!


 (ん・・・・・・んん?)


 「ゴンさん?何すんのそれ?一掃?」


ーこの時を待っておりました!そのデータさえ有れば!腐敗した上層部を一掃出来ると!はっ!?


 ゴンザレスはヒートアップしたままで、何かを語り出そうとしたが、正気を取り戻し、一つ咳払いをした後急に頭を下げた。


ーどうかそのデータを譲って頂けませんでしょうか!!


 「いや、別に良いんだけどさ、何に使うの」


ークロスチャーチルの出資者と思われる者は少なく有りません、そしてその多くが現連合政府の中に多数派を占めているのです。


 「えぇ・・・・・・」


ー彼らの邪魔が入るせいで、軍警察も、我々連合軍も、クロスチャーチルの形跡を負う事が出来なかったのです。それ故に現場を押さえるしか方法が無く、後手後手に回り、今迄テロを未然に防ぐ事が出来なかったのです。


 「諜報員は居たじゃん?」


ー彼らと此方の繋がりを知らせない為に、連絡は数ヶ月に一度のみとなっていました。やはりその程度の連絡頻度では、情報も偏りがちで、先手を打つ事は難しかったのです。

 「大した精度の情報では無かった訳か」


ー恥ずかしながら、隊員の身の安全を最優先にしております故、リスクを冒す訳にも行かず・・・・・・。


 本気で情報を集めようと思えば出来ない事も無かっただろうが、調査の継続と、定期的な情報源の確保を考えた時、其処までのリスクを負う訳には行かなかったのだろう。しかし、全くテロを防げなかった訳では無いようで、その為にパトロール部隊へと僅かな情報とは言え、精査した情報を渡す事が出来ていた。

今回掃き溜めの位置を発見し、諜報員が脱出出来たのも、息を潜め、長い期間潜伏を続けていた事によるものが大きいのだとゴンザレスは言う。


 戦争が形を潜めてきた事も有り、軍縮の傾向に有る現在の連合軍では、人員を失う事が何よりも痛い。特に諜報員に至っては、長期間の潜伏を必要とする場合も少なくない為、常に人員の確保は最重要課題であった。


 「諜報部隊ってのは大変なんだなぁ」


ー恐れ入ります。


 「まぁ、このデータはそっちに送るよ、上手く使っておくれ」


ーありがとうございます!この御恩は必ず!


 「まぁ良いって事よ」


 モニター向こうに映るゴンザレスの様子がそわそわしたものに変わり、ちょっと気の毒になってきた雨宮は、軽く情報の交換をし通信を切った。


ーーーーーーーーーー


 「ふぅ・・・・・」


 (これで一応、水星圏(ここ)でやっておかなきゃ行けない事は終わったかな?)


 巨人の二人、グゥルメィク、ドランドゥオとの約束の為にヴァルハラダンジョンへ行き、世界の崩壊に出会い、ヴァルハランテの住人を神域へと移住させた。

そしてその道程で、ブレーメンの魔女を拾い、煉獄社と少し仲良くなった。

冒険者ギルドにも登録する事が出来たが、雨宮のレベルは殆ど上がっていない、一応レベルゼロというのは終わりを迎えた訳だが、ダンジョン自体が物のついでだった為に、全くと言って良い程雨宮の気持ちを満たす物では無かった。

 クロスチャーチルは、今回出合った者達はほんの一部であったようで、未だに余所の宙域ではテロが続いている。

手に入れた情報の価値は大きいが、雨宮には特に今の段階で知る必要の無い物であった。


 七番艦の研究チームは、ロペによる情報の精査を受けたΩウィルスのデータを手に入れ、抗Ωウィルスプログラムを開発、ナノマシンサーバーに常駐させる事に成功した。コレにより、裏返りを強制する状況をクリアする事が出来るようになり、雨宮はほっと胸をなで下ろした。


 シンシアは今の所どういう存在で有るのか、何が目的なのか、そう言った情報のほぼ全てが謎で有り、雨宮にとっては興味が大変湧く状況ではあるのだが、強要する必要も無いとの事であったので、雨宮はその言葉を一応信じたフリをして、彼女を監視する事にした。


 「銀河きゅんΩウィルスについてなんだけどね?」


 「ん?」


 ロペは情報の精査が終わったΩウィルスについて、雨宮に説明すると共に、自らの考察を交えて話を進める。

ブリッジに居るクルー達は、一旦手を止めその話に耳を傾けた。


 「えっと・・・・・・まず前置きからね、私が記憶を全部取り戻したのは何となく分かるよね?」


 「うーん、何となくな」


 「じゃあ最初から話すけど、まずこの世界に界獣が最初に侵攻してきたのは、約十年前」


 「採掘戦争の前の話ですか」


 レビルバンは当時の事を思い出しているのか、目を閉じながらもエラがパタパタと動き、その構造はどうなっているのかと雨宮はレビルバンをちらっと見た。


 「その時は救援を求めて連合軍に通信を送ったんだけど、その救援は無かった事になったよね?」


 「あぁ・・・・・・情け無いけどそうらしいね」


 ジェニはロペの居る副官席のコンソールに腰掛け、スルメを一囓りしている。


 「其処から五年間、第三世界では海賊やクロスチャーチルとの小競り合いはあったけど、大きな戦争は無かった。でも、神域はその間十年掛けて甚大な被害を受けながら、消耗戦に入っていたんだ」


 「それこそ、完全に崩壊してしまうくらいに・・・・・・」


 アイリーンは自らが送り出した仲間達の事を思い、僅かに俯いてしまう。


 「そして五年前、この世界は採掘戦争何て言われている戦争に突入して、月圏と太陽系連合軍の利権の奪い合いが始まったんだ。」


 其処まで話を聞いて雨宮に疑問が湧いた。


 「ロペは戦争にも参加していたんだろ?採掘戦争の英雄なんて呼ばれていたじゃん?神域にはその時居なかったのか?」


 「其処がポイントなんだよね」


 「ふむ・・・・・・」


 「私達は・・・・・・と言うか、神域は厳密にはこの世界の中では無くて、外に位置する場所なんだょ」


 「ほぅ?」


 「つまり時間の流れがそもそも違うって事なんだけど、それもまぁちょっとした事で、もっとおかしな事が有ってねぇ?」


 ロペは当時の事を思い出しながら、何かをメモするかのように端末へと手を動かし続けている。


 「神域が維持出来なくなった時、つまり、銀河きゅんがこの世界に来た時の事なんだけど、私は銀河きゅんと一緒に転生するはずだったんだけど、出来なくてさ?私とイントだけしか、まともに転生出来なかったのも誤算だったんだけれどさ・・・・・・」


 今度はロペが俯いて、当時の事を改めて思い出し涙が一筋零れ出す。


 「私の魂・・・・・・精神生命体は誰か(・・)の干渉を受けて過去に飛ばされてしまったんだょ。そのことを考えれば、テツとか新庄とか、先に転生させておいて良かったと思ったね」


 「・・・・・・あの頃は俺も若かったが、スキルもまともに使えないままで必死だったな。」


 「俺は・・・・・・いや、俺はあの世界に飛ばされたが返って良かったのかもしれんな、三百年前のこの世界に、普通の人間で生まれてしまったら、お前に会えなかったしな」


 「其処はちゃんと計算していたょ。それと、ちょっと話は変わるけど、銀河きゅんってさどうやって余所の世界の事を調べたの?」


 (おっと、其処に来たか)


 「皆には話していなかったっけ?俺一回上の世界にお呼ばれしてさ」


 「「「「「「「「「「聞いてねぇよ!!」」」」」」」」」」


 (びっくりした!そんな大事か?てか言ってなかったっけ?共有したような気がするが?)


 「何処!?何処に行ってきたの!?」


 「えっとなぁ・・・・・・使い捨ての世界だったみたいなんだが、何って言ったっけ」


 雨宮はサーバーの自己情報隔離セクターへとしまい込んだ情報を取り出し、法典を改めて確認した。


 (良く見たら、この法典もアーティファクトだな)


 「あー、FAM3管理世界・・・・・・だとよ?」


 「直上じゃん!?無くなったの!?」


 「うん。何だっけ、おっさん。あー・・・・・・そうゼロムス・あーなんとかマキナ」


 「ゼロムス・アーマラー・マキナ?」


 「そうそれ、あの世界に閉じ込めて、バイバイしちゃった」


 てへっと、可愛い仕草をしてはみるものの、デカい男が薬指を立てて舌を出す様は地味に気持ち悪い。


 「委員会の偉い人なんだけどなぁ・・・・・・」


 ロペはまあ丁度良いかと、タタタッとタイプし、情報をサーバーへと落とし込む。


 「その上の世界にもアクセス出来そうなんだけどなぁ」


 「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」


 「その上って・・・・・・」


 「ロペは分かるのか?」


 「う~ん、今はまだ難しいかなぁ・・・・・・銀河きゅん勝手に行ったら駄目だょ?」


 何するか分からないし、と雨宮に釘を刺し、への字口になるロペは、何かを終えたようでコンソールから目を離し、雨宮を見据えて視線を合わせる。


 「第二発展世界、進化を終えてしまった終焉世界と呼ばれる場所だよ。さっきのゼロムスが居た世界で、その下にあるとされている第三系列世界軸以降の後発世界を管理しようとしている世界」


 「しようとしている?」


 「不可能だからね、別にその世界が新しい世界を生み出している訳じゃないし・・・・・・、只世界を壊す事は出来るみたいだけど」


 「迷惑な世界だな・・・・・・」


 「ロペも其処に関わっていたのか?」


 「ずーーーーーーーーーーーーーーっと昔にね」


 「そんなにかー」


 「まぁそれはいいんだょ、昔の事だし、本題に戻ろうか」


 「ん」


 「あのウィルスにはこの上の世界、さっき言っていた第二発展世界が関わっていてね、あそこで研究されていたベスワクチンって言う、病気を治すワクチンが変質したのがアレ。Ωウィルスなんだょ」


 「ほほぅ?」


 (成る程ね?発展世界か・・・・・・)


 雨宮は多少の後悔と共に、あの時に切り離し保管していた、ゼロムスの精神生命体の欠片を完全に分解し、意趣返しでもするかのように、その情報を読み取る。

まだ今は必要ない、そう思いながらもその欠片の情報を隅々まで取り込む。残しておくには、今の話を聞いてしまった以上嫌悪感を拭えないが、いずれ必要になる気がして雨宮はその欠片を浄化し、改めて隔離する。


 (・・・・・・釘を刺された所なんだが、道筋が見えてしまった・・・・・・行こうと思えば行けるなコレ)


 「銀河きゅん!」


 「うほ!なん?」


 いつの間にか目の前に来ていたロペは、雨宮から何かを感じ取ったのか、両手を雨宮の頬に当てジッとその心をのぞき込むように視線を合わせてくる。


 「今何をしたの?」


 「な・・・・・・」


 「な?」


 「ないしょ」


 ぎゅーーーーっと押さえるだけだった手を捻り上げ、その頬を引っ張り、そのままの勢いで雨宮の頭をガンガン揺すり雨宮は視界を失う。


 「ひょぉ!ひょぉお!」


 「駄目だっつってんでしょ!!危ないからやめてっての!」


 「行ふぁない!行ふぁない!」


 「絶対だよ!?」


 「わふぁってる、わふぁってるふぁら!」


 「じゃあ次は何処行くの」


 「ふひ」


 ロペは真っ赤になった雨宮の頬から手を離し、雨宮のコンソールの上にひょいっと腰を掛ける。


 「月・・・・・・異世界ダンジョンだね」


 「そうそれ・・・・・・で」


 「む・・・・・・話がそれたね、えーっと、ワクチンが変質した原因としては、人の手が入っているって言うのが分かっていて、今・・・・・・じゃない、私が居た当時は犯人が捕まっていないから、もしかしたらまだどこかに居るかもしれない、詳しくは覚えていないけど、私が聞いたそのウィルスと中身が若干違うような気がする」


 「変質したか、進化したか・・・・・・」


 「どっちの可能性もあるね、だから、完全にそのウィルスを撲滅する事は恐らく難しいと思う。多分もう、多くの世界に流れているはずだしね」


 「迷惑・・・・・・」


 雨宮はロペと約束はしたものの、最終的な目的の一つに、上の世界へと向かう事を加え、頭を切り替える。


 「ふぅ・・・・・・あっそうそう、突然なんだけどさ、レイブとかあの辺を、NVDナノヴァリアブルデバイスと呼ぶ事にします」


 「突然!」


 今迄真面目な話をしていたのに、突然全く別の話に変わり驚く一向だったが、雨宮だし・・・・・・と、気持ちの落とし所は直ぐに見つかるようだった。


 「ふむふむーそれできまりでいいのねー?」


 「ん」


 「では皆に通達しておこう、漸く決まったな、いつから考えていた?」


 「半年ぐらい前からかなぁ・・・・・・」


 出す所が無かったんだと、口を軽くとがらせて言う雨宮だったが、決まって良かったと思う気持ちもあるらしく、特にコレといってざわつく事も無くサラッと流していく。


 「とにかく、Ωウィルスは感染を防止出来るのと、治療は出来る。全員のナノマシンを改めてアップデートするので、少し長めに睡眠時間を取るように全クルーに連絡を、あと、今現在は一時的にウィルスの活動が停止しているだけなので、魔力等を大きく使うような行動は可能な限りしないように」


 「りょーかいなのー」「おっけー全艦に通達・・・・・・」


 ミンティリアが銀河旅団全体へと連絡をするが、何か腑に落ちないようで雨宮の方へと視線を向けてくる。


 「結局月へ行くのよね?何処に向かうの?」


 「おぉ、そう言えば何処に何が有るか全く知らんな!」


 「ちょっとー」


 「月に行くのなら、レッドアイコロニーへと向かおう」


 「其処には何が?」


 「俺の家がある、封鎖は解けているはずだから荷物を取りに行きたい、と言う個人的な事もあるが、若干首都から離れた所に居た方が下手に刺激しないで良いだろう。あのコロニーは俺が管理していたから顔も利く」


 「何かスゲーな!」


 「議員とはそう言うものだ・・・・・・元な」


 「じゃぁそこへ行こうか」


 「了解、次の行き先が決まったわ、月圏レッドアイコロニーへと進路を取ります、各部署は・・・・・・」


 進路の決まった銀河旅団の動きは速く、ブリッジクルーも全員が慌ただしく動き始め、訓練された軍人のようにスムーズに動く。


 「銀河きゅん何時でも行けるょ」


 懸念事項が増えていく事に多少の不安は有るものの、まだまだ世界を楽しめているとは言い難い雨宮は、次こそはと意気込み、膝の上に座るトトの頭を撫でる。


 「わふ」


 「俺は猫の方が好き」


 「ふぁ!?」


 「良し、準備が出来たら行くぞー」


 「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」


 急にディスられた気分になり涙目のトトを撫でながら、雨宮を乗せたラピスは星の海を抜け、光り輝く道へと突入する。

その後ろには、一隻の連合艦が、少し離れた所から急いで付いていこうと、慌ただしく発進するのだった。

シンシア ??歳 人間? ????


 極限状態のシンシィ・ルーが、雨宮の設定したルールを自ら逸脱する事を選択した時、三つ首の巨人によって取り込まれてしまったピュリアの精神生命体と共鳴し、同じ精神生命体を持つ二人は一つになった。

 ピュリアは前世のシンシィであり、シンシィはピュリアの生まれ変わり、即ち聖女である。しかし、シンシィは聖女の資格を持ちながら、そこに至らず、相反する存在とも言える勇者として、勇者システムの管理下に置かれていたが、未知のシステム、聖女システムの管理下に置かれていたピュリアの精神生命体と共に、雨宮の作り上げたナノマシン、そしてΩウィルスによって、二つの精神生命体は融合した。

 融合したその存在は未知であり、既存の存在として雨宮のデータベースに記録されたが、一個の別個体として生まれ変わり、雨宮のナノマシンから切り離された。

なお、雨宮と同界層(かいそう)に位置する存在であり、ナノマシンによるスキャンを拒否する事の出来る存在。

 雨宮は彼女の存在に既視感を覚えたが、雨宮の記憶の中に彼女の存在は無く、特定するには至らなかった。

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