冬休みの計画・パート2
「今日、皆に集まって貰ったのは他でもない」と言う空の言葉に「はいはい、明日から冬休みですねー。 人増えてますねー。 先輩方全員受験合格して卒業式まで遊べますねー」とどこか投げやりに大地が口にした。
「おいおい、そんな嫌そうな顔するなよ?」
そう口にするは大地たちの一つ年下の後輩、ガルム。
今日も彼の身体から微かに獣の臭いがする。
「まさか、ジャックの後輩が入って来るとはな……」と言う菅原の言葉に「仲良くしてあげてねー」と陽気な声音でケラケラと笑うカボチャ頭のジャック。
ガルムがジャックの後輩と言う事は、以前彼を追いかけていたジェシカと言う魔女のコスプレをした女の子もきっとそうなのだろう、と大地は一人合点した。
もしかすると菅原の後輩も一人や二人、この学校に入っているのかもしれないと思うと大地は頭を抱えるのであった。
「ま、そんなことは置いといて。 皆、この冬休み何がしたい?」
空の問いに真っ先に手を上げたのはガルムだった。
「俺、こっちの世界のグァッ!?」
言い切る前に、菅原とジャックが目にも留まらぬ速さでボディーブローを決めて彼の言葉を静止した。
「なっ!? ど、どうしたんだい!?」
焦るジャスティスに対して「何でもない」と言う菅原に対して「いや、何かあるから殴ったのでは?」と的確な指摘をする一騎に「察してやれ」と九十九と進が何かを悟った様な表情で彼の肩に手を置いた。
「そう言えば、僕とガルムは外国から来たから、日本の事をよく知らないんだ。 だからこの国の事を知ることが出来る冬休みになれたらと思ったのだよ」
ジャックの言葉の意味がイマイチ理解出来てないガルムは「何言っているんだ先輩? 俺たちは」の所で再び菅原にボディーブローをお見舞いされた。
そんな彼らの空気を察した空は「じゃあ、日本一周とまではいかないが、F県の観光名所を回るか」と口にした。
「おいおい、そいつぁ別に構わねぇが費用はどうするんダ?」
最もな意見を述べる土御門に「それについては問題ないです」と空が不敵な笑みを浮かべながら人差し指を振った。
「費用なら俺たち二人に任せておけ」と言う進のいつもの謎めいた発言に「じゃあ、安心だナ!」と土御門はニッと歯茎を見せた。
本当にこの二人はどう言う家柄をしているのか問い詰めたい衝動を抑えながらも今年の冬休みの計画は決まったのであった。




