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ツッコム俺の身にもなってくれ!!  作者: 楽椎名
ピチピチの一年生編
33/80

皆でお泊り会

 三月某日。

 とうとうこの日がやってきた。

 綺麗に整理した部屋で大地はまだかまだか、いや、出来れば来るなと願いながらウロウロしていた。

 呼び鈴が鳴る。

 遂にやってきたかと大地は覚悟し扉を眺めた。

 無数の足音が段々近づいてきて、その扉は開かれ奴らはやってきた。

「よっ! 大地! 泊まりに来たぜ!」と一番に入ってきたのは言わずもがな親友、東野院空。

「邪魔させてもらうぞ」と菅原が痛いオーラを発して入ってきた。

「お邪魔します」と律儀に頭を下げて入ってくるは最弱の正義の味方、ジャスティス・正義。

「邪魔するで候」と最早本当に邪魔しに来たかのように下臣兼自称侍の宮本一騎が大地の聖域に足を踏み入れる。

「大地、今日は宜しくな」と礼儀を持って入ってくるは、この面子の中で最もまともな存在、九十九悟。

「今夜は寝かせないぜ~?」と入って早々、問題発言を放り込むは橘高等学校が生徒会長、神藤進。

 すまないが皆、帰ってくれ、と言いたい衝動を抑えながら大地を苦い笑みを浮かべて「よく、来たな。 待ってたよ」と棒読みに言った。

 すると空一行は藪から棒に大地の部屋の中を探り始めた。

「お前ら、やってきたと思ったら何しているんだ?」

 大地の問いに空はあたかも当然の様な表情を浮かべながら「エロ本を探しているに決まっているだろ!」と理不尽な怒鳴り声を上げる。

対して大地は「ふざけるな! プライバシーの侵害で訴えるぞ!?」と肩を怒らせながら声を上げた。

「良いだろ? 別に減るもんじゃないし」と言う進の発言に「減るよ! 下手したらムッツリスケベキャラになっちゃうよ!」と大地がツッコむ。

「大地、安心しろ。 もしこの一件でお前の箔を下げるような事をすれば俺が直々にこいつらを社会から抹消してやる」と何とも頼りがいのある九十九の発言に「九十九先輩……!」と大地は感動を覚えた。

 これでエロ本を探し回らなければ完璧だったのだが、と九十九の後ろ姿を見ながらそう思った。

「人の性癖を知るのも色々と仕ご……、勉強になるからな」と大地の心情を読み取ったかの様に九十九は言った。

 何の勉強になるんだと一つ溜息を零して自分の部屋の中にあるエロ本を見つけ出そうとしている彼らの後ろ姿を見て大地は何を思ったのか、本棚にある一冊のA4サイズの生き物図鑑を取り出し、そのカバーの中から敷き詰められた成人向け雑誌を三冊出した。

「○スノー○か!」と某コンビ芸人風なツッコミを入れてくる空に「夜○月じゃねぇよ!」と某女性芸人風に返す大地。

「健全で良いと思いますぞ! 大地殿!」と一騎の頭の悪そうな発言に「フォローになってねぇよ!」と大地は声を荒げた。

「意外な隠し方するのだな」と菅原はどこか関心した様子で言った。

「とある世紀の大怪盗が活躍する小説に『物を隠すならあえて解りやすそうな場所へ』と言う言葉を参考にあえてその生き物図鑑のカバーの中に詰めて本棚に置いていたんだ」

 大地の説明に「これは良いアイデアだね。 僕もやってみるよ」と堅物な風貌をしているジャスティスが決して口にしないような発言に一同は大きく目を見開く。

 そこから大地たちは好きな異性のタイプなどをお互いに話したり、ゲームをしたりと楽しい時間を過ごしていく内に、窓の外はすっかり暗くなっていた。

 皆で大地の母が作った夕飯を食べ、風呂に入り、それからまた暫く雑談をしては床に敷かれた布団にそれぞれ潜るのだった。

「いや~、楽しい一日だった」

 そう口にするは生徒会長、神藤進。 彼の顔はこれまでにないと言う程に満足な表情を浮かべていた。

「今年は特に楽しい一年だった」と九十九が一年間の感想を述べる。

「来年度もこんな事が出来ると良いな」とどこか祈る様に菅原は口にした。

「来年度もまたこうして楽しく過ごそう!」とジャスティスが言った。

「来年度も勤めを果たすで候」と来年度の意気込みを語る一騎。

「皆、来年度も宜しくな!」と空はこれから冒険を始める少年の様に口元を横に広げた。

「ああ。 来年度も宜しく」

 ただ一つその前に、と大地は言葉を続ける。

「ボケをかますのは構わないが、たまにはツッコム俺の身にもなってくれ」

 と懇願する様に瞼を閉じるのだった。


 ピチピチの一年生編・完


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