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ツッコム俺の身にもなってくれ!!  作者: 楽椎名
ピチピチの一年生編
25/80

裸の突き合……、突き合い!!

 橙色に染まっている木材で出来た空間で、六人の漢たちはベンチに腰を掛け、黙々と多大な汗を流していた。

 内三名を除く他三名は、今にも飛び出したい気持ちで心がいっぱいであった。

 しかし、景品を賭けている以上、それは出来ない。

 その三名はメンツの一人に視線を送る。

 目に映る彼は、まだいける口なのか、余裕の表情を浮かべていた。 他二名も同じ様な顔をしていた。

 すでに自分の限界の要領をオーバーしている三人は互いに睨み合っていた。


 お前ら二人のどちらか先に出ろ、と。


 何故、この様な状況に陥ってしまったのかを遡ること約三十分前。

 温泉の前で、メンバー全員が集結し、空を筆頭に中へと入って行った。

 それぞれ受付で代金の支払いとロッカーの鍵を受け取り終え、更衣室へと入り、衣服を脱ぎ取る。

 腰にタオルを巻き付け、浴場の中へと足を踏み込む。

 皆、身体の汚れを洗い流して浴槽へと浸かる。

 あぁ、と気持ち良さそうに声を漏らしながら温泉を堪能していると、不意に空が口を開いた。

「そうだ、ゲームをしよう」

 また始まった、と大地は頭を抱える。

「どんなゲームをするんだ?」とジャスティスが聴くと、空は「あれだよ」とサウナルームを指差した。

「全員、あのサウナルームの中に入って忍耐力を競う。 先に外に出た人間が負けだ」

 という空の説明に「面白うそうだな!」とちっとも面白くないノリに乗る私立橘高等学校が生徒会長、神藤進。

「罰ゲームは?」

 大地は念の為に聴くと、空は「勿論、皆に飲み物を奢って貰う!」と言って白い歯を見せながら親指を立てた。

「面白そうだな。 やるか!」と九十九が立ち上がった。

「戦士たる者、どんな勝負であれ、背を見せる事は許されない」と痛い発言をしながら菅原が立ち上がった。

「この勝負、負けられない……。 ジャスティスの名に懸けて!」と珍しく訳の解らない発言をしながら立ち上がるジャスティス。

 またしても逃げ場が無くなった大地は仕方なくその(闇の)ゲームに参加するのであった。

 そして現在に至る。

 大量の汗が頬を滴り床へと落ちる。

 体力は消耗していく一方、大地、菅原、ジャスティスの三人はお互いに相手をどうこのサウナルームから退室させるかを模索する。

 すると、その中の一人、大地が何かを思いついたのか、菅原とジャスティスに「二人とも、少し良い案がある」と声を掛け、視線を自分に集める。

「俺たち三人、もう体力の限界だ。 しかし、他の三人は御覧の通り、余裕綽々としている。 このまま、根競べをしたところで、俺たち三人の中の一人は下手をすれば死んでしまう可能性もある」

 そこでだ、と大地は拳を振り上げ言葉を続ける。

「俺たち三人でじゃんけんをしよう。 一回勝負。 負けた者がこのサウナルームから出る。 オーケー?」

 大地の要件に「オッケィ!」と菅原とジャスティスは親指を立てて承諾した。

「行くぞ! ジャンケンッ!」

 ポンッ! と大地はグーを出した。

 他の二人はパーを出していた。

 予想外の結果に、三人の中で気まずい沈黙が走る。

 

その後の事は、心中をお察し願いたい。


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