第60話:大手アイドル事務所完全滅亡カウントダウン
第6章:【覇王・二輪覚醒編】平成裏面史の浄化と16歳のバイク通学
第60話:大手アイドル事務所完全滅亡カウントダウン(1999年12月末・16歳・定時制1年)
1999年最後の大納会を目前に控え、東京株式市場とニューヨーク市場は狂乱の極みに達していた。
ガレージのデスクに置かれた神のスマホの液晶には、草壁梓の自動執行プログラムが弾き出す膨大なログが秒単位で流れている。
仕込んでいた日米のハイテク銘柄、ドットコム株の株価は、天を衝くような垂直の放物線を描いていた。
市場の狂気は、俺が投じた資本を容赦なく膨張させていく。
350億円だった資産の数字が、点滅するたびに書き換わった。
400億円、420億円……そして、450億円。
16歳の少年が定時制高校の冬休みを過ごす間に、一つの国家の予算に匹敵する資本の奔流が、アマテラス・グローバルの口座へ還流していく。
「大掃除の時間だな……」
誰もいない空間に、俺の声が響く。
画面をタップし、データベースの深層から一つの極秘ファイルを呼び出す。
そこには、日本の男性アイドルシーンを独占し、メディアすらひざまずかせる最大手芸能事務所が、数十年にわたり隠蔽してきた闇のすべてが記録されていた。
創業者による少年たちへの筆舌に尽くしがたい性的搾取、所属タレントを利用したテレビ局への横暴な圧力、競合他社の徹底的な排除、そして政財界との不透明な癒着。
被害に遭った少年たちの血の滲むような供述ログ、合宿所の見取り図、隠蔽工作に使われた裏金口座の送金履歴にいたるまで、現世の警察すら掴んでいない動かぬ証拠が完璧な解像度で揃っている。
彼らは自らの権力を絶対的なものと過信し、表舞台で虚飾の栄華を誇っている。
だが、その首根っこを掴んでいるのが、宮崎のガレージにいる中学生上がりのガキだとは夢にも思っていないだろう。
俺は神のスマホから、東京の不破厳の端末へと暗号化されたデータを転送した。
法理の盾たる不破が動き、同時に草壁梓の構築したサイバー網が、インターネットのアンダーグラウンドからこの醜悪な真実を一斉に解き放つ。
20年以上後に史実で起きるはずだった帝国の崩壊を、この1999年の冬、俺の資本と電脳の手で強硬に前倒しする。
言い逃れも、メディアへの圧力も、450億円の資本力と未来の電脳技術の前には一切通用しない。
巨大な利権の城が内側から崩壊していく足音が、確かに聞こえ始めていた。
(アマテラス・グローバルの総資産:450億円)




