第366話「消耗戦への突入」
#第366話「消耗戦への突入」
現行のドローンだけではレベル4のモンスターに対抗できない。
それを悟ったA国は国の威信にかけて、ダンジョンから氾濫するレベル4モンスターへの対策を本格的に進めていた。
これまでの主力はドローンだった。だが、現状の性能では通用しない。よって新型ドローンの開発は急務。
それは間違いない。
しかし、現状で開発されるまでの時間を待っている余裕はない。いつレベル4モンスターの氾濫が起きるのか分からないのだ。
そのため既存兵器での対応も同時に検討されることになった。レベル4モンスターは、もはや従来の脅威とは別物だ。
そして、軍内部ではこう結論づけられた。
「戦車相当以上の脅威」と扱うべきだと。それは国と国との戦争レベルへの脅威の引き上げと言えた。
そこで浮上したのが、携行型誘導弾だった。
・高威力
・追尾機能付き
・数発あれば主力戦車でも破壊可能
敵の動きに合わせて追尾するので命中率は格段に高い。これならばレベル4のモンスターでも何とかなるであろう。
軍事専門家の言及に国家首脳部も安堵の声を上げた。
「一時はどうなるかと思ったが何とかなりそうだな。ありがとう」
しかしすぐにその手法の問題を上げる声が出た。
「いや、そんな簡単な話ではありませんよ。あくまでも理論上の話になります」
「それはどういうことだ?」
携行型誘導弾には様々な問題がある。まずは高いのは威力だけではない。
価格も跳ね上がる。一発およそ三千万円。数発でドローン千体規模の価格になるのだ。これまでのような配備は不可能である。
量産効率も決して良いとは言えない。大量に必要となれば現状の量産体制では確実に間に合わないだろう。
それでも現状、他に有効な手段はなかった。
A国はレベル4モンスターと携行型誘導弾の戦力比を暫定的に「1:5」と見積もった。
レベル4モンスター1体に対し、誘導弾5発が必要ということだ。すなわち金額換算すると、レベル4モンスター1体で1億5千万円ものお金が飛ぶ。
仮に10体が同時発生すれば、それだけで15億円規模となる。従来のドローンは千機用意しても1億円以下だった。
桁が2つ違う。確実に対応ができるとは言いにくい数字だ。
しかも問題は金だけではなかった。
現時点でA国に備蓄されている携行型誘導弾は約三万発。もし数百回の氾濫が起きれば、理論上は枯渇する。
もはや通常戦争に使う余裕はない。これまでは携行型誘導弾を他国に供与することもあったが即座に取り止めとなった。自国防衛のために必須と判断されたのだ。
こうして、レベル4モンスターの出現は武器大国のA国の体制を大きく変えた。
そしてC国も同様の結論に至った。
やはり携行型誘導弾の投入が必要との判断だ。そのためにC国は自国内の各地軍事基地に携行型誘導弾の配備を進めた。
そしてその直後、C国でもレベル4モンスターの氾濫が発生した。
A国でのレベル4モンスター氾濫映像分析を踏まえ、即座に携行型誘導弾が投入された。
値段が跳ね上がるために無駄撃ちはできない。そのため、できる限りドローンで包囲し、追い詰め誘導弾で仕留めるという戦法が採用された。
理想的で合理的な戦法であろうと軍事首脳は当初、自画自賛した。A国よりも素早く討伐を進めることができると考えたのだ。
しかし……現実は甘くなかった。
レベル4モンスターは想定以上にしぶとかった。味方を盾にしたり弱点をカバーしたりと知能のある動きで攻撃側を惑わせた。
A国の当初の試算では「1:5」であった。
だがC国での実戦の結果では「1:20」という結果となった。A国想定の4倍の数字だったのだ。
そして、その日だけで二百発の誘導弾が消えた。それは戦争並みの消費量だ。たった一回だけのレベル4モンスターの氾濫にも関わらずだ。
これではC国国内での備蓄ですら心許ない。これまでのドローンのように他国に融通する余裕など全くない。
C国は密かに携行型誘導弾の増産を急ピッチで進めることになった。
そして、この情報も、やがて世界へと広がっていった。C国は秘密にしていたのだが一部の人間がリークしたのだ。
そして現状がその認識を追認させた。C国は急激に武器の輸出を大きく絞ったのだ。携行型誘導弾の大量生産に大きく舵を切ったので他の武器の製造に支障をきたした。
C国の危機感が否応なしにも他国に伝わった。
こうして新たに投入された兵器によって、理論上はレベル4モンスターも対処可能と思われた。
だが問題はコストと数だ。
武器大量生産国であるA国、C国ですら、備蓄が足りる保証はない。両国とも自国防衛で手一杯なのだ。
他国に優先的に供与する余裕などない。
そうして各国もまた、レベル4モンスターに対抗する独自武器の開発を急いだ。だが、軍需産業の立ち上げは一朝一夕では済まない。
A国、C国のレベル4モンスターの氾濫という現実は、新たな絶望を世界に突きつけていた。
次が来たら、A国、C国でさえも耐えられる保証はない。それ以外の国であればなおさらだ。
世界は静かに、しかし確実に、消耗戦へと足を踏み入れていた。
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