第198話「ロアも外の世界の学習へ」
#第198話「ロアも外の世界の学習へ」
ロアがレベルアップしFSが遷移した。これでロアもダンジョンの外に出られるようになった。
朝倉さんにその報告を入れると「近いうちに直接来てほしい」とのことだった。そこで日程を調整し、後日改めて訪問することにした。
おそらくは、陣馬高原ダンジョンの氾濫をラムとリンが抑えた件も聞かれるだろう。朝倉さんのオフィスを訪れる前に一応、エリナさんにもどのような話になっているのか状況を確認しておこうと思う。
その後はラムやリンがレベルアップした時と同様に帰り道で100円ショップに立ち寄った。ラムとリンはもう慣れたものだが、ロアはまだ初めての買い物に緊張しているように見える。ちょっと落ち着かない。
触ると壊してしまうからと、両手を後ろに隠したまま店内をキョロキョロと見回していた。
それでも興味津々なようで楽しそう。ラムやリンに「あれは何ですか?」「これは?」と質問を繰り返している。
「それは料理に使うものですね。マンションにあるので使うといいですよ」
「わぁ、楽しみだ! 僕も早く使ってみたい!」
「これは組み立てて遊ぶものですです。力調整になるので買っておきましょうです」
「これで遊べるの! 楽しみだ!」
ロアが用途を聞くたびに2人が優しく答えるものだからロアの目はまるで子供のように輝いていた。まあ初めての買い物みたいなものだからこういった反応にもなるよね。
本当はスエットやゴーグルなども購入したいのだけどそれは次回でいいかな。朝倉さんに報告しその時の状況を見て考えよう。
その後、買い物を終えマンションへ帰宅。そして恒例の“力の調整タイム”が始まった。
まずはお馴染みのコイン。
「遠慮はいらない、思いきり潰してみていいぞ」
そう言うと、ロアは慎重に指先でつまみ……「パキン」。
はい、割れました。例によって一瞬で真っ二つになった。見慣れた光景とはいえ、やっぱり人間の力ではあり得ない。思わず苦笑してしまう。ひよりも俺と同じようにびっくりしているようだ。
次はハンドグリップ。ラムとリンがアドバイスを送りながら見守る。
「できるだけ、軽く……ゆっくり握ってください」とラム。
「はい、分かりました!」とロアが元気に答える。
ロアは真剣な表情で握りしめたが――その瞬間、バネが“ギュンッ”と音を立てて限界値へ。これだけ緩く握って20Kg以上なんだよな。本当に凄い。
「す、すみません! これでも力の入れすぎですか?」と慌てて手を緩めるロアに、みんなで笑ってしまった。
その後は、ゆっくり握って緩めてを繰り返し、少しずつ感覚を掴んでいく。それでも経験者の先輩、ラムとリンが丁寧に指導してくれたおかげであっという間に上達した。
「もう大丈夫です!」と自信満々に胸を張るロア。
その後はプラスチック容器を普通にさわることができた。前回のリンはハンドグリップをすっとばしてプラスチック容器を持たせたところあっさり壊れたからね。ちょっとそれが懐かしい。やっぱり順番は大事だ。
はさみを使って紙を切るのも器用にこなしている。プラモデルやパズルも難なくこなし、すでに力加減はほぼ完璧のようだった。
続いてはネットの学習。ラムとリンがパソコンの操作を教え、ロアは「凄い、凄い!」の連発だ。
検索、動画、ニュース……見るもの全てが新鮮で、まるで別の世界を旅しているような表情をしていた。
ダンジョンで生まれ育ったロアが人間の世界に触れていく。もちろん予めラムとリンには聞いていただろうが体験するのと聞くのとでは大きく違う。――その感動している姿を見て胸が少し熱くなった。
ひと段落ついたところで、隣の部屋へ行くことに。俺の弟と妹、樹と葵への紹介タイムだ。
「初めまして。僕の名前はロアです。レンさんと一緒にハンター活動しています!」とロアが元気に挨拶。
「初めまして」と樹と葵も答えている。
「また女の子?」という葵の呟きが聞こえたような気がするが、聞かなかったことにした。まあ許してくれ。あと2人は女性が続く予定なんだ。こればっかりはどうしようもない。
ちなみにロアも“田舎から上京してきたハンター仲間”という設定にしている。樹と葵はそれを信じてくれているようだ。
……ただ、今回は少し様子が違った。
樹の顔がほんのり赤いような気がする。視線も何度もロアの方へ向かっている。チラチラと見ている。もしかして――ロアに惹かれている?まさかの初恋か?
そう考えると、兄としては複雑な気分だ。いや、それは絶対に無理だ。相手は使役モンスターだし、いろんな意味で無理。
とは言え使役モンスターの情報をばらすわけにもいかない。それに加えて俺はこういった時にデリカシーがないからおかしなことを言ってしまいそう。
この件は、ひよりに相談しておいた方がよさそうだな、ひよりからさりげなく樹に伝えてもらうのもありかもしれない。
その後はロアとひよりが一緒に夕食を作ってくれた。キッチンから聞こえてくる女性2人の笑い声に自然と心が和む。
その後は全員でお食事タイム。食卓はいつものように賑やかだった。
ああ、こんな日常が、いつまでも続けばいいのにな――
そう思いながら、俺はそっとみんなを見守っていた。
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