第百五十一話
夕方の風が肌寒くなってきた十月末頃、私は放課後にアカリさんと飛宮に来ていた。サークルモールの入り口から放射線状に通路があり、ファッション関係の店が並んでいて、見て歩くだけでも楽しい。平日も行き交う人が多くて、とても賑わっている。
「いつ来ても混んでるね。ここに来たら欲しい服が次々見つかるから楽しみ」
アカリさんはウキウキした表情で言った。
「そうだね」
私もウキウキした気持ちが湧いてきた。
「カスミは冬服もやっぱりガーリー系で選ぶ? 私はフェミニン系を選ぶ予定だけど、他にも見てみようかな? 歩いている周りの人が着てる服もオシャレだよね」
アカリさんは少し早口になって話した。
「うん、他の服も見てみたい」
私はショップごとに並んでいるディスプレイの服を歩きながら見た。
「今年はフリフリが流行ってるみたいだよ。どこのショップもフリルの付いた服が多いかもね。ファッション雑誌に載ってた。“流行ってる”というより“流行らそうとしている”のかもね。でも、皆がフリフリ着てると自分も着たくなるのよ。これってバンドワゴン効果!」
アカリさんは飾られているフリルの付いた服を指さして言った。
「あはは、そうだね。でも、皆が着ていると逆に着たくないかも」
私は素直に思ったことを言った。
「分かる〜、逆張りしたくなるよね。たぶんね、“自分の個性”を持っている人はそう思うんだよね。流行りに流されない自分の個性がある人なんだよ。でも、周りからは天邪鬼に見られるから注意しないとね」
アカリさんは軽く頷きながら言った。
「そ、そうだね。皆がフリル付きを着てなかったら着たいな」
私は天邪鬼だと思われているのかもしれないと思うと動揺した。
※バンドワゴン効果……流行っている物や事柄などで、複数の選択されている物が更に選択されやすくなる現象。




