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38 怪しさのテンプレ

「すみません。」

「む、なんだね?」

「怪しい場所を見つけたので来てもらえませんか?」

「怪しい場所?」

「はい。一部の床の音が違っています。もしかしたら隠し階段でもあるのかと。」


 俺の言葉を聞いた店主が一気に走って逃げだそうとする。

 しかし衛兵に捕まった。

 その顔色は悪い。心なしか震えているようだ。

 騎士が店主に確認をする。


「どうやら怪しい場所があったようだが、貴様は何か知っているのか?」

「・・・・・・・」


 さすがに逃げ出そうとしたからだろう、騎士の態度が強いものへと変わっている。

 正直、怖い。

 店主もよく黙秘していられるな、俺だったら何でも話してしまいそうだ。


「ふむ、黙秘してもあまりいいことにはならんと思うがな。ちなみに貴様のところに人が運ばれているのは確認済みなのだぞ?」

「・・・・・・・・・・」

「まぁいい、詰め所で話を聞こうじゃないか、連れていけ!」


 衛兵さんが店主を連れていく。


「さて、怪しい場所とやらに案内してくれるかね?」

「はい。」


 言われるがままに案内する。

 怪しい場所は書類を書くところのそばの床だった。


「ここか、確かにここだけ音が違うな。引っ掛けるところもあるようだ。後はここに引っ掛けるものだが。」


 おそらくフックみたいなものがあるんだろう。

 全員で探すことになった。

 ほどなくして使い込まれているフックが見つかり開けてみることになった。


 ―ゴゴゴゴゴゴ


 うっ、臭い。

 匂いの原因はこれだったのか。

 床の下からは手掘りの階段のようなものが出てきた。


「凄い匂いだな。おそらくは下水にでもつながっているのだろう。各自、気を付けて進むぞ。」

「「「「はっ!」」」」


 さすがに統率が取れているな。

 当然、俺たちが入るのは一番最後だ。

 手掘りで階段まで作ったところだ、それなりに手掛かりがあると期待したい。

 階段を下りる、確かに下水のようだ。

 下水というには広い気もするが、近代日本じゃないんだから比べるのもおかしな話か。

 歩くには都合がいい、もしも魔物が住み着いたときに戦えるようにしてあるのかもしれない。

 しばらく歩く、するとおそらく最近できたものであると思われる扉があった。


「こんなところに扉はないはずだ。調べてみるぞ。」


 騎士の命令によって、衛兵が力づくで開けようとする。

 しかしなかなか頑丈にできているらしくあかないようだ。

 

「キリ、開けられそう?」

「魔法がかかってなければ多分大丈夫だと思うよ。」

「わかった。」


 武器がハンマーってこともあるしここはまかせてもらおう。

 もしダメなら別の手を考えればいいし。


「すみません、うちにはハンマー使いがいるんで試させてもらえませんか?」

「ふむ?なるほど、それなら試してみてもらおうか。」

「はい。キリ頼んだ。」

「やってみるよ。」


 キリは力をためて扉にハンマーをたたきつけた。

 おおきく軋んで今にも壊れそうだ。

 もう一発、ハンマーをたたきつけると扉は吹き飛んだ。

 その瞬間、向こうから魔法が放たれた。

 瞬間、キリを抱えて横に飛ぶ。

 危なかった、静かだったから人がいるとは思ってなかった。

 即座に全員が戦闘態勢に入る。


「随分と騒がしいお客さんが来たようですね。」


 黒いローブをまとった怪しい男が話し出す。

 どうやらここは少し大きめな部屋になっているようだ。

 怪しい男は、五人いるな。

 そして怪しい祭壇があり、祭壇には男性が寝ている。

 祭壇には禍々しい杯がおかれていて、男性から何かを吸い取っているように不思議な流れが見える。

 おそらく生命力とか魔力とかだろう。

 いかにも怪しい教団って感じだな、ここまでコッテコテだと怪しい組織の作り方の本でもあるんじゃないかと疑いたくなってくるわ。

 部屋を見渡してみると縛られている人を三人確認できた。

 間違いなくこいつらが事件にかかわっていそうだな。

 騎士もそう思ったんだろう、怪しい男たちに威圧感のある声で問いかける。


「我々は最近起こっている行方不明者が多発している事件を追ってここまで来た。そこに縛られた人もいるようだが、何か言いたいことはあるか。」

「なるほど、それはお勤めご苦労様ですね。しかし我々は行方不明者などとは関係ありません。立ち去るがよろしいでしょう。」


 本気か?この状態でそんな言い逃れが通じると思っているのか?

 これで、はいそうですか。なんて言う人はいないだろう。


「そこの縛られた者たちはどう説明するつもりだ?」

「彼等は協力者なのですよ。少々行き違いがあったようで拘束させていただいていますがね。」

「ほう。だがこの状態を見逃すわけにはいかんな。関係ないというのなら疑惑を晴らすためにもついてきてもらおうか。」

「お断りします。」

「それが通じないのはわかっているな?」

「でしょうね。儀式はまだまだ途中だというのに、こうなっては仕方ありませんね。」


 怪しげな男たちはため息をつくと、祭壇にある禍々しい杯の中身を飲み始めた。


「暗黒竜様、我らに力を!」


 飲んだ男はみるみるうちに膨れ上がり、爪が生え、牙が生え、魔物へと変貌していった。

 その姿は竜というよりは大きくて強そうなトカゲだ、鱗はあるが羽がない。

 だが牙は今までに見た中でも一番鋭そうだし、爪も同様だ。

 油断したら一瞬でやられるだろう。

 飲んだ男は三人、いや、魔物へと姿を変えたから三体か。それと人のままなのが二人。

 こっちは騎士と衛兵、ハンターのパーティーが二組。

 俺たちも一体受け持たないといけないだろうな。


『ぐぅぅ、これで儀式は最初からやり直しです。この拠点も放棄しなければならないでしょう。せめてあなたたちにはその命で償ってもらうことにしましょう。』


 魔物へと変わっても話せるらしい。

 便利なもんだ、魔法の力か?さすがファンタジー。


「我々が一体受け持つ、ハンターは二手に分かれてそれぞれ抑え込め!いいか、決して無理をするな、片付けたらすぐに支援に回る。それまで耐えろ!」

「「「了解」」」


 それぞれのパーティーごとに散らばる。

 俺たちの相手は、大きさとしては三体の中では一番小さいやつだな。

 これなら時間稼ぎくらいは何とかなるかもしれない。


「いつもと同じように俺とキリは挟み撃ち!エリィはチャンスがあったら魔法を頼む!」

「わかった!」

「わかったわ!」

「無理はするなよ!」


 三体の中では一番小さいといっても、そばで見るとやっぱりでかいな。

 五メートルはあるんじゃないか?

 いきなり爪で攻撃してきた。風圧がすごい。

 まともに当たったらひとたまりもないな。

 こっちを見ているうちはキリに任せて回避重視でいこう。

 そのキリもしっぽが邪魔で思ったようには攻撃できていない。

 敵の人間二人は衛兵が片づけにいったか、これでこいつ一体に集中できる。

 相手の攻撃をかわして攻撃するが、鱗が硬くてダメージがほとんど通らない。

 なら狙うのは目なんだが牙が怖すぎる。

 キリのほうを向いた、今のうちにしっぽだけでも切れれば。

 くっ、硬い。

 おまけに鞭のように襲ってくるから攻撃のチャンスがなかなかない。

 正面で二人まとまったほうがいいか?いや、後ろがダメなら斜め後ろから後ろ脚を狙ってみるか。


「はっ!」

『ぐうっ!』


 いける、鱗のない部分を狙えばダメージが通るぞ。

 げ、そのぶんこっちにターゲットが向いたか。


「足の鱗がない部分がねらい目だ!そこなら攻撃が通るぞ!」

「わかった!」

「こっちも準備ができたわ、いくわよ!」


 轟音とともに相手に魔法が連射される。

 相変わらずの威力だ。多少は効いてくれると思うんだが。


『ぐうううぅ!貴様らぁ!』


 背中の鱗が一部ボロボロになっている。何発か叩き込めばいけそうだ。

 おまけに今は隙だらけだ、足を連続で切り付ける。

 キリも狙いを足に変えて叩き込んでいる。

 キリの場合一撃が重いからな、いいダメージになってると思うが。

 しっぽの動きも最初に比べて鈍くなってきた、体力も奪えているな。

 もっともこっちも同じだが。

 爪の攻撃を潜り抜けて腕の関節部分を狙う、手首や腕の内側を切り付けていく。

 大きなダメージにはならないかもしれないが、チクチクと嫌がらせのような攻撃を積み重ねていく。

 チャンスがきた、あるいはピンチといってもいいかもしれない。

 噛みつき攻撃だ。

 かわせれば顔面への攻撃チャンス、当たれば運が良くても戦線離脱だろう。

 大きく横に飛ぶ、相手の噛みつきが早い。

 当たるかと思った瞬間キリのハンマーが相手の足を止める。

 目の前で牙がガチン!と閉じる、危なかった。

 ピンチの後にはチャンスだ、少し上を見れば目がある。

 俺は思いっきり剣を目に突き刺した。

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