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異世界転生勇者対応マニュアル

 9度も異世界転生勇者に滅ぼされてしまいますと、異世界転生勇者に対して一定以上の効果を発揮した対応策を機械的に繰り返す事もあります。そういった対応策を一つにまとめ、このように『異世界転生勇者対応マニュアル』なる書籍を執筆してみたりするのも乙なものです。


『異世界転生勇者対応マニュアル』


 目次


①序章・適切な文明レベルについて……2ページ

 ・超古代文明のテクノロジーの扱いについて……

 ・ノアの洪水が発生して文明が滅亡する条件について……

 ・人間の再誕と発展について……

②1章・勇者も人間です……333ページ

 ・勇者に対する疑心と憎悪を人間に植え付ける12の方法……

 ・人間に対する疑心と憎悪を勇者に植え付ける108の方法……

 ・勇者の性欲及び支配欲を刺激する方法……

 ・勇者から許してもらうための土下座36選……

 ・勇者の適切なおだて方……

 ・俗物の分類判別法……

③2章・有効だからといってやりすぎてはいけない事例……666ページ

 ・長期化による神からの干渉力の強化について……

 ・許容される意図的な文明破壊の限度について……

 ・勇者の殺害による覚醒について……

 ・現状確認されている勇者の同時最大出現数……

 ・使命を終える、もしくは放棄した勇者について……

 ・もしもやりすぎるとどうなるか……

④3章・遅滞戦術実践例……999ページ

 ・勇者の追放テンプレート……

 ・勇者のハーレム化テンプレート……

 ・勇者の覚醒を防ぐ適切な強さの魔族配置テンプレート……

 ・魔王様及び魔王城隠蔽テンプレート……

 ・大陸ツクール6666全集……

⑤4章・etc……



 長々と書かれてますが、勇者の分類に応じて適切な対応をとる事によって、ある程度勇者の制御も可能であることまでは確認できております。


 例えば、自己顕示欲が強く己の手を汚す事を嫌い、金やハーレムや爵位といった物にやたらと憧れている俗物の類は非常に御しやすく、自分から勝手に使命を放棄して下さりますので特に問題にはなりえません。


 また、胸の内に闇を抱えてる類であれば人間を扇動して勇者の追放を促してやれば、我々そっちのけで勝手に人間同士で殺し合いを始め、偽物の女魔王辺りに魔王の位や世界を譲ってやるなどと言わせてやれば喜んで魔王を気取って下さいますので真の魔王様の隠蔽も楽になります。


 ただし、おだて方を間違えたりしますと面倒極まる癇癪(かんしゃく)を起こされてしまいますので取り扱いには細心の注意が必要になります。とはいえ、これについては特に難しく考える必要もなく、基本的に勇者から見て馬鹿でマヌケで人畜無害の白雉(はくち)に見えるように振舞っておけば問題ありません。とくにこういった類は魔族の女性辺りに「貴方の事だけは信じてる」などと言わせておけば勝手に満足するのです。



 もっとも、この程度で済む相手なら勇者からの敵意さえ買わなければ済む話なのですが、本物の聖人や修羅の類が勇者として異世界転生されてしまった場合はいよいよ後がなくなります。


 幾千幾万の人間からによる憎悪をぶつけたとしても勇者の人間を信じる心は一切揺らぐことはなく、悍(おぞ)ましく凄惨な死や、あらゆる手を尽くした肉体と精神への業苦を与え続けたとしても幾度となくも立ち上がってくるのですから。


 魔王様を滅ぼす。ただ一点にめがけてひたすら直進してくる類には、『ステータスオープン』の強化を抑制しながらひたすら殺すか撃退し続けるという方法をとるしかないのですが、最初から強い魔族をけしかけて殺し続けるという方法をとりますと、すぐに覚(・)醒(・)して劇的に強くなってしまいます。


 よって、適切に弱い魔族をけしかけて適切なタイミングで適切な装備を与えて『レベルアップ』させる事によって覚(・)醒(・)と呼ばれる現象の発生を未然に防ぐ事が重要になるのです。あまりに弱い魔族をけしかけ続けると、それはそれで魔王様の元への到達が早まってしまいますので、結局そこで覚(・)醒(・)されてしまっては元も子もないのです。


 つまり、適度な障害になるように魔族を各地に配置する事を強いられるのです。


「……力だけはやたらと強いだけの俗物共はともかく、勇者といっても色々おりますしな」


 二度と戻れもせぬ場所への帰還を望んで戦い抜いた者もおる。魔族も救おうと志した者もおる。腐った肉塊になり果てても魔王様を倒そうと立ち上がった者もおる。文明を限度を超えて躍進させてはノアの洪水を引き起こした者もおる。望まず勇者になってしまいながらも使命を果たした者もおる。


「あやつらも、ある意味では神の箱庭遊びの被害者と言えるのじゃろうな。だからと言って手を抜くつもりは毛頭もないのじゃが……」


 もっとも、真の魔王城に到達出来る者にはこんなつまらぬマニュアルなど何の役にも立たぬ。あやつらと魔王様の格を落とさぬためにも、相応の覚悟と敬意を持って全力で戦いに臨み、喜劇を演じる道化となる他にない。


 故に、神が憎い。何度も何度もつまらぬ俗物共を送り付けてはあやつらとの戦いを冒涜し、魔王様の精神を凌辱し尽した神が憎くて憎くてたまらぬ。


「……ところでエロよ。さっきから扉の前をウロチョロして何をしておる。入るならさっさと入ればよかろう」


 エロの奴とくれば指摘されて驚いたのか、ガタりと音を立てては執筆室入り口の扉前からそそくさと立ち去っていきおった。私が気づいてないとでも思っておるのか分からぬが、聞き耳を立てておったり扉の鍵穴からチラチラと室内を覗いては一々モジモジしておるのだから気になって仕方がない。


「全く……なんなのじゃ一体」

初見殺しや詰みはks要素なので覚醒という救済措置を実装してみました^^ヴォインヴォイン

やっぱり今はストレスフリーの時代だよね^^


大魔導元帥が憎む神……一体どんな奴なんだ……きっと悪い奴に違いない……!

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