第一章 記憶を失くした少女 七
「瑚珀はね・・・。」
と、やっぱり瑚珀の事を持ちかけてきた。
不良たちを後にして、何歩歩いただろう・・・。
かなりの時間を、歩きですごしたような。。
ちなみに、『隣の町』までも行っていないのだが・・・。
今のところ、最終目的地は瑠衣の故郷。
もうすぐ着くらしい、町のすぐ側だとさ。
数年帰っていないらしいけど。
瑚珀も、あの町にはよく行っていたらしい。
毎回、歩きでですか・・・?
遠すぎるでしょ。それだと・・・。
ま、それはともかく。
何にも覚えていない私には、いく所も無かったので。
ついていくことにした。
あんな、暴走族がいる、凍え死にそうなところはもうコリゴリだ。
それに、瑠衣のお母さんは、記憶とかについても詳しいらしい。
・・・解剖とか、されないよね・・・?
て、私。
なんで知り合ったばかりの少年を、ここまで信用できるんだろ。
普通、警戒とかするんじゃないかな。
変な感じだなぁ。
「瑚珀は女の子のくせに、男以上に気が強くて、
城にいるのはつまんないって、俺とよく脱走したりしてたんだ。」
「城!?」
「うん。」
平然と答える瑠衣。
当たり前なのか?
しかも、瑚珀って子。
城にいるのがつまんないって・・・。
どれだけワガママなんだろう・・・。
「なんでそんなに退屈だったのかな?」
ちょっと疑問になった。
お城だなんて、想像しただけで、居心地いいのに、
そこにいるのが、何で嫌だったんだろ?
「んー・・・。」
瑠衣はちょっと上を向くと、
「瑚珀の一族は、代々長く続いてきたものだし・・・。
それに・・・。」
で、またちょっと間を開けた。
「儀式とか、なんだとか、嫌いだったんじゃないかな?」
・・・。
ふーん。
「・・・なんとなく、瑚珀の気持ち、わかるなぁ。」
「ん?」
別に、自分がそうゆうこと、体感したってことは無いんだけど。
なんとなく、自分もそんな感じがした。
しばらく経ってから、また瑠衣が話し出した。
「やっぱ、あんたになら話してもよさそうだ。」
「・・・?」
なんのことさ?
しかも、あんた呼ばわりかい。
「・・・瑚珀の母さんは、神様だってこと。」
・・・瑠衣の言葉を、真面目に聞こうとした私がバカだった。
こいが真面目腐った話をするわけが無い。
「神様なんて、この世の人々が創り出した、想像の象徴でしょ?
第一、神様がいたとしても、子供を生むわけ無いんだし。」
驚いた目で、瑠衣はこちらを見た。
「・・・やっぱ、瑚珀と同じこといった。」
・・・またか。
もう、どうでもよくなってきた。
瑠衣は続けた。
「・・・それはともかく、その指輪はね、
その神に、召された人が、本人から受け取るの。
瑚珀の場合、『愛された』が正しいかも知れないけどな。」
「ふーん。」
その後も、瑠衣の説明は続いた。
何も話さないよりマシだったから、聞いていた。
指輪は全部で七つあって、
それぞれに、『属性』っていうものがあるらしい。
種類は、『光』『風』『日』『水』『月』『火』『闇』。
お、覚えられん・・・。
で、瑚珀の指輪は、光。
そのほかの指輪は、各国に預けられて、その国の召された人が守っていたらしいけど・・・。
「ある人が闇の扉を開いたせいで、封印されていた怪物が復活。
召された人はもちろん、沢山の人が殺され、国が滅んだ。」
瑠衣の瞳は、影がかかったようにも見えたが、
それでも真剣だった。
「指輪のほとんどが、その怪物に奪われたけど、
光属性の瑚珀の指輪は、闇に飲み込まれない。
・・・つまり、奴らの手に入らなかった。」
うなずくことも出来ずに、ただただ聞いていた。
「・・・光属性の指輪は、他の指輪よりも遥かに力が強いんだ。
もちろん、その反動も。
指輪は持ち主が死なないと、その元を離れない。
だから、残った指輪の持ち主、・・・瑚珀は皆を守ろうとした。
・・・瑚珀の国が襲われた時、瑚珀は指輪の力をすべて使った。
奴らは引いた。今もその国は無事に活動している。
けれど瑚珀は・・・。」
土を踏む足が止まる。
語尾が震えていた。
私自身、凍りつくような感覚に襲われるぐらいだった。
・・・なんとなく、予測していたのかもしれない・・・。
聞こえないくらい、小さな声で瑠衣は言った。
「・・・・・・死んだんだ・・・。」




