第一章 記憶を失くした少女 三
――――・・・ん?・・・あ、あれ?
痛く・・・ない・・・?
そっと、目を開く。
「がっっ!?」
不良が数歩、後に退く。
私の辺り、数メートルは、半円の壁が出来ていた。
オレンジ色で、透けている。
ポオォォン、ポオォォン
不思議な音を立てて、私を囲っていた。
向こうの不良も驚いただろうケド・・・。
正直、私にも何が何だか・・・。
と、不良が声を上げた。
「指輪だ・・・。指輪の力だ・・・!神の力だ!
やっと・・・やっと、見つけ出した!
・・・おい餓鬼。その結界を解いてその指輪を、お、俺にくれ・・・。
悪いことはいわねぇ・・・。その傷も、ちゃんと誤る。この通りだ・・・!!」
不良は、その場に膝を着くと、土下座をした。
さっきまでのあの態度が、いっぺんに消えてしまうほどだった。
・・・ただ、結界だかの解き方、わかんないんだけど・・・。
それに、立てないし・・・。
「ど、どうやって解くのさ。」
とりあえず、聞いてみる。
不良は、パッと顔を上げて、私に真っ直ぐ目をやった。
「そんなの、俺様にわかるわけ・・・・・。」
「俺なら、知ってるぜ?」
別の声がした。
不良の後ろから、人影が近づいてきた。
「よう、瑚珀♪」
・・・。
見るからに私と同じ年齢の、漆黒の髪の男の子。
右目がルビーのような紅い瞳。左目がエメラルドのような緑色だった。
・・・し、知らない・・・。
と、瑚珀・・・って、・・・誰?
「おい、おまえ、結界の解き方わかんのか?
だったら、俺様の命令だ。とっととこの結界を解いて、あの餓鬼の指輪を取って来い。」
不良・・・。
やっぱり『あれ』は嘘か。全く。
少年は、不良の様子を見ると、鼻で笑った。
「ボスは指輪の為だったら、女の子にまで土下座をするようになったんですね。
正直、馬鹿みたいです。」
明らかに挑発だった。
口元が笑っている。
「ぼ、ボスぅ〜?おめぇの顔なんて、見たこともねぇぞ?」
不良が腰にしまったナイフに、手を伸ばす。
「新入りですから♪」
少年が、にっこりと笑って返した瞬間。
不良は少年に切りかかった。
その口は、不気味だった。
少年と、不良の間はほんの少し。
避けられるわけが・・・・・・。
「・・・あっぶないなぁ。新入りに、手荒いお出迎えですね。ボス?」
・・・あった。
少年は、不良の攻撃を意図も簡単にかわし、
その背後に回ったのだった。
「!?」
少年は、不良の腹に、一発拳を入れた。
ほんの、少しの時間だった。
不良が倒れると、少年は私の結界に近づいてきた。
「瑚珀にしては、結界張るだけなんて、珍しいね。
いつもなら、雹針ぐらい、当ててるのに・・・。
・・・結界、解けば?」
・・・は?
なにいってるんだ?この少年。
瑚珀って、誰だ?
・・・ダメだ。
考えるほど、頭が痛くなる。
結界って、体力も使うのかな・・・。
パチンッ・・・
・・・あ、
結界が、解けたみたい・・・。
少年が、近寄ってきたのが、なんとなく判った。
でも・・・私は、深い暗闇に落ちた気がした。
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