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悪役令嬢が攻略対象ではないオレに夢中なのだが?!  作者: naomikoryo


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第31話『模擬戦、教師 vs 公爵家三兄妹』【学園行事編:戦陵祭⑧】

 戦陵祭の大広場は、まだ熱気が冷めていなかった。

 カイ先生の「絶対魔法防御」に観客も審判も口を開けたまま。

 そんな中で、ルーティアが詰め寄ってきたのだ。


 「カイ! 私にも全力で挑んで!」

 「いやだからお嬢……」

 「もう決めたの! 遠慮はいらないわ!」


 観客席からも「見たいぞー!」「カイ先生とルーティア令嬢の対決だ!」と声が飛ぶ。

 学園長まで「……うむ、模擬戦なら良かろう」と頷いてしまった。


◆◇◆


 舞台の中央。

 カイは仕方なく木剣を手に取った。

 だが同時に左手にはチョークを握り、宙に式を走らせる。


 「右手は剣、左手は魔法。えらい忙しい教師やな……」


 ルーティアは真紅のドレスを翻し、剣を構える。

 その瞳は真剣そのものだった。


 「始めッ!」


 ルーティアが一気に踏み込む。

 華麗な突きが閃光のように迫るが、カイは軽く剣を傾けて受け流す。


 「なっ……速い……!」

 観客がどよめく。


 ルーティアは連撃を繰り出すが、すべて寸前で弾かれる。

 カイは片手で余裕の防御。


 「お嬢、力は十分や。せやけどリズムが単調やな」

 「っ……!」


 その瞬間、舞台端から二つの影が飛び込んできた。

 「妹一人では分が悪いだろう。兄も加わる!」

 「俺もだ!」


 ルーティアの兄、ヴィルヘルムとユリウスが剣を抜いて舞台に立つ。

 観客席が大歓声に包まれた。


 「カイ先生対、公爵家三兄妹だ!」

 「うおおおーー!」


 三人が同時に襲いかかる。

 ヴィルヘルムの重い斬撃。

 ユリウスの素早い双剣。

 ルーティアの華麗な突き。


 普通なら一瞬で押し潰される猛攻。


 だがカイは――右手の剣で兄二人を受け、左手で数式を描いた。


 「F=ma。重さは力や。なら軽く流せばええ」


 ガキィンッ!

 ヴィルヘルムの剣をいなして逆に押し返す。


 「tanθ=y/x。はい、角度修正っと」


 ヒュンッ!

 ユリウスの双剣を片手で弾き、体勢を崩す。


 同時に左手から光が走る。

 「sin波で揺らぎキャンセル!」


 ルーティアの魔法が霧散した。


 観客が息を呑む。

 「な、なんだ……! 三人が同時に攻めても通じない……!」

 「しかも右手の剣だけで男二人を圧倒してる!」


 ヴィルヘルムが再び突っ込む。

 「この剣を防げるか!」

 カイは冷静に構え、力を流す。


 ズバァン!

 ヴィルヘルムの剣が宙を舞い、地面に突き刺さった。


 「なっ……!」


 ユリウスが横から双剣で斬りかかる。

 「妹に触れさせはしない!」

 カイは半歩引き、剣を斜めに振る。


 ガキィン!

 双剣が弾き飛ばされ、ユリウスもよろめいた。


 残るはルーティア。

 額に汗を浮かべながらも、必死で突きを繰り出す。

 だがカイは片手でそれを受け止め、軽く剣先を彼女の胸元に向けた。


 「勝負ありや」


 静まり返る会場。

 そして次の瞬間、爆発のような大歓声が上がった。


 「カイ先生、強すぎる!」

 「三兄妹相手に圧倒したぞ!」


 ルーティアは悔しそうに唇を噛み、しかしすぐに笑みを浮かべた。

 「……やっぱり、あなたは最高の先生で――最高の人ね」


 「はいはい。けど奥様気取りは今日のとこ自重しぃや」

 「いいえ! 私こそ、カイの奥様にふさわしいと証明できたわ!」

 「証明の仕方間違っとる!」


 観客席は笑いと拍手で揺れ、模擬戦は大盛況のうちに幕を閉じた。

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