第27話『激突、準決勝! 数式で切り拓け』【学園行事編:戦陵祭④】
戦陵祭二日目。
校庭中央の大舞台は、朝から観客で埋め尽くされていた。
「次なる対戦は――クロス組対、武芸特化クラス!」
アナウンスと同時に大歓声が巻き起こる。
武芸特化クラス。
代々騎士団に人材を送り出す実力派で、剣の腕は学園随一と噂される。
観客席も「ここでクロス組は終わりだろう」と口々に囁いていた。
「先生……勝てますか?」
不安げな生徒たちに、カイは笑った。
「何度も言うが、勝てるかは知らん。せやけど“勝てる形”は用意した。あとはみんなの手で答えを出せ」
「……はいっ!」
◆◇◆
第一試合。
クロス組の生徒と、武芸特化の上級生が向かい合う。
「お前らみたいな魔法崩れに負けるはずがない!」
鋭い突きが走る。
クロス組の生徒は防御に徹するが、押される一方。
「先生っ……!」
悲鳴混じりの声。
カイは場外から叫んだ。
「角度45度! 円の中心をずらせ!」
「は、はいっ!」
生徒は半歩横にずれ、剣を斜めに構える。
相手の突きが逸れ、隙が生まれた瞬間――
ズバン! 木剣の切っ先が相手の肩に決まった。
「勝者、クロス組!」
観客席がどよめく。
◆◇◆
第二試合。
武芸特化クラスの剣士は体格の大きな男。力任せに打ち下ろし、クロス組の女子生徒が必死で防ぐ。
「押し潰される……!」
ギシギシと木剣が悲鳴を上げる。
カイは再び叫んだ。
「力はベクトルや! 上じゃなく、横に流せ!」
女子生徒は目を見開き、剣を斜めにずらす。
ドガァン! 衝撃が横に逃げ、相手が体勢を崩した。
その隙を突いて突き!
「勝者、クロス組!」
◆◇◆
第三試合。
相手は技巧派。素早い連撃でクロス組の生徒を追い詰める。
「速すぎる……!」
焦る声。
カイは冷静に指示する。
「相手の速度は一定や。周期を読め! 三拍子目でカウンターや!」
「三拍子目……!」
生徒はリズムを刻み、三度目の攻撃に合わせて剣を振るう。
ガキィン! 剣が弾かれ、相手の手から木剣が落ちた。
「勝者、クロス組!」
観客席は騒然。
「な、なんだあの教師は……! 外から数式で戦況を操っている……!」
「いや、操っているんじゃない……“解いている”んだ!」
◆◇◆
第四試合。
クロス組の生徒は押されに押され、剣を弾かれてしまう。
あっさり敗北。
「勝者、武芸特化クラス!」
「まだ二勝一敗や。落ち着け!」
カイは声を張り、生徒を鼓舞する。
◆◇◆
そして第五試合。
ルーティアが登場。
観客席から大歓声が上がる。
「ルーティア様ーー!」
「公爵令嬢の剣だ!」
相手は武芸特化のエース。鋭い目を光らせ、剣を構える。
「令嬢といえど容赦はしない!」
試合開始。
相手が猛スピードで突進。
ルーティアは受けるが、押し込まれていく。
「くっ……!」
「お嬢! 角度75度! 重心は後ろや!」
カイの声に従い、剣を後ろに引く。
相手の攻撃が流れ、逆に体勢を崩す。
「今よ!」
ルーティアが踏み込み、逆袈裟の一閃。
ズバァン!
相手の剣が宙を舞い、土に突き刺さった。
「勝者、クロス組!」
会場が大歓声に包まれる。
「クロス組が武芸特化に勝ったぞ!」
「信じられん! あの魔法クラスが……!」
ルーティアは胸を張り、観客席へ堂々と手を振った。
そしてカイの元へ駆け寄り、腕に絡みつく。
「当然の勝利よ! だって私たちは“カイ先生の生徒”なんだから!」
「はいはい……ほんま奥様気取りやな」
「奥様よ!」
「断言すな!」
観客席は笑いに包まれ、クロス組は決勝進出を決めたのだった。




