ゴシの話12
ステージ横のモニターでは、遅れているはず
のメンバーの一人、ウイン・チカの寝起きの
場面が始まっている。
ホテルで起きて、衣装に着替えて、楽器をもって、
会場へ歩いていく映像が流れる。建物に
入る場面が終わったところで、実物のウイン・
チカが、3Dウニーとともにステージに登場して、
歓声があがる。
キーボードの演奏が加わり、エマドが管楽器に
変える。
アミからテキストが再び入る。
「直接会場に行きます」
「直接?どういうこと?」
ゴシが困惑している合間に、ステージ横モニター
にはアミが映し出される。
ウインと同じように、朝起きて、準備して、
歩いて移動して、どうやら格納庫のように見える。
そして、白い人型機械に搭乗を始める。
コクピット扉が閉まり、少し歓声があがる。途中
からリアルタイムの映像だと気づいている者は
少ない。
空港では、
人型機械母艦からアミのハヌマーン改の射出準備
が進んでいる。トム・マーレイ少佐とリアン次官
がデッキから指示を出す。
「アミ、出たら最大戦速で目的地まで、
方向確認よろしく!」
「はい!トム艦長!」
「試算では20秒で着きますから!防衛システムは
調整済みですが発砲はしないでください!」
「もちろんよ!リアンさん!」
「アミ・リー、ハヌマーン改、出ます、秒読み
3、2、1、射出」
ステージ横モニターでは、空港の撮影ドローンが
ハヌマーン改の速さについていけず、映像が
切り替わる。クラブ・ブハラ上空だ。
そこに、素晴らしい速さでハヌマーン改搭乗機が
到着し、空中で静止する。コクピットハッチが
開き、楽器を持ったアミが跳ぶ。
客が出来事に気づき出し、上空とモニターを
交互に指さす。
アミの背中から、6つの光る羽が生える。
フィルムに通電して硬化させるタイプの
降下翼だ。羽が青く光るとともに、
ステージでは曲が始まる。
アミの曲、舞い降りた堕天使、だ。
バルコニーに無事着地し、フィルムの羽が縮れて
落ちる。そこから会場に入り、もう一度
ステージへ跳ぶ。6枚の羽が再び光る。
「いくよー!」アミが叫ぶ。
会場が一気に暗いトーンとなり、アラハントの
メンバーの頭上に3Dの魔物が出現する。
いや、客一人ひとりの頭上にも魑魅魍魎が
あらわれる。ウニーが妖怪に囲まれる。
歓声と悲鳴。




