アミの話10
次の作戦の打ち合わせだ。
トム・マーレイの説明が始まった。
「次回以降ですが、みなさんには負けて
いただきます」
今回戦った、火力構成の小隊とは実力どおり
戦ってよい、ほかのタイプの小隊と当たった
場合、勝てそうでも劣勢に見せたうえで
退却する。
その場合、遠隔機でギリギリまで戦うが、
搭乗機はけして出さない。
今回の結果を踏まえて、相手側はおそらく
第3小隊に対して火力構成の小隊をけして
当ててこないだろう。
そこから、普通に勝つのと同じぐらい
難しい戦いが始まった。
相手の機動構成の小隊と当たると、ウインの
狙撃型インドラが後方にまわった敵機に
落とされて負ける、というのを繰り返し
ながら、相手の癖もつかむ。
同じ狙撃構成と当たったときは前半いい
勝負をしながらも、僅差で負ける。
負ける際は、母艦が襲われないように、
相手陣営へ充分押し込んでから負ける。
「隠し玉を用意しています」
「その前に、アミさんに止めを刺されて
いただきます」
実際に撃墜されるわけではないが、
搭乗機を出すという。もちろん、アミの
腕前であればその演技ができる、という
理由からだ。
ふだんより、相手側に押し込まずに
遠隔機全滅を演じる、母艦はギリギリ
逃げられる距離であるが、相手機
接近にハヌマーン搭乗機を出す。
そして、
搭乗機の出撃に慣れていない感を出させる。
ギクシャクした動き。パニック感。
変形機能を使って、ほうほうのていで逃げ
だした、という演技をアミはやりのけた。
そうこうしているうちに、相手陣営の
動きが活発になってきた。新パイロットも
採用して攻勢に出てくる構えのようだ。




