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『いいか、よーく聞け』
NO編集でそのままUPしています。
現状UPしているものが、プロットのような感じ……になるかと。
全文書き終えた後に編集に入る予定……です。
少女は高級マンションの屋上で佇んでいた。
本来立ち入り禁止の屋上には人の気配はない。三十階にもなるそのマンションは下からはもちろん、上からも人の形を捉えることはできそうにない。だから、騒ぎになることはなかった。
少女は死を決意しているわけではないが、その面持ちはある一つの悩みによって険しいものになっている。
とある同僚の言葉だけが何度も頭を駆け巡る。
その度に「しかし」と少女は考えていた。
空は少女の小さな悩みの裏腹に雲一つない快晴。心地よい風がピクニック日和と言わんばかりだ。
その優しい雰囲気を無視し続け、どれくらいの時間が経った頃だろう。ようやく少女は意を決した。
最後に同僚の言葉を脳裏に浮かべ、
『いいか、よーく聞け、お前は勧誘をするな』
マンションの屋上から姿を消した。
残念なことに、少女は使命感が強い方だった。