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【交わる世界2】切り札じゃんけんは後だしが基本的には強い

このまま行けば、今度こそあの女を倒すことができる。


確信はあった。現にこちらの攻撃ですっかり消耗している様子が見える。


だが、何か、何か大事なことを見落としているような気がする。


「こないのならば、こちらから行くわよ…」


ボロボロの身体のまま、女はそう告げると、再び今度は無数の蔦を繰り出してくる。


「ワンパターンなのよ!!」


今度はすべての蔦を拳と足で叩き落とす。


もはや、あの女お得意の蔦攻撃も色褪せている。


「なるほど、大したものね。成長の早さは認めるわ。」


このままだと、女に勝ち目はないのは明白なはず。


なのに、何故こんなに余裕があるのだろう。


「どうしたの?私を倒すチャンスよ?」


クイクイッ、と手のひらを仰ぎ挑発してくる。


「舐めるなっ!!」


ギュンッ…


逃げる間を与えないほどのスピードで正面に立ち、再び乱打を浴びせる。


確実に女の質量は減ってきている。


「いい加減に消えなさい!!」


とどめに白龍撃を放つと、女の脇腹を半分えぐり、貫通しながら白龍が壁へと激突する。


「はっ…はっ…」


呼吸が乱れる。


体力もかなり使った。少し、動くのがしんどくなってくる。


「辛そうね。また、魂の力が限界になるのかしら?」


余裕の笑みが癪に障る。


「ぬかせ!そっちだってボロボロじゃん!」


「そうね…」


女は、スッと姿を消した。


また奇襲がくるかと身構えたが、今度は大量に備え付けられた魂のところに移動していた。


「どの魂でも良い、と言うわけじゃないのよ。」


女が今まで以上に口角を上げてニヤリと笑う。


口裂け女を連想させる、悪霊のような笑み。


備え付けられた大量の魂の中から、黒に近い紫色のものを取り出した。


「性質が近い魂なら、簡単にね…」


女が魂を握る手に力がこもる。


そのまま、手に持つ魂から怪しくモヤのようなものが発生し、女を包み込んだ。


まもなくして、もやが消えると、そこには傷ひとつない、元の姿の女が立っていた。


悪い予感がしていたのはこれだ。


何故、以前あれほどのダメージを負ったのに回復することができたのか。


確かに通常、魂の力は睡眠などで回復することはできる。


だが、体感的に魂が回復するのは『肉体の中で少しずつ回復していく』ようなイメージなのである。


あの女は魂だけの身体。寝て回復、と言うのがどうにも結びつかなかったのだ。


これで合点がいった。あの女は奪った魂を使うことができるのだ。


「持久力勝負では、ちょっとそちらの分が悪いんじゃない?」


勢いよく女が飛び出し、三度、大量の蔦で攻めてくる。


動き回りすぎたせいで、単純に体力が厳しい。


今度は先ほどのようにすべて叩き落とす自信がなかった。


後ろに飛んで躱し、距離を取る。


「どうしたのぉ?ただのワンパターン攻撃よ?」


くそっ…ちょっと不利になっただけだ。あっちも確実にこちらを倒せる手はないはずだ。


蔦を躱しながら、イメージを膨らませる。


一撃で終わらせねば…


ボンッ、と急加速し、蔦をかいくぐり女の元へと急接近する。


そのまま、お腹にお見舞いするように高速の前蹴りを繰り出す。


ミサイルのような蹴りの一撃に、今度はお腹にぽっかりと穴が空き、女は数メートルほど吹っ飛んだ。


だが、その表情はまったく意にも介していないといった様子で、今度はすぐに新たな魂を使って身体を再生させる。


「結構、強力な一撃だったわね。また魂を多く使っちゃったんじゃない?」


悔しいがその通りだ。あちらがどのくらい回復できるかは知らないが、数人分の魂と、こちらの魂の量ではすべて消耗しきれるとはとても思えない。


「前と同じ轍を踏むなんてね。思春期の女子高生の成長ってやつもたかが知れているわね。」


挑発。


ムカッ、となりそうになったが…。


尽きかけた体力が逆に、私を冷静にさせた。


この女は何故、こんなにも挑発するのだろうか。


そう、もちろんこちらの魂や体力を消耗させるためだ。


あの女は、奪った魂で回復をする。


だから体力勝負では負けない自信があるのだろう。


その魂を、堂々と晒している状態になっているのは…


谷崎を見た時の反応からしても、ここに私たちが攻めてくることは想定していなかったと見るのが妥当だ。


だから、凄く有り体に、間抜けにも聞こえるが、魂が出しっぱなしなのは「来るとは思っていなかった」からだろう。


打算があって出しっぱなしにしていたわけではない、罠ではない。


そう仮定して…。


今一度、足にイメージを集中させる。


狙うべきは女ではなく…


シュッ…


自分の意識すら追い付かない速度のブースト。


一瞬ともいえるほどの間で魂が山積みになっている場所へたどり着いた。


「その可能性も考えていたわよ!!」


女も咄嗟にこちらへと駆け寄る。


魂の山に手を突っ込んだ瞬間、女も追いつき強烈なビンタを食らわされる。


「1つ2つ奪ったくらいでストックが尽きるわけじゃないのよ。無駄なあがきはよしなさい。」


少し、余裕がない顔で女は言うが、今度はこちらが満面の笑みを見せた。


「これなら、どうかな?」


手を開いて見せつけたのは、『黒い光を放つ魂』だ。



ここまで読んでくださってありがとうございます。


面白かったら「いいね」「ブックマーク」などしていただけたらありがたいです!


今後ともよろしくお願いします!!

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