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【白紙の世界15】相手の息の根を止めるまでは油断してはいけない

「『どうして』って顔をしてるわねぇ」


彩華はニタニタと笑いながらこちらを見てくる。


「簡単な話よ。私は『私を創った』の。そして…」


2人目の彩華がふっ…と姿を消す。


「新しい体は、イメージ通りの姿になれるわ。」


突如、上空から声がした。


上…!と気づいた時は、青白く光る蔦の鞭が叩きつけられる寸前であった。


間一髪、咄嗟に躱すもののそのまま触手がにゅるにゅると伸びてくる。


「『彩華さん』やめなさい!!」


『服従の魔法』


不意打ちには驚いたが魔女の魔法は人間レベルで防げるものではない。


だが、蔦は動きを止めることなくこちらへ伸びてくる。


「『彩華さん』止まれ!!」


重ねて命令するが効果はない。


やむなく後方へ飛び避ける。


急激に加速した蔦が頬を掠めるが、痛みを感じている余裕はなさそうだ。


「逃がさないわよ!!」


ヒステリックに叫ぶ彩華の背中から蜘蛛をイメージさせる8本の足が生える。


その足が抱き締める、と言うよりは噛み付くにも似た動きで左右同時に迫る。


「触りたくはないわね…『魔女の審判』ッ」


左右に手をかざすと8本の足に雷が落ち、灰となった。


…が、すぐに肩の後ろから蟷螂の鎌のような腕が生えて斬りかかってくる。


なんて猛攻だ。


また殺してしまうのは勘弁被るが、ある程度強力な魔法を使わないと止められそうにない。


横薙ぎに振られる鎌を咄嗟にしゃがんで躱す。


遅れて舞う髪に鎌がかすり、先端が舞うが構うことなく魔法を展開する。


「踊れ!『聖なる魔槍』!!」


漆黒の槍が4本、光を纏い彩華へ向かって飛ぶ。


光速で彩華の両腕と膝を貫き、そのまま壁へと縫い付ける。


もうひとつ…


「ごめんね、彩華さん。」


謝りながら魔力を収束させる。


「凍てつけ…『千年の樹氷』!」


彩華の足元に魔法陣が発動し、樹氷が彩華の全身を覆う。


これで動きを完全に封じた。


「後でだしてあげるから少しそのままでいて。」


このまま魔女の姿のままだと理性を保っていられない。


また衝動的に殺してしまっては元の子もない。


展開していた魔女の力が左目に戻る。


彩華も気になるが、それよりも…


「ごめん谷崎、びっくりしたよね。」


谷崎はただ立ち尽くしていたが、声をかけるとハッと意識を取り戻したかのように声を発した。


「これは、どういうことなの?」


ようやく、これまでのことを説明できる。



彩華が私を憎んでいたこと、命までも狙っていたこと、その結果として争うことになってしまったこと…


すべてを話すと谷崎は納得をしてくれた様子だった。


「俺のせいで、相田さんにも、彩華さんにもつらい目に合わせてしまった。なんて言ったらよいか…」


申し訳なさそうにする谷崎を見ていると、こちらも申し訳なくなる。


「いえ、彩華さんに対して私も配慮が足りなかったと思うし…」


そうだ。行き過ぎたとはいえ、彩華だって谷崎が好きだったからこそ凶行に及んだんだ。


もっと気持ちを考えてあげれば良かった。


谷崎の気持ちも。きっと凄く後悔している。


私は谷崎を恨んでなんかいないのに、きっと自分を責めているに違いない。


今度は私が、谷崎の心を救ってあげないと。


「それに、谷崎に会えたこと、凄く感謝しています。だから、自分のせいだなんて言わないで。」


谷崎の顔が少し困ったように見える。


もし、本当の気持ちを伝えたら、谷崎も少しは気が楽になるかな。


「それに、もっと…。」


深呼吸をしても鼓動は落ち着かない。けれど、伝えたい。谷崎は間違っていないことを。


「谷崎に会えたお陰で幸せだった。もっと一緒に…いたいって思って…」


谷崎は驚いた顔をして、そして少し考えている様子だった。


「相田さんの気持ちは、凄く嬉しいです。こちらこそ、楽しい時間を過ごさせて貰えました。そして」


ビュン


何かが風を裂く音で続きが聞こえなかった。


さらに、谷崎の体で死角になっていたから気づくのが遅れた。


いや、谷崎しか見えていなかったからだろう。


視界が青白く染まったと思うと、左半分の世界が闇に染まった。



ここまで読んでくださってありがとうございます。


面白かったら「いいね」「ブックマーク」などしていただけたらありがたいです!


今後ともよろしくお願いします!!

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