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テンプレ異世界人物

蛇足です。

 

 主人公 高瀬川幸吉 26才


 地元の工業系高校を卒業し、都会に出たものの仕事にあぶれ、仕方なく営業の道を選んだものの、生来のポッチ気質の為に周囲に馴染めず、それでもメシ屋で知り合った年上の女性の厚意に甘えて、同居の後に内縁関係となる。


 慣れない営業もやってみれば何とかなるもので、これで生活も安定かと思われた矢先、同居の女性とトラブルになる。


 自滅を誘う言動でクリアしたものの、肝心の会社が倒産して途方に暮れる。


 現物支給の退職金を抱え、夜逃げのようにアパートを出て、何の因果か異世界に転移してしまう。


 性善説を地で行くような善良な周囲に安堵したものの、封建社会の常識に馴染めず、遂には出奔してしまう。


 周囲はそんな彼を、成功者なのにどうしてと、不思議に思うばかりだったという。


 ◇


 -後日談-


「えっ、消えないって嘘」

「残念ですが、生半可に覚えられたようですね。確かに消えますが、それは権利のほうなのです。名前を変えると言う事は、それは違う人生を歩むと言う事に等しく、別の人間になるという意味合いもあります。なのでかつての名前で取得した全ての権利は無効となり、新たに築かなければなりません。なので残念ですが、当ギルドの口座も新たに登録していただく事になり、元の口座はギルドに回収される事になりますね」


 なんだよ。

 そんなの聞いてないよ。

 そりゃいくらか下ろしたけど、まだかなりあったんだよ。

 それに、トイレもバイクもギルドの権利になっているって、そんなバカな話があるかよ。


 これが封建社会の現実かよ。


 ああ、帰りてぇなぁ……BAD END
















 今日も今日とて静かな目覚め……のはずが、ちょっと夢見が悪かったな。


 なんだってあんな夢を……まあいいや。


 気を取り直して。


 好きなだけ眠って起きた後は、朝から風呂に入ります。

 風呂の中では向こうでの歌謡曲なんか口ずさみ、のぼせる寸前まで楽しみます。


 風呂上りには冷えたエールを楽しみ、魔導冷蔵庫の中から昨夜作っておいたサラダを取り出し、軽い朝食を楽しみます。

 飲酒運転でも問題無いので、酔った勢いで繁華街までお出かけです。


 ピポー……シュシュシュシュ……


 今日も魔導バイクは快適な調べを耳に届けてくれます。

 蒸気機関車の力強いあの姿を脳裏に浮かべつつ、運転手気分で出発進行。


 皆の注目を集めますが、欲しいなら自作してくれと思うばかりです。

 もっとも、同じ方式は権利で保護されているので、違う方式でやってくださいね。

 国は変わって名前も変わったのに、商業ギルドではかつての国での所業を把握しているようで、契約をしてくれと煩く言ってきます。


 ですが、もう騙されません。


 封建社会では上からの施しを断るのは至難、ならばそんな功績は立てないのが無難と学んだからです。

 それに預金もまだまだありますし、石鹸だってまだまだあるんです。

 もっとも、石鹸は自分使いにする予定なので、もう市場に出すつもりもありません。


 いきなり異世界なんかに来たもんだから、きっとのぼせていたんですね。

 言われるままにアイデアを出し、言われるままに権利を取得して貸し出し、その結果がどうなるかなんて知りもせず。


 きっと、封建社会の中の人達なら、あれを成功と思うんでしょうね。

 だけど、自分にとってあれは失敗、それも大失敗です。


 本当に軽率でした。


 あれでスローライフを目指すとかよく言ったものです。

 ですがもう、あんな失敗をするつもりはありません。

 なので今は資金が尽きるまで何もするつもりはありません。

 生活が苦しくなったら改めて、商業ギルドに行くと思います。

 それでも権利の譲渡に際しては、守秘義務を負ってもらいます。

 すなわち、誰から得たのかを決してもらさないという事を。


 もうね、余計な物は要らないんですよ。


 だからかつて下賜された家の権利もケインに譲渡したぐらいですし、税金も10年分前払い済みです。

 あれでケインは自動的に市民って事になったでしょうから、今度は彼がスラムの為に動けるようになった事でしょう。

 彼に渡した箱の中には大金貨を1枚入れておきました。

 上のお菓子を食べると出てきますが、驚いたかな?

 書置きを見てくれれば良いんですが。

『留守番50年分前払い』と、書いてありますから。


 ◇


 今日も貸し倉庫の中に魔導バイクを納めて、買い物や食事を楽しもうと思っています。


 そうそう、行きつけの酒場が出来たんです。


 雰囲気も良好で、何よりカウンターの端っこは、1人で飲むにはちょうど良いんです。

 カウンターの向こうのマスターも、今では必要以外の会話は持ってきません。

 そういうのを嫌がると分かってくれたようで、ありがたい限りです。


「マスター、お代わり」

「畏まりました」


 ふうっ、本当にのんびりだな。

 ずっとこうやっていられたら。

 あの町も決して悪い町じゃ無かったけど、対応を間違えたせいで残念だったな。


 だけどもう、戻るつもりはないんだ。


 TRUE END

 

ありがとうございました。

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