帝都:討伐依頼でした!
皆さん年が明けまして一発目の投稿でございます!
去年に親戚に不幸があった為、年始にお約束のあれは言えませんのでご了承ください・・・。
それと前回、前々回投稿のお話について『青髪の冒険者』と『金髪冒険者』は別人です。前回のお話では文章を見る限り、その二人がごっちゃになっていたので訂正させて頂きました。
宜しければ、年始という事で活動報告の方も覗いて見て下さい!!今年の抱負、目標等を書かせて頂いています。
感想・評価の方本当に有難う御座います!!
感想返信の方遅れていましたが、しっかり返信させていただきました!
次話投稿は一週間以内です。
眩しい朝日に照らし出された城壁の下、一風変わった冒険者のパーティーが城門を潜り抜けようとしている。
一人は射干玉の髪を陽光に反射させ、濡れた瞳は憂いに満ち、薄い桜色の唇からは桃色の吐息が漏れ出ている。
そして、その隣に歩く青年は顔立ちこそ幼いものの、体つきは大人のそれであり、一切無駄な筋肉がついていない。
その二人の先頭を歩いているのは、短い金色の髪に細身の冒険者だ。二人程ではないが、そこいらの者よりはかっこいい部類に入るだろう。
さて、そんな輝かしくも一種異様な冒険者パーティーは当然の如く注目を浴びるわけで、朝で人通りが少ない中でも充分に人目を引いている。
しかし・・・だ。
そんな三人の後ろを歩く者には誰一人として興味関心を持っていない。それどころか・・・どこからかクスクスと密かに笑う声が聞こえてくる。
中性的な顔立ちではあるのだが、漂う雰囲気は平々凡々であり目の前を歩く三人の様なカリスマ性は全く感じられない。
そんなパーティーのリーダーである。
「もっとイケメンに進化したかった・・・」
『大丈夫、貴方は充分かっこいいわ』
ディーレさんに、頭をなでなでして貰いながら大量の涙を流す。徐々に慣れてきたとは言え、やはり悲しいものは悲しいのだ。目の前を歩く美形達を前に呪詛を吐きながら、ゆっくりと城門に近づいて行く
・・・まぁ、自分が全然駄目なのは理解しているし、もう諦めている部分もある。
そんな事を考えていたが気落ちしていても始まらないと、気を取り直して、昨日冒険者ギルドで受けた依頼の資料にざっと目を通す事にした。
昨日アドルフを交えて冒険者ギルドへと行き、適当な討伐依頼を見繕って一つ引き受けてみたのだ。
内容は『スライムの核100個の調達』だ。ダンジョンに出てくスライムが落とすアイテムである。
依頼主は帝都の薬屋であり、どうやら薬の大量受注が舞い込んでしまったようなのだ。
で、『スライムの核』は、普段はギルドで常に販売されており、薬師達はそれを買い求めにくる・・・のだが、今回に限ってそれができない現状にある。
というのも、『バーバリアスの祝祭』が開かれ、冒険者が普段の数倍近くこの帝都に来てしまったのが問題だ。
冒険者が増え、薬等の消耗品が飛ぶように売れ、スライムの核が品薄になっているのだという。
それで、ある店が冒険者から多くの薬の発注を受けてしまい、スライムの核が足りないことに気づき、大慌てでギルドにクエストを出しにきたらしい。
・・・てなわけで、それを引き受けたのが俺達だ。スライム程度なら誰でも倒せるし、アドルフの力量も計れるだろう。
「では、帝都近郊にある、『大沼のダンジョン』に向かいますね。一~五階層付近でスライムが出没するはずです」
「大沼のダンジョン?」
「あ、そういえばダンジョンにはあまり潜ったことがなかったんだよね? ダンジョンには色々な特色があって、それによって名前がつけられるんだ。今回行くダンジョンは、沼地に出没するよう生物が多く出没するのでその名前がつけられたんだよ」
成る程。自分達が初めて行ったダンジョンが・・・確か豊穣のダンジョン?で、色々実入りが良いから『豊穣』だったんだろう。
「どんな敵が来ても、必ず私達が守り抜いて見せます故、主人j・・・ユガさんはごゆるりとしてください」
「僕らに任せていただければ、スライム如き一瞬で捩じ伏せれますよ」
まぁ、二人なら問題ないだろう。スライム相手には間違いなくオーバーキルだろうけど、二人の動きを見ておくのも悪くはない。
そうこうしている内に城門を抜け、ダンジョンに着く。
・・・やはり朝だというのに、冒険者が結構な数ダンジョンに向かっている。
『大沼のダンジョン』は低ランク冒険者~中ランク冒険者に人気があるダンジョンだそうで、Dランクなりたての駆け出しの冒険者はまずここに足を運ぶそうだ。
そして、大沼のダンジョンの中に入って行く・・・中は以前潜った豊穣のダンジョンよりも、少し湿っぽい感じがする。
岩壁に触れてみると、滑りけがあり、所々に苔の様なものが生えているのが見て取れる。
「気配からして、大したものはいないようね」
シロタエは冷静に辺りを見回し、近くにある気配を敏感に察知する。
まぁ、その通り、俺の周囲掌握に反応している魔物は主に三種、ブルースライム、スワンプワーム、スワンプラットだ。やはり、沼に潜む魔物が多い。
「えい」
コトヒラが拾った石を少し離れた壁へと投げつけると、そこに張り付いていたスライムに直撃する。
それは狙い違わずスライムの体を形成する核へと直撃し、一瞬にして煙となって消える。後に残ったのは青い球の様な物だ。
・・・俺は石の直撃だけで死ぬ魔物だったのか。恐ろしい。
青い球・・・スライムの核を拾い、先に進む。
「す、凄いですね。石だけでスライムを倒せるのですか?」
「あれくらいなら、これで充分でしょ?」
コトヒラはその後も、石を拾っては投げ拾っては投げ、その度にスライム核がドロップしていく・・・このままじゃアドルフの分がなくなるんだけどなぁ。
ギルドから配給された袋を覗く、中には三十個程の小さなスライムの核が詰め込まれている。
このまま行けば直ぐにでも百個集まりそうだ。
シロタエとコトヒラは、ダンジョンを止まる事なく悠然と進んで行く。
シロタエはスライムの場所を正確にコトヒラに伝え、コトヒラはその場所へと石を投げる。
俺とアドルフは特になにもすることがなく、唯二人の後を付いていき、シロタエが拾った青い球を受け取る係りとなっている。
「僕とユガの出番はなさそうかな?」
「二人で済みそうだな・・・」
と・・・広い部屋へと出る。
一見すればなんの変哲も無い部屋だが、そこから漂う気配は自分達が通った通路とは別のものへと変わった。
来るな。
「上に気を付けろ!」
天井には所狭しと大量のスライムが張り付き、此方へ降り注がんと今か今かと待ち構えていたのだ。。
シロタエとコトヒラは言われるまでもなかったようだ。
シロタエは落ちていた大きな石を眼前に蹴りあげ、細い腕を鞭の様にしならせ大きな石を上へ打ち上げる。その大きな石は衝撃で小さな石の礫となり、上空から降り注いだスライムの大群へと直撃する。
コトヒラは腕を引き、大地を踏みしめると、上空に向かって石と共に掌打を放つ。それは、大きな大気のうねりと共に射出され、上空にいたスライムへと直撃する。
二人の対処でスライムの不意打ちは防げた・・・が、まだまだ天井からスライムが降り注ぐ。
「『スワンプレイン』か!? 滅多にないから油断していた。気を付けてください、まだまだ来ます!!」
アドルフさんは自身の眼前へ落ちてきたスライムへと剣を一閃させる。
スライムは真っ二つに切り裂かれ、その後に核を踏み潰す。
とっ、自分の側に落ちてきていたスライムが、触手攻撃を仕掛ける。
・・・うん、やっぱり全く痛くない。触手の直撃を幾打も受けてみるが、全く痛痒を感じない。
自分がSランクへと分類されているというので、どの程度なのか試してみたのだが、スライム相手だと分かりにくいな。
試しに近くにいたスライムを軽く叩いてみると・・・
ドパンッ!!
スライムが弾け飛んでしまった・・・なんだこの罪悪感。
周囲にスライムが集まりだし、回し蹴り放つと・・・風圧だけでスライムは吹き飛んでしまい、壁に激突し息絶えている。
おぉ・・・こりゃ物凄い事になっている。
力加減がかなり難しいが、正直今ならあのゴーレムでも・・・うんやめとこう。
「はぁッ!!」
アドルフさんは冷静に周りのスライムを倒していく。向かってくる触手を切り伏せ、剣を振るい続けている。
・・息も乱れず、刀身には一切のブレがない。ともすれば剣技だけなら、コクヨウにも匹敵するかもしれない。
・・・これがFランク冒険者というのだから驚きだ。兵士になる為に必死に努力したのだろう。
・・・・・・・・・・・・。
最後の一匹をシロタエが仕留めると、そこにはスライムの死骸が散乱していた。
天井を見上げてみるがそこにはもう何もなく、湿った岩壁が広がっているだけだった。
「ふぅ・・・ごめんなさい。あれは『スワンプレイン』って呼ばれているトラップなんだ。滅多にないんだけど、大量のスライムが天井に張り付いている場合があるんだ・・・スライムだけのモンスターハウスと思ってもらえればいいよ。駆け出し冒険者がこれによく引っ掛かって、死んでしまうんだ・・・」
・・・実は結構手前から気づいていたりするんだよなぁ。
シロタエとコトヒラもそれに気づいて、この部屋に向かっていたのだろう。
手っ取り早くスライムの核を集められるし、アドルフにも活躍して貰えると誘導したのだ。
アドルフさんが謝ることは全くないし、どちらかといえば此方が謝らないといけない訳で・・・罪悪感が物凄い。
まぁ、とりあえずはスライムからドロップした『スライムの核』を拾おう・・・としたのだが、そこで異変に気付く。そこにはスライムの死骸が散乱しているのだ。
外であれば何の問題もない・・・しかし、ここはダンジョンなのだ。
死骸は消えるはずなのだ・・・そして後にはドロップアイテムが残るはずであり、今の様な死骸が散乱する状況にはまず間違いなくならない。
つまり、まだ何か起きるのは明白なのだ。
「三人とも気をつけろ!」
そう言い放った瞬間、スライムの死骸が部屋の中央へと吸い込まれるようにして集まり始める。
シロタエとコトヒラは後ろへと跳躍し、こちらへと戻る・・・。
そして、この光景どこかで見た覚えがある気がするんだけど確か・・・。
『おや、スライム達の様子が』
もよもよとスライム達が溶け始め、一つへと収束する。それは俺達の何倍もの大きさに膨れ上がり、タップタプの青色の物体へと変化する。
巨大な何かは自分達を見下ろすようにゆっくりと此方に向かって来る。
『なんと、スライム達が合体して、キ○グスライムが現れた!』
キングスライム(仮)が此方へと猛突進する。
「あれはへヴィースライム!? B+ランク級の魔物だ」
どうやらへヴィースライムというらしい・・・よかったキングスライムじゃなくて。
あれにまん丸おめめににやけ口、王冠をつけたらもう龍の依頼の代表的なモンスターになってしまうだろう。
きんg・・・へヴィースライムは多数の触手を出現させ、こちらへと放つ。それを弾こうと身構えるが、よく見てみれば触手がどこかボコボコと泡立っているのが見て取れる。
触手が岩壁に激突した瞬間、ジュワッという音と共にごっそりと溶け落ちる・・・成る程、どうやらへヴィースライムの触手は酸を帯びているらしい。
「ほいっと」
向かって来る触手に合わせて掌打を放つ・・・すると、触れるか否かの瞬間に弾け飛ぶ。
シロタエは拳に紅色の光を纏わせ、触手を払い除けている。コトヒラは腰に差している淡く光る剣を引き抜き、触手を切り払っている。
アドルフは剣に何かを塗り触手へと斬撃を放つ。恐らく酸を無効化する薬なのだろう。触手を切っても剣が溶けずにいる。
・・・しかし、いくら触手を切ってもスライムにはダメージが行かない。核に攻撃しない限りスライムを倒す事はできないのはわかっているんだけど・・・酸の触手が多数蠢いているせいで近づけやしない。
「ユガ!!!」
「んぇ?」
横合いから多数の触手が此方へと高速で迫り来る。
それを防ごうと腕を振るうがもう遅い。触手の直撃をモロにくらい、一瞬にして酸の触手の中へと飲み込まれてしまう。
やばい・・・と思ったのだが体を襲う痛みは全く訪れず、それどころかどこか気持ちよくも感じ取れてしまう。
ゆっくりと目を開けてみると、そこは触手の中でありボコボコと酸で泡立っているのがわかる・・・なんで目を開けてられるんだ?
唯・・・分かる事は、それが徐々に自分の体に吸い込まれているという事だけ。
"専有スキル:ハデスイーターを習得。魔力を食らい己の力とし、副産物として一定の魔法攻撃を無効化する。魔力量に比例し、自身のステータスを大幅アップする"
お、おぉう。
これまたチートスキルを所有したみたいだね。これのおかげで食らってないってことなのかな?
"ユニークスキル:付与粘液に上書き、ロード中・・・酸を取得しました"
あぁ、そういえばそんなスキルも有ったっけ?
粘液を付与するって一体何なんだろうか・・・とりあえずここを脱出しないとな。
ブンッと腕を振るうと酸の触手は一瞬にして霧散し、淡い光を体に纏う自分の姿が現れる。
「うおっと・・・何か動きにくいな」
どうやら力の制御が上手く行っていないらしい。
足を踏み出すだけで、地面がミシミシとうなりを上げている。
飛んでくる触手を片手で払い除けながら、へヴィースライムへとゆっくり近づいてゆく。
その間も多数の触手が迫りくるが、全く痛痒も感じる事はない・・・殆どさっきのスライムと変わりないな。
「んじゃ、一発」
バチャンという水の炸裂音が響き渡ると、さっきまでそこにいたへヴィースライムだった粘液は、壁やら地面やら通路やらに飛び散り、巨大な核だけがコロコロと転がっている。
「あ、あら? やりすぎちゃった?」
目の前に転がった核を軽く殴ると粉々になって砕け散り、飛び散っていたスライムの粘液は消失し、目の前に青い巨大な球が現れる。
・・・さしずめ『スライムの巨大核』とでも言った所だろう。スライムの核ではないけど、これでも大丈夫だろう。
さて、無事問題もなくクエストが片付いt
「あ、あのぉ」
「主人・・・」
「主人様・・・」
後ろを振り返ると、そこには恐らくスライムの粘液だろう・・・全身がヌルヌルになった三人の姿があった。
俺がスライムを殴った瞬間に吹き飛んだ粘液が、どうやら三人を襲ったらしい。
イケメン二人のヌルヌルシーンなんて誰得なんだろうとは思うのだけど・・・その二人にしか目を向ける事が出来ないでいるわけだ。
何故なら隣には、スライムの粘液でヌルヌルになったシロタエがいるのだ・・・エロイ。
どうやら酸の効力は消えていたようで、三人に怪我はないけれどヌルヌルになってしまったという事だ。
「あぁ・・・ごめん。力加減がちょっとわからなくてね」
「えっと、僕はいいんだけどね・・・そのぉ、何と言うか」
「良い体をお持ちですね!!」
「か、隠して貰えると、そ、その私は嬉しいのですが・・・そのあ、あの」
?
アドルフは困った顔で顔を背けて、アハハと乾いた笑い声をあげる。コトヒラはよくわからない事を言っているが・・・どうしたんだ?
シロタエは真っ赤になりながらアワアワしていて、手で顔を覆い隠したり覆い隠さなかったりとワタワタしている。
と、急にゾクゾクと寒気が襲ってくる。
何事かと足元を見てみれば・・・そこには、長いような短いような棒状のモノが振り子のように揺れている。
あぁ、成る程。
三人がヌルヌルだけに留まったのは、死にかけのへヴィースライムの粘液だからである。もしもへヴィースライムが死にかけでなかったなら三人とも溶けていたはずだ。
・・・つまり何が言いたいかというとだ。
自分はへヴィースライムが死にかけでない状態の時に、酸でぶくぶくと泡立った一撃をモロに受けたわけだ。
で、自分自身には酸の触手の攻撃は全く受け付けなかったわけだが。
持っていた物や装着していた物はそうはいかない。
つまりは、酸の触手に飲み込まれた俺の現状は・・・。
『貴方、色々と見えてるわよ? ご馳走様』
「oh...」
スッポンポンなわけだ。
そりゃ、あんな反応になるな。
帝都に戻り、依頼を完遂させる。
どうやら『スライムの巨核』がかなり良い物だったらしく、報酬に色がついて渡された。そして、へヴィースライムを倒した功績が認められ、アドルフはDランクへと上がった。
あの後、アドルフさんが持ってきていた予備の服を貸してもらい、みんなの服に付いた粘液は俺が吸収しておいた。
シロタエは今も俺の顔を見る度に顔を真っ赤にして、逃げてしまっている。
まぁ、それは置いておくとして・・・現在、また一つ問題が起こっているわけだ。
「すまないが、少し付き合って貰って構わんか?」
青髪の冒険者が自分の目の前へと立ちはだかった。
さて・・・青髪の冒険者がいよいよ登場。
果たしてどうなるのか!?
活動報告の方是非覗いてみて下さいね!!
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!