王都:久々の闘い、そして・・・でした!
ゴーレムVS主人公
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身体に痛みが走る。
長らく味わっていなかったHPが削られ、身体の隅々が引き裂かれる様な痛みに苛まれる。自分の身体が宙に舞い、どうしようもない浮遊感に襲われる。
口の中に鉄の味がいっぱいに広がり、赤々とした液体が空中へと迸る。
ドンっというどこかで聞いたような音が耳に響き、背中を鈍痛が這いずり回り、何処が前かも分からないほどに踊っていた視界が一点に集中する。
身体中に走る痛みをなんとか堪えながら、ゆっくりと起き上がる。呑気に気を失い、寝ている暇など自分には残されていない。
何故なら、目の前の存在は自分が隙を晒そうものなら、一瞬にして命を刈り取るつもりでいるのだから。フラフラと足取りが覚束無い・・・意識が飛びかけるがなんとか舌を噛んで耐え抜いてみせる。
ゆっくりと自分に近づく巨大な影、砂塵を飲み込んでしまうのではないかと思われる程の巨大な影、その中から覗く紅く光る三つの点・・・。
砂塵が晴れ、中から姿を現したのは、真っ黒で光沢のある岩で身体を形成され、大きさは軽く自分の十倍はある・・・。
一言でその魔物を例えるのならば『ゴーレム』だ。岩で人型を形成し、胸元は赤く光る鉱石の様な物が埋め込まれ、動きは緩慢ではあるが一撃の破壊力は・・・身を持って体感した。
東部には三つの点・・・瞳が怪しく光り、自分の姿を捉えるとそれが纏まりなく明滅を繰り返す。
そして、自分の血によって赤い斑点模様がついた巨腕をゆっくりと持ち上げる。
慌てて横へ転げると、今まで自分が立っていた場所へと豪速で巨腕が振り下ろされ、地面を抉り取り大きなクレーターが生成された。
「ディーレ!!」
咄嗟に練った魔力をディーレに譲渡する。
ディーレさんによって編まれた緻密な魔力の糸が体中から迸り、一瞬の後に巨大な水球が掌の前へ形成される。
水球の中は鋭利な水刃が荒れ狂い、全てを切り刻んでしまう暴威と化している。
腕を振り下ろしたまま動かない無防備なゴーレムへと水球を放つ。
水球は狙い違わずゴーレムへと炸裂する。荒れ狂う水刃がゴーレムを切り刻まんと襲い掛かる・・・しかし、そのどれもが身体を形成する黒い岩へ触れた瞬間に霧散する。
それに驚愕している暇もなく、ゴーレムの裏拳が自分の眼前へと迫る。
咄嗟にスライムの形態へと移行し、ゴーレムの物理攻撃をやり過ごす・・・と思われた裏拳が自分に触れた瞬間、自分は再び宙を舞う事となった。
・・・確かに自分はスライムの形態へと移行している。物理攻撃は間違いなく喰らう筈はない。そう思い込んでいた。
『ユガ!?』
精霊顕現の効力が消え、ディーレさんは再び小さな精霊の姿へと戻ってしまう。
ドサッとダンジョンの冷たく硬い地面に倒れ込み、痛みによって上手く体を動かすことができない。
霞む視界の中、ゴーレムの体をよく見てみれば、薄く、それでいて色の濃い魔力の膜が張り詰められている。ディーレさんの魔法が消えたのも、物理攻撃の効かない筈の自分に物理攻撃が効いたのも、おそらくはその魔力の膜が原因なのだろう。
ゴーレムはゆっくりと自分に近づく・・・いや、濃厚な死の香りが自分の鼻先を微かに掠め、それに反応した身体がバッと自分を起き上がらせる。
「ハァ・・・ハァ・・・」
フラつく体を抑え、腕を何本もの触手に変えてゴーレムへと攻撃を繰り出す。
その攻撃は一撃も外すことなくゴーレムへと殺到する・・・ゴーレムの体の表面には小さなかすり傷がつき、触手は無残にも弾かれていく。
それならと、地面へと触手を染みこませ、鈍器の様に硬く太くした触手を胸元に輝く赤い鉱石の元へと地面から一気に射出する。
それに反応が遅れたゴーレムは避けることも出来ずに直撃し、後方へと倒れ伏す。
GAga・・・Ga・・・・GAaーgAaー
奇怪な音がゴーレムの体から響き渡る・・・すると、ゴーレムは今までの様な鈍重な動きとは一変、倒れている状態から跳ね起きると同時にこちらへと、まるで岩で作られているとは思えないスピードで疾走する。
ゴーレムの突き出された腕に直撃する・・・瞬間に、体を地面に染み込ませ、ゴーレムの背後へと回り込む。
そして背後から先程と同様に触手を地面から射出させ、ゴーレムへと叩き込む。
だが・・・ゴーレムの上半身がグルンと一周して、こちらを捉えると、突き出された触手に一撃が叩き込まれ、勢いそのままに地面へとゴーレムの拳が着弾する。
元の体へと戻り、後ろへと跳躍していたが、飛び散った石の礫が自分の体を穿つ・・・ゴーレムが吹き飛ばした石にも魔力の薄い膜が張られ、ダメージが通る。
「やっぱ・・・油断しちゃうんだよな・・・」
気を付けているつもりだった。
命を脅かされるのは森で嫌と言う程味わったのだ・・・だけど、人間との戦い、ベヒーモスとの戦いでは余裕を持ったまま勝利してしまった。
故に、自分に油断ができていたのだろう。
じゃなかったら・・・今頃全力で逃げ出している筈だ。
だけどもう遅い。もう走って逃げるほどの体力はないだろうし、胸元の赤い鉱石を攻撃してからゴーレムの様子が一変している。間違いなく、逃がしてくれる気配はない。
ゴーレムが駆け出し、その巨体に似つかわしくない乱打を浴びせてくる。
それに合わせる様に、触手の乱打で応戦する・・・勿論打ち勝てる訳もなく。
何本もの触手が弾かれ、巨腕が自分の体を掠めていく。
「並列移行:龍狐!!」
『金色』へと姿を変え、体中を雷が這いずり回り、瞳がいつにも増して縦に割れる。
「妖術:雷纏!!」
ドゴンッとダンジョンに響き渡るほどの大きな音が鳴り響き、ダンジョンの壁を割れ砕く程の衝撃でゴーレムが吹き飛ばされた。
しかし、それだけじゃ終わらない。思い切り息を吸い込み、ゴーレムの眼前へと突撃する・・・イカヅチが這い回る腕を無茶苦茶に振りかぶり殴りつける。
一撃一撃がダンジョンを震撼させる程の威力・・・されど、全力で叩き込んでいるというのに、されど、ゴーレムの硬い装甲を破壊することはできない。
やがて、ゴーレムの一撃が自分の拳とかち合う。
ゴーレムの膂力に打ち負け、地面を転げ回り壁へと打ち付けられる。
咄嗟にその場所から飛び退くと、ゴーレムの掌から岩の弾丸が無数に発射され着弾する。このゴーレム魔法も扱うのかよ・・・。
「ディーレさん!!」
『えぇ、行くわよ』
「水の流れは初めに清く」
『清らかな水は激しさを増す激流に』
「成長するは大いなる姿」
『思い描く、龍に至った一匹の生』
「滝を登りし、矮小な生」
『至った者は、その名を変えた』
「紡げ、その名を」
「叫べ、その名を」
「『水天滅激龍!!!!!』」
魔力が打通路を荒れ狂い、ディーレさんと自分の掌の中から一匹の鯉がニュルりと泳ぎでる。
魔力の奔流をものともせずに泳ぎ切り、目の前の障害へと、鯉はたどり着く・・・ゴーレムはその鯉を叩き落とさんと腕を振るう。
しかし、鯉は其れさえも試練と乗り越え、龍に至る。
龍はゴーレムの体を飲み込み、その勢いを衰えさせること無く荒れ狂う。
ゴーレムの魔力の膜を切り裂かんと、ゴーレムの体表に竜の牙が無数に突き刺さる。
龍の尾がゴーレムを取り囲み、その存在をすべて水の中へと消していく・・・しかし、ゴーレムの瞳だけが水の中でも瞬いていた。
龍が貫かれる。
龍の形状をした水の奔流の中から、黒い岩の腕が一本突き出した。
勢いを衰えさせることはなかった龍・・・されど、巨神の一撃は龍をも貫き、その存在を魔力の残滓へと帰した。
全力で打った魔法でさえ、このゴーレムには効いた様子はない。
『・・・私の魔法が通じないの?』
「あれで死なないとか化物か・・・」
とは言っても、さすがのゴーレムも無傷とはいかなかったようだ。
こちらへ一歩を踏み出そうとした瞬間、脚の一部が割れ砕け、バランスを崩したゴーレムはそのまま地面に倒れ伏した。
そういえばと周囲掌握で相手のステータスを測り忘れていた事に気づく。だけど、今それをしたら心が折られそうだ・・・。
ゴ-レムは痛みや恐怖と言ったものを感じない、自分の身が傷付いているというのにも関わらず、今なお自分へと攻撃を仕掛け用としているのだから。
ゴーレムはゆっくりと立ち上がり、足が欠けたせいかフラフラとした足取りで、尚もこちらへと歩み寄る。
自分もダメージからか、足取りが重・・・い?
目の前が霞む、意識が遠のく感覚に襲われる。
死の恐怖に立たされる。
この感覚は初めて森に生を受けたあの時以来だ・・・絶対な死。
少しでもヘマをしてしまえば命を散らしてしまうあの恐怖・・・。
ディーレも、ハルウも、ショウゲツも、コクヨウもいなかったあの時、初めて魔物に殺されかけたあの瞬間を。
チラリと、ほんの少し自分のHPゲージへと目を上げる・・・
HP:131
九割以上ものHPが削られている。
額から汗が零れ落ち、絶対な死が目の前に迫って来る恐怖に、足が竦み動けなくなる。
・・・何が主だ。
偶然敵を倒すことができて、偶然知らない内に仲間達が周りに居て、偶然今まで生きてこられただけの自分なんだ。
・・・何をのぼせ上がっていたんだ?
俺は強いか・・・弱いに決まってるじゃないか。
前世で銃弾飛び交う戦場にいたわけじゃない・・・のほほんと日々を過ごしていた一介の学生なのだ・・・。
俺を主、主と何故か崇め、強いものに怖気もせずに立ち向かっていく仲間達の方がよっぽど強いじゃないか。
のぼせるな。
俺は弱い。
俺は・・・弱い。
だから・・・
強くなりたい。
”・・・承認。進化の系譜に登録完了まで20...60...90...100%。ERROR発生、『人間({}**$#)』に器非ず。器の形成・・・形状の齟齬有り、一部部位の変化を要請・・・失敗。一部分の変化を要求・・・成功”
”魔人『サテリフィト・ラウル・ミシェラ』の従属に成功”
”『進化』要請・・・失敗。一部の進化を要請・・・成功。進化の系譜を読み込み”
”進化先『●龍狐 並列 ●●●●●●』”
「は???????」
左の視界が真っ赤に染まり、次いでぐにゃりと空間が歪んだ様な錯覚に襲われる・・・目の前が妙に冴え渡る。
ゴーレムが駆け出・・・す? 先程の様な瞬きする暇もない軽快な動きは全くなく、そこにはゆっくりと異様に向かってくるゴーレムの姿が映し出される。
当然ヒョイッとゴーレムの突撃を躱し、そこから追撃をお見舞いすると、今度はゆっくりと空中に浮遊する。
なんだこれ?
しかし、よくよく見てみれば、ゴーレムが走った?事によって生じた砂塵さえもが、ゆっくりと動いていることに気付く。
体も妙に軽いような気がしてならず、違和感が凄い。
そして・・・急激に世界に速さが戻る。
ドゴンッという破砕音が鳴り響き、次いで砂塵と岩の礫があちこちへと散乱する。
それを腕で覆い隠す暇もなく焦る・・・が、全く痛くも痒くもない。確かにゴーレムの魔力が付与された礫が飛んできている筈なんだけど、カツンカツンという音と共にはじかれていくのだ。
そしてミシミシと鳴る腕を頭にやり、ポリポリと頭をかく・・・ん?ミシミシ?
バッと自分の左手に目をやると、そこには白銀の鱗に覆われ、キラキラと光り輝く手があった。
右手はいつもと変わりのない人間の手・・・左手は見覚えのない鱗?甲殻?に覆われたよくわからない手・・・な、なんだこれ!?
そして足元に、ディーレさんの魔法によって出来た水たまりに視線を移すと・・・そこには上半身の左半分に白銀の鱗が生えていたのだ。
左眼の色は金色から白銀へと変わり、毛の色も金色から左半分だけが白銀へと変貌している。
なんだこれ?え?一体どうなっちゃってんの?
『やっぱり貴方といると飽きないわ・・・』
ディーレさんも呆れちゃってるじゃん!?!?!?
いや、一番驚いてるのは俺なんですけど!?
ゴーレムそっちのけでパニックを起こしていると、先ほど謎な状態の俺に殴られて、通路に吹き飛ばされて轟音を鳴り響かせたゴーレムが起き上がり此方へと突進する。
思いっきり腕を振り上げて、オレに向かって振り下ろすが・・・。
バギャンという大凡岩が割れる音とは思えない音が通路に響き渡る。
何の音かといえば簡単だ。岩が粉砕され、身体を包んでいた魔力の膜が消失した音とが混ざり合った音だ。
振り下ろすタイミングに合わせて左手でアッパーカットを叩き込んでやっただけで、ゴーレムの腕は砕け散り、魔力の膜さえも破壊してしまった。
まさか、俺の封印されていた左腕が!?
とでも言いたげに顔の前まで自分の手を持ってくるが、別段禍々しい気配もしないし、強くなったって実感もない。
今なら・・・と周囲掌握を起動する。
魔壁の守護者 LV3
称号
豊穣の守護者
HP:6700
MP:690
STR:4671
VIT:7211
AGL:1021
MGI:6541
LUC:2
位階:S
スキル:岩弾
エクストラスキル:なし
専有スキル:魔壁
・・・くっそやべぇ奴じゃん。
え、何? 支配ってスキルチートじゃん。
こんなやべぇ奴従えちゃったら普通に世界征服とかも夢じゃないし・・・あぁ、だから同士討ちしたのか?
過ぎた力は禍を呼ぶ・・・なんて言うけどほんとなんだな。
で
●龍狐:[並列]:●●●●●● (LV49)
称号
覇王LV5:全能力+100
聖水之絶技ウォーラテンペスト
最上位精霊之加護ディーレ・プロテクション
魔導を歩みし者LV5:MP、MGI+200
紫炎の徒
可能性の獣
破掟深淵見つる夢
■■■■
契約精霊
水の最上位精霊:ディーレ
HP:3210
MP:2891
STR:3918:(一部:7651)
VIT:3671:(一部:7312)
AGL:2061:(一時:7111)
MGI:1550:(一部:7212)
LUC:?
位階:A+:(一部:S)
LV上限:?
スキル:マルチウィップ、死鎌、ウィップアタック、ウィップソード、回避、自動回復リジェネ、アイテム生成クリエイト、強撃、精霊視、アイテムボックス(100kg)
エクストラスキル:直感、運命の選択、紫電の一閃
専有スキル:存在発展、発展ボーナス、進化ボーナス、
ユニークスキル:進化の系譜、スキル発現、周囲掌握、能力越境、精霊顕現、暴虐之懺悔、水天滅激龍
精霊魔法:水の心得、ファイラ、ウィルラ、スパーク
・・・なんじゃこりゃ?
一部ってなんだ? まぁ、恐らくこの片腕がそうなんだろうけど、それにしても強すぎやしないか?
Sランクって言えば世界でも何人かしかいない最強ランクなんだじゃなかったっけ?
それに一部でも到達してるって・・・あ、でもゴーレムも一応Sランクだしこれでおあいこなのかな?
あっちは全て強いけど、こっちは片腕のみ強くて他はさっきと変わらないって感じだし。
・・・ってかあんな化け物相手に、あのステータスでよくまぁ健闘できたもんだよな。
普通なら間違いなく一瞬で塵にされててもおかしくないだろうし・・・あぁ、森にいたスライム生活が懐かしい。
そういえば、この片腕も触手にできるのかな?
白銀に光る左腕に意識を集中すると、途端に白銀の腕がズルリと姿を変え、深い青色をした触手へと変わる。
右目でその腕を見る限りだといつもと何ら変わりのない触手に見える・・・が、右目を閉じて左目で見てみるとその差は歴然だ。
深蒼色の触手からは濃厚な魔力が絶えず循環しており、使われずに溜まっていく魔力は触手を徐々に満たしていく。
そして満たされ切った魔力は放出され、ゆっくりと自分の体を包み込んでいった。
”専有スキル:『魔壁』を習得(一時)”
おぉ!!これってゴーレムの使ってた奴だよな?
ディーレと俺の全力で打った魔法でさえ全く通用しなくなるものだ・・・でも、一時なのね。
そういえば、ステータス見て一部記憶が定かじゃないんだけど・・・なんか、ナビちゃんが言ってたような・・・もう一回言ってもらえませんかね?
”・・・”
あ、まぁ、いつもどおりダメみたいですね。
ゴーレムは再度此方へと突進する。
腕を大きく振りかぶり、乱打を開始するがやはり全く俺には効かない。
十倍差の体格から繰り出されるゴーレムの正拳を左手で真正面から受ける。ゴーレムが膂力をつけて放った蹴りを、左手で掴み取り空中に放り投げる。
落ちてきた所を廻し蹴りでまたも吹き飛ばす・・・しかし、やはり左手で攻撃しなければ全くダメージが入っていなそうだ。
『何度も言っていると思うんだけど、貴方が本当にスライムなのかわからなくなってきたわ』
「自分でも本当はスライムじゃないんじゃないかって、最近思い始めている所なんだよねぇ」
そんな雑談をディーレさんと交わしていると、再び体勢を立て直したゴーレムが手を突き出しこちらへと構えている・・・さっきみたいに岩の塊でも打ち出すんだろう。
予想通り、ゴーレムの掌から俺の体よりも大きな岩弾が形成され、物凄い勢いで射出される。
自分の眼前に迫り来る岩弾を左手の裏拳で粉砕する。岩の礫があちこちに飛び散り、ゴーレムの奥の手さえも打ち砕いた。
これで、ゴーレムの攻撃が全て自分に通用しないこととなった。
今度はこちらからゴーレムに接近する。
ゴーレムは迎撃しようと拳を振り下ろすが、今の俺にはそれはゆっくりと緩慢な動きにしか見えず、簡単にそれを避けると胴体に一撃をお見舞いする。
ゴーレムはそれだけで二三歩後退し、バランスを崩す。
そこに更に追撃と、左手を触手に変えてゴーレムへと槍の様にして突き出す・・・すると、何の抵抗も感じることなくすっとゴーレムの胴体に突き刺さり、それに驚いてワタワタと自分がバランスを崩してしまう。
弾かれるか少し凹む程度かと思っていたのだけど・・・まさかあんなに殴ってもけってもびくともしなかったゴーレムにいとも簡単に突き刺さるなんて・・・なんか複雑。
そのまま触手を鞭のように振るい、刺さったままのゴーレムを振り回し、充分に遠心力が乗ったところで解放する。
通路の壁に勢いよく放り出されたゴーレムはそのまま壁にめり込み、次いで地面に倒れ伏した。
それでも立とうとするゴーレムへと一瞬で接近し、両脚を左手で殴りつける。
それだけで、ゴーレムの脚はバラバラに粉砕され、ついでに両腕も粉砕する。
「ディーレさん。んじゃ終わらせるから一つ新技お願いするよ」
『わかったわ』
手足を破壊され達磨となったゴーレムを空中へ蹴り上げ、触手で刺し貫き、空中に縫い止める。
胴体だけとなったゴーレムはそれでももがき此方へと接近を試みているが・・・もう無理だ。
「水よ 水よ 尊き水よ」
『今も尚 不変を保つ 大いなる偉大な水よ』
「生命の全ての母よ 悲しみに満ちた水底から」
『全てを満たせし 泡となりて』
「帰れ」
『帰せ』
『「我ら末の赤児となりて 水を奉らん」』
『「蒼き水面の聖堂」』
触手が支柱へと変化する。
膨大な魔力が左腕から伸びた触手を這い回り、何本もの支柱としてゴーレムの身体を刺し貫く。されど、まだまだ終焉には程遠い。
触手は幾本にも枝分かれし、それは一つの神殿を築き上げる。巨大なゴーレムを包み込み、隠してしまうほどに巨大な水の神殿がダンジョンの一角に突如出現する。
ほんの少したりとも魔力は暴れておらず、魔力と触手によって編まれた神殿はいっそ清々しささえ感じてしまう迄に穏やかだ。
神殿は重厚に、且つ神聖さを残し堂々とした様でそこに存在する。
『「裁定」』
突如神殿の門が開かれ、青い鎖と支柱によって身を貫かれたゴーレムの姿が現れる。
ゆっくりと門が開かれていき、やがて最後まで開ききると、神殿の門からは白い輝きが漏れ始める。
片手をゴーレムへと突き出し、じっとゴーレムの胸元に光る赤い鉱石へと視線を注ぐ。
突き出した手の周りを水の粒子が飛び交い始める。
すると、それは段々と何かの形を模していき、幾本もの剣へと姿を変えた。
剣はユガとディーレの周りを飛び交い始め、やがてゴーレムの姿を認めると、すべての剣が一斉に赤い鉱石へと狙いを定める。
『「有罪」』
剣が一斉に発射される。
ゴーレムの胸元に輝く赤い鉱石目掛けて幾本もの剣が突き立った。
鉱石はパキィンと軽快な音を鳴り響かせ、神殿へと降り注ぐ。
UUU...Gaaaa...GAAAaaaaaaapiiiiiiiiii...............。
ゴーレムの頭部に光る三つの瞳から光が失せ。今までもぞもぞと動いていた体は一切動かなくなってしまう。
そしてゆっくりと神殿の門が閉じる。
ゴーレムの姿はやがて消える。神殿に取り残されたゴーレムは、そのまま最後の時を迎える。
神殿は突如として光り輝き、瞬間、今までの神聖さや静寂が嘘の様に、膨大な魔力の奔流が吹き乱れ、神殿は一瞬にしてその存在を光の彼方へと消え去ったのだ・・・ゴーレムとともに。
「・・・終わった?」
『正真正銘終わりね。周りからもなにも感じないわ』
ディーレのその言葉を聞いた瞬間、へなへなと腰を抜かす。
あらあら、とディーレが妖精の姿になって肩の上から膝の上へと乗っかった。
『お疲れ様』
「もう死ぬかと思ったよ」
ゴーレムが消え去った洞窟の奥深くを見つめ、呆然とする。
傍らを見てみれば、放り投げられてグデンと横たわっている少年の姿もある。
この子がまた支配のスキルを使ったらまたあんな惨事になるのか。
それならいっそ・・・・・・・・・。
引き取るしかないよなぁ。
はぁ、と一度溜め息をつき、腰が抜けて上手く立てない身体に何とか鞭打って少年の下へと向かう。
呑気に寝ている少年にもう一度ため息を吐き、ゆっくりと脇に手を・・・触手を入れ、おんぶする。
そして・・・
フニョン
なんだか柔らかい感触が背中に当たる。
本当に微妙な柔らかさ・・・俺でなければ気付かないような柔らかさ、ともすればガリガリに痩せ細ったせいで浮き出た骨が当たって痛い筈のその身体。
だがなんだこの妙に柔らかい感触は、今までに感じたことのない柔らかさ・・・そう、これはまさに。
『・・・』
「いふぁいれす・・・」
うん。
まぁ、簡単に言うと、この子はheではなくshe、子ではなく娘、少年ではなく少女だということだ。
あぁ・・・こりゃ、どうすればいいのだろうk
”LV50達成。進化を開始します”
はい? え? ちょっと待!?
”開始”
アアアアアァァァァァーーーーー・・・・・・。
いつもの如く、空気の読めないナビちゃんによって、俺はまた進化するらしい。
主人公の封印されし左腕が・・・そういえばこれどこかで見たことがあるようなと書いていて気づきました。
あ、ブーステッドギやめておきます。
多くのブックマーク、二件もの評価を頂き、本当に嬉しい限りです!
そんな読者の皆様のご期待に添えるよう、今後とも頑張って楽しんでいきます!!
宜しくお願い致します!!!!!
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!




