開拓:黒翼でした!
!!!~~ハッピーバレンタイン~~!!!
チョコを貰えて喜ぶであろう人、チョコを貰えなくて世の中に恨み辛み妬み僻みを叫ぶであろう人、こんばんわ!!
日付が変わると同時に早めのアップです!!
次話投稿は一週間以内です!
いつも通り賑わうバザールを横目に、道の端を歩く。
しかし、道を歩くといつもこうなるのは何故なのか・・・自分には地下のジメジメとしたあの環境があっているのは重々承知している。
道の端を歩いているというのに人の列は自然と引き裂かれ、畏怖に染まった顔と引き攣った顔が自分達を出迎える。
それは、横を歩くこの穀潰し共のせいなのか、はたまた自分のせいなのか・・・もちろん自分であるのだがな。
店に並べられている一際赤々とした果実を手に取り、口へと運ぶ。
ジャクっという音と共に口の中に広がる生温い甘さに眉を上げる。喉を通る時には既に何の味も感じないこの果実にこれまた眉を上げる。
この果実は口に合わんな。
手に持ったゴミを道に投げ捨て、果実を売っていたであろう者を一瞥すると。
面白いほどに顔色をみるみると青くさせてゆき、道端に落ちたゴミを焦って回収する。
表面の顔には笑顔が溢れんばかりに出ているが、からだがふるえているのは自分にはわかっている。
怖いのだろうか?悔しいのだろうか?ならば言ってみるといい。
「何か文句があるのか?」
「そ、そんなことは一切ございません・・・」
「そうか。俺はお前に文句がある。こんなくだらない物を売っているから、俺達に金も払えんのだ。次の月までに三倍の金を用意しろ、できなければ二度と日の目を見ることはないだろう」
「そ、そんな!?たったあれだけの事で」
「んー?」
自分の横に立っていた者達が背中に腰掛ける何やらに手をかける。
すると、何かを言いかけたくだらないものを売っている店主はまた顔を青褪めさせる。
この不届き者は今回の支払いが大銀貨一枚も足りなかったのだ。
それをこやつはたったあれだけの事などと抜かすとは・・・ふむ、この店の客を減らしてさっさと底辺へと落ちてもらうとしよう。
いつもなら、この場にて制裁するところではあるのだが、今はそれどころではないのだ。
そう。こんな不届き者等、正直どうでもいいのだ。
ここの通りの店の一体は我々『黒翼』が管理する商業地区。ここで店を開くならば、相応の対価を払って貰い、『規則』を守って貰う事が当然だ。
勿論この通りで開かなく、ほかの場所で開いてもらっても構わない。ここの場所よりは対価も少なくしておいてやっている・・・勿論、なんの保証もしてやらないがな。
で・・・だ。
二年ほど前にここに現れた女の冒険者がいる。
その冒険者は新人ではあるが、珍しく魔法も使え剣の扱いも達者だそうだ。そしてなにより美しい女であり、冒険者の間ではかなり噂は広まっている。
そんな冒険者・・・「サミエル」とか言ったかな?
そいつに我々「黒翼」の子飼いの冒険者がパーティーを組もうと声をかけてやったのだ。
なのに、そいつはそれを一蹴し尚且つ子飼いのことを目障りだと罵ったという。それから、そいつに対して他の冒険者に接触しないように仕向け、ソロが如何に難儀なものなのかを示してやった・・・。
のにも関わらず、何度子飼いの冒険者が誘ってやっても誘いに乗らず、ずっとソロで冒険者をやっているのだ。
その後は、ギルドでの依頼を受けにくくさせてみたり、ほかの店の売価を高くしてやったりと様々な事に働きかけたが・・・無駄だった。
我々「黒翼」に逆らう馬鹿な冒険者がいつになったら音を上げるかと待っていた・・・が、最近になってあろう事か奴はパーティーを組んだのだ。
俄かに信じ難かった、子飼いの者達からの情報は正しかった。
つまり・・・奴は自分達「黒翼」を馬鹿にしたのだ。
それに黙ってるほど自分達は優しくはない。
あらゆる手を尽くして、奴らを苦しめようと動いたが、あの『風の導き』が邪魔をする。最近力をつけ、ギルドからも目をつけられている冒険者だ。
カナンにある支部のギルドなど怖くもないが・・・王都のギルドに目をかけられているとなればこちらからも手を出しづらい。
リーダーのテイルは事あるごとに自分達の邪魔をする。こちらから手を出せないことをいい事に、サミエルに肩を貸していたのだが・・・。
最近になってそれが一切なくなった。
というのも、サミエルのパーティーメンバーが「風の導き」と共同依頼を受け持ったそうだ。
そしてそれにベヒーモスが襲来したらしい・・・どうにかして凌いだそうだがそれ以来奴らから横槍が入ることがなくなった。まぁ、所詮小物だったというわけだ、我々「黒翼」に恐れをなしたのだろう。
バカバカしいが巷では、ベヒーモスをたった二人で倒した者がいるなんてデマも流れていたな。
で・・・事の一端が起きたわけだ。
サミエルのパーティメンバー二人がその依頼から帰ってくるやいなや、子飼いに手を挙げたという。
完全に「黒翼」は舐められている・・・いつか思い知らせてやる。
歯をぎりぎりと噛み締め、顔が殺意に歪み始める。
一時期は店の品を売らない様に手を回そうとしたが、ミールの祝祭直後とあって、まだ街の中には王都の兵士共が普段より多く滞在している。
そんな直接的な行動には出ることができず、普段よりも高値で売りつけるように『規則』を設けていたのだが・・・。
どうやら、この通りの一角に位置する店が『規則』を破ったらしい。
我々に逆らうとは愚かしいことだ。
見せしめとして充分に制裁しなければならない。
前方に目的の店が現れる。
漂ってくる匂いは良いもので、スープを作っている店なのだとわかった。
店先に立っているのは赤ん坊を背負った女。
確かここは、冒険者崩れの男が営んでいると聞いたが・・・これはこれは運がいい。
口角は釣り上がり、細められた目から下卑た視線が注がれる。
「やれ」
並び歩いていた冒険者達がそっと前へと歩み出た。
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ここに来るのは二度目になるんだけど、今回は洒落になんない事態になっている。
カナンギルドの一番奥に位置する社長室・・・もといギルド長室で椅子に座っている。
今回は俺とキクだけじゃなく、ユキもミリエラもサテラも同席している。
今回の案件はかなり慎重を期すのだそうで、部屋には何重もの防諜魔法が組み込まれているらしい。
依頼というのは、かなり稀ではあるが人探しの依頼・・・に分類されている。
依頼主曰く、「女房と娘が攫われた」らしい。
指名依頼が終わって、貴族様とのコネを手に入れた俺は悠々とカナンの街に戻ってきたわけだけど、ギルドの扉を潜ってほんの数十秒である男に泣きつかれてしまったのだ。
頭には一本たりとも毛が生えておらず、ぶっとい腕にぶっとい体を兼ね備えた顔面凶器。スープを売っていた店主だった。
キクが蹴りをかましかけたのをユキが魔法で吹き飛ばし、ミリエラが魔法で看病するという漫才を繰り広げた後は、その店主と一緒にギルド長室まで連れられた。
「指名依頼ご苦労だった・・・で、またここに来てもらった理由だが少々面倒な事態でな」
そう言って、ギルド長・・・サンタナさんは机から一枚の書類を取り出した。
字自体は何が書いているかはわからないけど、紙の表には何らかの模様が刻まれている。
「ユリィタ」
「お任せ下さい」
後ろで控えていたユリィタさんがその紙面に指を通す。すると、紙に書かれた模様が文字?に置き換えられる。
蛇が這ってる様な文字がこの異世界の特徴だけど、なんて書いているんだろうか?
「依頼内容は攫われた者達の救出・・・であるのだが、普通ならCランク以上の冒険者に出されるものであり・・・今回の危険度からだとBランク以上が適正値なのだがな」
そう言って、サンタナさんは肩を落とし一度溜息をつく。
そしてもう一度書類に目を通し、また溜息をつく。
「これに『黒翼』が関わっているのは知っているか?」
「・・・はい」
俺はどこかで聞いた覚えのある言葉に、首を捻っているとサテラはそう答える。
サテラの顔はどこか辛そうな顔を浮かべる。コク・・・ヨク?が何か関係しているんだろうけど、どうしたんだろうか?
「あぁ、お前達は知らないだろうな。黒翼は言ってしまえばゴロツキ共の集まりだ。王都に広がる組織の下っ端だな。この街でも金銭の巻き上げや暴力沙汰、人身売買、その他色々な犯罪に関与している」
成る程。前世でもあったけど、ギャングとかヤクザとかそういう感じなんだろう。
でも、そんな直接的に動いてるなら警察・・・異世界風に言えば騎士やら兵士やらが捕まえるんじゃないのか?
「え・・・と、そういうのは騎士様やら兵士様やらが捕まえるんじゃないんですか?」
「この街の兵士では奴らに反撃に合うだけであろう。組織の本部から援軍でも送られれば終わりだ。今は王都のギルドと睨み合っていて直接的な動きはないが、それこそ今回を契機に動いてくるやもしれんしな」
その組織とやらはかなりの力を持っていて、本部にはAランクを超える冒険者崩れや盗賊崩れがゴロゴロと存在しているらしい。
この町の支部にはBランクの冒険者が3人ほど目撃されているらしい。それも、かなり実力のある者だそうだ。
「しかし、王都から正式に掃討の依頼が下されてな。こちらの街に在籍している実力のある冒険者に指名依頼を出してはいるんだが・・・」
「当然、受ける者はいません。相手は支部とは言っても組織の一派ですからね。目を付けられて葬られでもしたらそれこそ終わりです」
ユリィタさんがギルド長の後に続いて話を続ける。
あぁ、この街にある組織の下っ端を潰したとなれば、必然的に王都の本部からカナンが目を付けられる。
しかも、その下っ端を潰した冒険者がここにいるとなれば、組織に泥を塗ったとして、下っ端を潰した冒険者達に報復がなされるかもしれない・・・と。
報酬とリスクが釣り合っていない・・・ハイリスク、ローリターンなわけだ。
そんな依頼に首を突っ込む冒険者なんているわけがない。
「で、俺達にも出て欲しいと?」
「すまないが、そういう事だ・・・」
ギルド長の顔を伺うに、今回も断られることを念頭に置いて話しているようだ。
どうやら俺たち以前に数十組にこの話を持ちかけているらしく、そのどれもが尽く断られているらしい。
王都から正式に掃討の許可・・・と言えば聞こえはいいが、「ちゃんと倒せよ・・・ニッコリ」と言った圧力が掛かっているせいで、どうにかしないといけないそうだ。
それに頭を抱えて、心労が加速度的に増しているのが現状である。
「あぁ、勿論お前達だけで行ってもらうなんて馬鹿な話はしない。人数が揃い次第、掃討に参加してもらう」
「人数が集まらなかった場合は?」
「・・・俺が、王都に直談判しに行くハメになる」
ギルド長の胃は大丈夫なのかな?この調子だといずれ穴が開くぞ。
今回掃を決行する要因としては、ここの街の下っ端組織が容認できる犯罪の度が過ぎた事が原因であるらしい。
人攫いからの人身売買、無力な人民への度重なる恐喝と暴力行為、以上の点からくる街の人民への影響。そして、王都の本部組織への少しの攻撃として決行するらしい。
「で・・・どうだ?」
「・・・もうしわk」
「分かりました。引き受けます」
サテラが断ろうとした瞬間、俺は一歩前に出て承諾の意を唱える。
それにはサテラも驚いたようで、ウェッ!?なんて声を上げていた。
うん・・・。まぁ正直頭にきてるんだよねぇ。
思い出したよ・・・黒翼。確か、あのチンピラ冒険者共がそんなことをほざいていたのをやっと思い出した。
そして・・・あの店主さんの「攫われた」・・・黒翼に攫われたってことだろう?
リスクを無視してまで、俺たちに良くしてくれた店主・・・オヤッサンに奴らが手を出したっていうのが気に入らない。
「・・・正気か?」
「もうひとつ聞いておきたいんだけど・・・俺とサテ・・・サミエルが商店で品を買った時に、値が異常に高くなるのはそいつらの?」
「・・・あぁその通りだ。お前達は、特にサミエルは奴らに目をつけられているな。昔にある冒険者のパーティーを断ったな。その冒険者が黒翼の息がかかった奴らだったのが原因だな」
あぁ、イライラしてきた。
正攻法でダメなら、嫌がらせして気を引こうまたは屈服させようってか?男子小学生が意中の女子の気を引こうと、嫌がらせするのと一緒じゃねーか!!
ある冒険者の誘いを断った・・・って、絶対ここに来た時にちょっかいを掛けてきたあいつらだよな。
あの俺の事をやたらと見下してきた筋肉達磨・・・あぁ!腹立つ!!
それに、俺のユキとキクに下卑た視線を向けてきたと思ったら、ミリエラの雄大な丘二つをガン見して、サテラの全身を舐め回すように見た後、胸を見て残念そうな顔をした後ろの小物共にも腹が立つ。
あの時に一応コッソリと周囲掌握を掛けてみたけど、筋肉達磨の平均ステータスは300くらいだったし、他の取り巻きは・・・ホブゴブリンくらいだったかな?
あの程度なら俺一人でコテンパンにできるわ!!
おっと・・・癖が発動しないように自粛せねば、『調子に乗ったら死んじまう』を胸に刻んで行動しなくてはまた死にかける。
あれがまだ黒翼?の主要メンバーだって決まったわけじゃない。
今必要なのは情報だ。
昔なんかのゲームで言っていたが、戦い方には幾つかのやり方がある。
圧倒的な火力を持って力押しで潰すか、策を練って狡猾に敵を潰すか、或いは両方か・・・。
圧倒的な火力を持っていれば敵が策を持っていてもそれを強引にねじ伏せることができる・・・が、敵が自分達よりも力がないという『情報』が必要だ。策を練るのにだって当然「情報」がいる。
敵がどれだけいるのか、組織の規模は如何程なのか、敵の強さはどれほどなのか、大将がだれなのか。
組織というものは潰した・・・と思っていても何らかのミスがあれば再興する恐れがある。そして、再構してしまうと一番怖いのが報復だ。
それを避ける為にもしっかりと力を持った連中は潰す必要がある。組織で働いている唯のチンピラでも盗賊になる可能性もあるしね。
可能であれば殲滅。無理であれば、出来うる限りの排除・捕縛だ。
「その下っ端組織の規模は?」
「あ、あぁ、細かな人員はわからんが150名はいると考えられる。敵の主力は元Bランク冒険者の三人で、二つ名こそ持たないが実力派なのは確かだ。後は強くてもDランク程度が10人と言った所だ」
「ランク別の平均のステータスってわかりますか?」
「・・・Dランクは平均100と言ったところか。いないとは思うが魔法使いや戦士によって差が出るぞ。Bランクは振れ幅が大きいがベテランともなれば400は下らんな」
成る程。
黒翼は下っ端といえどもかなりの勢力があるらしい。実力のある冒険者も在籍しているらしいが・・・Bランクってそんなステータスなのか、正直そんなステータスでよくベヒーモスを倒せるなって思う。
後で聞いた話だけど、基本ベヒーモスは狂走状態に陥る前にケリをつけるらしい。狂走状態に入ると逃げるのが普通だそうだ・・・。
敵は全員、ステータスはそれほどでもない・・・けどまだ懸念事項があるんだよな。
「その組織はどこにあるんですか?」
「はぁ・・・それが正確な位置はわからないんだ。この街のどこかにあるのは分かっているんだがな」
「え!? でも、それならどうやって?」
「シラミ潰しだ」
この依頼は受けてすぐに実行とはいかず、入念な下準備が必要になるらしい。
街の衛兵にも出動要請が下り、組織の正確な位置から、敵の潜伏している域等の調査から始まるそうだ。
周辺住民の避難やもしもの為の戦闘支援体制など、かなりの準備期間が必要らしい。
・・・ちょっと待てよこれって、俺ならなんとかできるんじゃないか?
周囲掌握でどうにかなるよな?
そういえば、結局人員が集まらなかったら王都に直談判しに行かなきゃダメなんだろう?
王都の兵士達は練度も高く、戦い方などは一流の域に達しているそうだけど、冒険者とステータスの差はさほどないらしい。
それに兵士というのは「軍」としての戦い方を徹底されている。冒険者は「個」であったり「群」での戦い方に適応している。
冒険者はアイテムや罠、頭を使った集団戦闘や個人での戦闘に長けているが、軍として戦っている兵士はそういった事に慣れていない・・・となれば、相手と力量はほぼ同じになっちゃうによなぁ。
と、なればだ。
今俺の頭に浮かんでいる考えがひじょーに最良な選択に思えてくるわけだ。
「ユガ君? 顔が変だよ?」
「ど、どういうつもりなの!?相手は戦闘のプロもいるし、私達よりも数は倍近く多いんだよ!!」
うん。わかっている。
だからこそ・・・この考えなんだよなぁ。
「依頼を遂行するにあたって一つ提案があります」
「・・・なんだ?言ってみてくれ」
「それは事実なのか?」
「全て事実です」
「・・・俄かに信じられん。しかし、それが本当なら・・・」
ギルド長は眉間の皺を揉みほぐしながらそう告げた。
「こちらも全力でサポートする。報酬の件も全面的に了承しよう。決行は二週間後だ」
「引き受けました」
俺はニヤリと悪い笑みを浮かべた。
次からは、『開拓編』クライマックスに差し掛かります!!
お楽しみに!!
再度皆様に『ハッピーバレンタイン!!』
今日の感想やメッセージはバレンタインの怨みや辛み、妬みや僻み受け付けます。
バレンタインデーなんて消えてなくなればいいんだという方はどしどし感想やメッセージをお送り下さいませ。
また、チョコを貰えなかった人は、静かな部屋でこの作品を見返して、
ディーレ、ユキ、モミジ、キク、ルリ、シロタエ、ヨウキに癒されてください。
キャラを想像しながら耳かき音声を聞くなどをオススメ致します。
貰えた人はそのチョコをバリバリと貪りながらこの作品を見返して下さい。




