初めての共同作業(意味深)-1
「…どうして、小雪さんとペアなんですか…?」
「お前ら仲良いだろ。頑張れよ。」
仲良い…、うん、仲良しなんだろうねきっと。端から見たら。
「流石桜ちゃん、最高だぜ!!陽菜ちゃんとペアとか燃 え て き た !!!」
ほらー、一人もう盛り上がってきちゃってるじゃないですか。
私こういうの苦手なのに…。
「その呼び方止めろって言ったよな、新海ィ?お前の耳は飾りかぁ?オイ。」
「んー、よく分からない!!キャハッ☆ミ」
「お前が生徒じゃなかったら問答無用で殴ってるんだがな。本当残念だよ。」
先生も気苦労が絶えませんね。私程じゃありませんが。
そんなに怒ると皺が増えますよ?とは口が裂けても言えなかった。
そういえば、先生を紹介するのを忘れていた。
彼女は西園寺桜子。とても可憐な名前だけど、性格はとってもキツイ人だ。
生徒からの愛称は桜ちゃん。本人の前で呼ぶのは小雪さんぐらいのものだけど…。
というか名前と性格の差違が存在する人多いですね。名は体を表すなんて嘘っぱちです。
とはいえいい先生なのは確かだ。生徒思いだし、基本的には優しい。
怒った時のことは想像にお任せします。
「…とにかく、体育祭の二人三脚はお前らペアだからな。日向、こいつのリードちゃんと持っとけよ。」
「…自信無いですね…。」
だって、『あれ』ですよ…。あれ相手に優位に立つ人なんてこの世に存在するかも怪しいです…。
「そうと決まれば練習だね!!SASUKEで鍛えた私の実力見せてやるぜ!!行くよ、陽菜ちゃん!!」
何かのスイッチが入ってしまった小雪さんに首根っこを掴まれ、抵抗する間もなく連行される。
というか本当にSASUKE好きですよね。というかやったことあるんだ。
「…あいつも気苦労が絶えんな…。」
先生、そう思うなら助けてください。いつか私死にますよ?
首根っこを掴まれた状態から、私の体勢はお姫様抱っこをされる形へと移行する。
やだ、イケメン。でも怖いから下ろして。
「グラウンドへ直行するよー!!!レッツゴー!!☆ミ」
そしてあろうことか、開いていた窓から飛び出した。
余談だが、私達二年生の教室は四階にある。
先程まで教室で話ていたのでさっきまで四階にいたのだ。
そう、四階にいたのだ…。
「え、え、えぇぇぇぇ!!!何でぇぇ!!!???」
「これが一番近いのサ!!しっかり捕まっててよー!!」
私の脳裏を走馬灯が過る。…あぁ、あんなことこんなことあったなぁ…。
どんどん地面が近付いてくる。その時間は永遠にも感じられた。
「グラウンドにとうちゃーく!!…あれ、どうしたの陽菜ちゃん?そんな青い顔してー!!可愛いお顔が台無しだよ☆ミ」
そして見事に着地した。本当にこの人人間かどうか疑わしい。
「死ぬかと、思いました…。馬鹿なんですか?四階から飛び降りるとか…。」
「SASUKEやってれば余裕だよ~!!」
SASUKEって凄い。改めてそう思った。