冷たくて熱い出会い-2
「次は!?次はどこに行くの!?私はまだまだいけるよーッ!!!」
「はぁ、はぁ、ちょっと、待って、くださいよ、小雪さん…。」
授業中は静かだった。授業中『は』。
昼休みのチャイムが鳴った瞬間、いきなり教室の外に連れ出された。
校舎を走り回り、取り敢えず一階を回って今に至る…。
「陽菜ちゃん、そんなんじゃダメだZE☆もっと体力つけないと!!HEY!」
学校案内に、体力が必要だったことを初めて痛感した。いや、多分ほとんど使わないはずなんだけど。
「学校は、走っちゃいけないんですよ…?」
この道中で何回私が何度注意されたことか…。小雪さんが無駄に速いから…。
「細かいことは気にしない!!ほら、次はどこ!?」
…頭が痛くなってきた…。会話ってこうも受け取ってもらえないものだったっけ…。
「つ、次は…図書室ですね。」
二階で教室以外で生徒が利用できる場所はここだけだ。
流石に図書室なら、この人も静かになることだろう…。
私もよく利用するから出禁だけにはならないでほしい。
「邪魔するよー!!Library!!」
もうダメだ。他人のふりしよう。
「ほら、陽菜ちゃんも来てよー!!本がわんさかあるよー!!☆ミ」
…知り合いだと思われてはいけない…!!
しかし、その努力も空しく腕を掴まれ…。
させるかーッ!!!ふざけんな!!
掴まれた瞬間、逆に腕を掴み返す。
人間追い込まれた時は普段以上の力が出せるものだ。
「おわっ!?やりますね、陽菜ちゃん!!負けないよ!☆ミ」
発言はスルーして、一気に駆け出す。
人気の無い廊下まで連れていき、そこで一息つく。
そして周りに誰もいないことを確認して、大きく息を吸う。
「何さらしとんじゃ、このクソアマァァァ!!!ふざけんな!!!私の憩いのオアシスで!!ちょっとは落ち着け、そして言うこと聞けや単細胞ミトコンドリアがぁぁ!!!!!」
…キレたのはいつ以来だっただろうか。
普段人と喋らない分鬱憤が溜まっており、それが今一気に放出された。
「はぁ、はぁ…」
「…陽菜ちゃん…」
小雪さんは俯いてしまっている。ヤバい、ちょっと言い過ぎたか。そしてドン引きされたか…。
今までとのギャップがありすぎた。我に返った時にはもう遅い。
「あ、ご、ごめ…「超☆インタラスティング!!」…は?」
目の前の女子高生から放たれた言葉は私の耳わ右から左へ完全に突き抜けていった。
「超☆エキサイティングだよ、陽菜ちゃん!!」
「は、え…?」
「陽菜ちゃんは面白い人だったんだねー!!新たな一面が知れて私満足!☆ミ」
…あれを面白いというのか…。
そういうこと言う、あなたが一番面白いと思う…。
と口にはしなかったが、可笑しくなり少しだけ笑みが溢れる。
「おっ?初めて笑ってくれたね!!小雪感☆激!!」
「はい。ごめんなさい、小雪さん…。」
ただのウザい人じゃなかったんだ、この人…。