全てを萌えさせる焔-4
「屋上にとうちゃーく!! きもてぃーー!!」
「うっ、食欲が…」
急に訪れた浮遊感に、一気に体調が悪くなる。あれー、数分前までペコペコだったお腹が気圧の変化でベコベコです。
「さーて、ケバブするよー!! レッツメキシカン!!」
メキシコ関係無いんだよなぁ…。でもそうなんじゃないかと感じる程の勢い。凄いなぁ、本当にこの人は。
背中に背負っていたケバブセットに、既に肉は備え付けられていたが明らかに二人で食べきれる量じゃないんですよ。
「あ、あの…」
「あ、火忘れた!! まぁ、石あるから大丈夫っしょ!! ファイヤー☆」
「マッチ使いましょう、マッチ。原始人じゃないんですから」
呆れるほどに話が進まない。だって正常な思考してたら火打ち石で火はつけませんよ。あ、ついた。
「あ、あの!!」
「これから毎日ケバブ焼こうぜ!! …ん? どうしたんだい、お嬢さん?」
「あなたは、同じクラスの…」
準備でわちゃわちゃしているところに、少しだけ見かけたことのある少女が私達に声をかけてくる。
燃えるような赤い髪を持った、少女のように幼い顔立ちの少女。伸長は150くらいか。
「えっと、僕、秋月 焔っていうんだけど…。僕も一緒に食べてもいいかな? ケバブ、凄く好きなんだよね…」
…可愛い。なんというか、この全身から溢れる小動物オーラが凄く愛らしい。
そして驚くべきはその行動力。よくここまで来て、この人に話しかけられますね…。
「いいよいいよ!! 多分10人前くらいあるから!!」
「皆で食べた方が美味しいですからね。前の人の言うことが本当なら食べきれないですし」
「本当に!? ありがとう~!! 実は今日お弁当忘れて困ってたんだよね」
えへへ、と照れ笑いする秋月さん。なんだこれ、可愛すぎだろ。
そして喋ってる合間にも焼いていたケバブがそろそろ丁度良い頃合いだ。
「よーし、そろそろ切るよー!! これをやるのが夢だったんだよね!!」
「…何でここまでセットがあって切るのは果物ナイフなんですか…」
その明らかに短い刀身で器用に切っていくのだから、またこの人の底は知れない。もうツッコミ入れるのやめようかな。
「あはは! 二人は仲良いんだね。ちょっと羨ましいな…」
「仲良い、というか…。まぁ、そうですね」
「羨ましいことないぜよ!! 今日からほむほむも私達の友達だからね!! ケバブ食ったら皆友達だよ!!」
右手にパンで挟んだケバブを持ち、左手は親指を立てている小雪さんは殴りたいくらいドヤ顔だった。
「!! 僕も、友達になっていいの…?」
「はい。これからよろしくお願いしますね、秋月さん」
そう言いながら、私は握手の為に右手を伸ばす。それを、秋月さんは快く握り返してくれた。
何はともあれ、私と友達になってくれるならそれは大歓迎だ。だって、今のところ小雪さんしかいないですからね!!




