全てを萌えさせる焔-3
「あの、小雪さん。屋上に行くんですよね…?」
「うん、そうだよー!!昨日ぶりの屋上ランチタァイム!!」
おかしいな、なら何で私達は下に向かってるんだろうか。
屋上って言うくらいなのだから、それは勿論上に存在するはずなんですよ。
…どうして、階段を下ってるんですかね、この人は…。
「こ、小雪さん…屋上は上の階ですよ。そっちは校庭です。」
「分かってるよ~。今日はこっちから行くの!!」
「???」
何か校庭の方に用事でもあるのだろうか。でなければ、こっちに来る必要なんて…。
余談ではあるが、私が通っている学校は4階建て。つまり、屋上は5階の位置に相当する。
まぁ、私達は今そこからどんどん遠ざかっているわけですが…。
校庭に出ると、小雪さんはおもむろに準備運動を始める。…ケバブセットを背負いながら。
果たして食事に準備運動は必要なのだろうか。この人の考えることはよく分からない。
「よーし、準備おっけーだよ!! さっ、陽菜ちゃんこっちこっち!!」
「?? そっちに、何かあるんですか?」
準備運動を終えた小雪さんは私に手招きをしてくる。何か見つけたのか、それとももうここで食べるのか…。
小雪さんとの距離が1メートルを切ったところで、私の身体は急に浮遊感に襲われる。
一瞬の出来事だった。手を掴まれたと思ったら、頭が横向いて視界がおかしなことになっていた。
私の背中と膝の後ろには、小雪さんの白くて綺麗な手。あれ、もしかして私…
「ちょ、またお姫様抱っこですか!?もうご勘弁を…」
慌てて小雪さん顔をみると、これまたいい笑顔をしているんですよ。ええ、本当に。
「一度やってみたかったんだよねー!! 人抱えて跳ぶの!!」
「え?ま、まさか…」
私の頭に最悪の考えが浮かぶ。いや、いくらこの人が規格外っていっても流石に…
「そんじゃ、行くよーー!!! ショートカッツ!!!! いぇあ!!! 」
小雪さんがそう叫んだと同時に、凄まじい風を感じた。これは、吹いた風じゃない。というかどっちかというと風は私達だ。
そして、私はこう思ったんです。あ、死んだなと。
「一瞬の風になれ!!」
「どうしたらこの発想に至るのか、頭覗いて見たいですよ…」
地面から、屋上への跳躍。0から100へ。人が到達し得ない領域へ。
私達がこれからなりそうなのは、一瞬の風ではなく千の風だと思います…。




