貧民街
あれから、私たちはいろいろあって話しにならなくなってしまいレインバーグ伯爵からの話しはまた今度という事になった。
そして、今私たちは貧民街の北部に来ている。
勿論、ヴァルさんたちと昨日話した金銭的なお話しをする為だ。
金銭的なお話と言ってもお金を渡して働く場所を探すと言った感じなのだけれどね。
「姫様、着きましたよ。これ以上、馬車は入れないのでここで降りて頂く事になるのですが..........。」
「大丈夫よ。少しの間歩くだけだもの。」
街並みはお世辞にも綺麗とは言い難いわね。
そして、何より人が多すぎる。
これは、マズイわね。
早く話しを終えて帰らないとね。
じゃないと、気を緩めてしまいそう。
私たちがしばらく歩いているとヴァルさんが家から出て来たのを見かけた。
「ヴァルさん!約束通りに来ましたよ。」
「はぁ!?ま、マジで来たのかよ..........。」
「何か問題でもありましたか?もしかして、予定を伺った方が良かったでしょうか?」
「いや、それは大丈夫なんだが..........。」
「お〜い、ヴァル!一体、何をしてん..........だ........!って、は?この子って確かあの時の子供!?何でここに!?ここは危ないから早く帰った方が良いよ!」
「確かに危険なところですね。人が多すぎて困ります。」
「え?い、いや、そういう事じゃなくて..........!」
「本当に申し訳ありませんが早く家にあげてもらえないでしょうか?そろそろ本当にキツいので...........!」
「あ?どうかしたのか?顔が真っ青だが?」
「いえ、大丈夫です。お気になさらずに.........!」
「だがな..........。」
「...........端的に言います。私はまだ会って数日の人に弱みを握らせるような事を言う程バカではありません。」
「あ、あぁ.........。すまないな。」
っ、しまった!
昔の癖で...........!
もう、私はあの時の私じゃないのに.........!
「ア、アイシア..........?大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫よ..........。」
最悪ね。
まさか、こんな事で失敗するなんて.........。
ころだから、人が多いところは嫌なのよ。
「ここに座ってくれ。茶菓子がないのは許してくれ。」
「いえ、お気になさらずに...........。」
「んで、お前たちは何しに来たんだ?ただ、金を渡しに来たようには見えないんだがな。」
「ふふ、察しが良くて助かります。実はあなた方を私の私兵として雇いたいと思いましてね。本当は騎士が良かったのですが残念ながら私の立場では騎士をそう簡単には雇えませんからね。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!お前は一体、何者だ?」
「..........そういえば、話していませんでしたね。遅くなりましたが私の名前はアイシア・フィン・フリージアと申します。どうぞ、気軽にアイシアとお呼びください。」
「はぁ!?お、皇女殿下だと!?」
「っ、た、大変申し訳ございません!まさか、皇女殿下だったとは知らずに不敬な態度をとってしまいました!」
「.........気にしていませんよ。私が意図的に隠していたのですから逆に気づいてもらっては困ります。それより、頭を上げてください。私にはみなさんを処刑する権力を持ち合わせてはいませんのでどちらにしろ刑に処す事はできません。」
「..........そう、だったな。」
もう、貧民街にも噂が出回っているみたいですね。
思ったより用意周到みたいですね。
次は一体、何をしてくるのでしょうか.............。
暇つぶしになる方だと良いのですがね。
「さすがに、貧民街でも噂は出回っていましたか...........。」
「あ、す、すみません........!」
「いえ、気にしていませんので.........。それに、私が止められるのに止めようとしないのがいけないですしね。」
「..........殿下は本当に子供か?」
「ちょ、ヴァル!?」
私ってそんなに年老いているように見えるのでしょうか?
やはり、子供らしさというものは表現しにくいですね。
少しはバイスを見習うべきでしょうか?
「いえ、あなた方も楽な喋り方をしてもらっても大丈夫ですよ。それで、私が子供かと聞かれましたが残念ながら私はただの子供ですよ?年齢は12くらいな筈です。」
「..........マジか..........。」
「嘘だろ?あんなに落ち着いてるのにか!?」
「こっちが嫌なら明るい方にしますがどちからが良いですか?」
「え?いや、それを俺たちに聞かれてもな...........。」
「それより、敬語をやめてくれないか?俺たちはただの平民でアンタは皇女様だ。」
その価値観は仕方ないとは言え不愉快ですね。
でも、だからこその貴族への恐怖や憎悪ですか...........。
余りにもこの世界は腐っている。
あの世界よりも............。
「理解はしましたが納得は出来ませんね。その価値観は余りにも不愉快ですね。私はお飾りの皇女です。まるで、私がお父様から認められたみたいな感覚に陥るのでやめてください。」
「............な、なんか悪いな。」
「いえ、私の方こそ申し訳ありませんでした。では、あなたたちの心臓が止まる前に私が敬語を外した方が良いみたいですね。」
「分かってくれて何よりだよ。」
「頭はそこまで悪くはないからね。」
それに、あの子にも言われたから...........。
あの時の私は理解出来なかったから結局敬語のままだったけれど............。
「それより、改めてだけど私の私兵になってくれないかしら?給金も保証するわ。」
「俺はその話しに乗るぜ?こんな上手い話に乗らない手はねぇからな。」
「普通はそこが怪しくて受けない人が多いと思うわよ。」
「じゃあ、この話しは嘘なのかよ?」
「それはないわ。私はあなたたちを信頼して言ってるもの。でも、裏切ったら覚悟はしておいた方が良いわよ?」
「お、おぉ...........。そうか...........。」
「俺もその話しに乗るよ。意外に面白そうだしね。」
「じゃあ、他の奴らも呼んでくるか..........。」
...........ほ、他の奴ら?
この家にはまだ人がいるの?
い、いくらなんでも多すぎないかしら?
「ち、ちなみに、後何人くらいいるのかしら?」
「8人くらいじゃねぇか?」
「こ、ここには11人も住んでいるのね..........。」
無理、無理!
絶対に無理!
こんな狭いところで11人もの人とお話しするなんて..........!
...........そうだ!感情を殺せば良い!
それなら、恐怖は感じないもの..........!
「よし。これで、全員揃ったな。」
「助かりました。では、皆様に自己紹介させていただきますね。私はアイシア・フィン・フリージアと申します。一応、この国の第一皇女をさせていただいております。」
「お、皇女様...........!?」
「それでは、本題に移させて頂きます。皆様には本日より私の私兵団になっていただきます。」
「し、私兵団...........!?」
それから、私はヴァルさんを見てヴァルさんが内容を説明してくださいました。
「という事だ。順番に名前を言っていけ。」
「.........ヴァル兄本気なの?よりにもよって、第一皇女の私兵団なんて...........!俺は嫌だよ!貴族の奴らみたいに俺たちを使い潰す気だよ!」
「..........僕も反対。」
「ふふ、見事に反対派の方が多いですね!貴族はだから嫌みたいな方が多いみたいですしね。」
「姫様、これでは私兵団になる話しが白紙に戻ってしまいますよ!?」
「そうだぞ?今、楽しんでいる場合ではないんだぞ!?」
楽しんでる、か...........。
別に遊んでるわけではないのですがね。
「ていうか、信用ないよ?だって、この人瞳に光がないし。絶対に裏の人だよ。」
「裏の人とはどういう事ですか?」
「あー、殿下が知る必要はねぇよ。」
「そうですか..........。ですが、あなた方の意見は不愉快です。私をあんな腐った貴族の方々と一緒にしないで頂きたいですね。貴族にだって優しいお方はいらっしゃるのですから。それを、あなた方はその方たちをよく知りもしないで罵って..........!あなた方がやっているのはあなた方が嫌う腐った貴族と一緒ですよ?よく知りもしないのに友達の事を罵られたらムカつくでしょう?今の私はそういう感じなのです。分かりましたか?あなた方がどれ程までに貴族の人たちを見下しているのかが...........。」
『............。』
「あなた方には大切な人たちがいるのですからちゃんとその人たちを守る術を見つけなさい。貴族たちへの憎悪も大切な人たちを守る為に利用しなさい!それが、出来ないのならこの優しい方たちを傷つける者がいるなら私はそんな人たちを許しません!」
『..............!』
何かに気づいたようですね。
あの人たちが愚かではなくて助かりました。
この方たちとは仲良く出来そうですね。
今回ま読んで頂きありがとうございます!
次回も楽しみに!




