表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/80

回収会議

中華民国 北京・総統府 1916年3月初頭


玉座のような大椅子に袁世凱が静かに座していた。広間には少数の側近と幕僚のみが集められている。外はまだ早春の寒風が吹いていたが、室内の空気はそれ以上に冷えていた。


袁の目の前に、ドイツ帝国から届いた一通の暗号電報が広げられている。



袁世凱(沈黙のまま書簡に目を走らせながら)

「……ドイツは、我が国が対日参戦するならば、戦後、満洲及び青島の領有を認める……とな。」


楊度(政務顧問)

「総統、これは……信じるに値するのでしょうか? 青島は確かにドイツの租借地でしたが、すでに日本が占領しております。」


段祺瑞(陸軍総長)

「だが、これは好機とも言えましょう。これまで日本は欧州戦争に乗じて、我らの顔を踏みにじり、満洲をも事実上の属州と化している。このまま見過ごせば、中華に未来はありません。」


袁世凱(目を閉じて)

「……我が国は国際的に孤立している。日本の影に怯えるまま、列強の傀儡で終わってよいのか? ドイツと手を結ぶことは、もはや選択肢ではなく、生き残るための唯一の道だ。」


陳宦(参謀本部副総長)

「しかし、兵站は脆弱であります。補給線も、歩兵の訓練水準も、日軍に劣る部分は否めません。もし戦線が長引けば、我らは——」


段祺瑞(語気を強めて)

「それは訓練と意志で補える。我らには“国家を取り戻す”という大義がある!」


楊度(やや抑えた口調で)

「……この“ツェンメルマン電報”、確かに正式な外交ルートではありません。しかしドイツは我らに再び“列強”としての地位を与えようとしている。これは、袁公が“中華皇帝”として即位するにふさわしい条件でもあります。」


袁世凱(目を開き、静かに立ち上がる)

「——よかろう。」


(しばし沈黙)


「時は来た。日本が我らを侮辱した以上、戦いに臨む覚悟はできている。全国に動員令を発し、満洲奪回の戦端を開け。」


段祺瑞・陳宦

「はっ!」


袁世凱(低くつぶやくように)

「……これは“第二の甲午”ではない。“乾隆の遺業”を我が手で復するのだ。」



こうして、1916年3月、中華民国政府は対日宣戦布告を決定し、3ヶ月後、満洲国境に向けて中華民国軍が進軍することとなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ