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序
青白い月が、荒れ野を冴え冴えと晴らしている。
苔と僅かな草、白まだらの地を除けば、濃藍の闇だけが果てしなくひろがる。
吹く風は絶えず、やまず、ぴりぴりと冷たい。這う草のあいだを横切るのは、うごめく虫か、ころがる土くれか、夜と風のなすまぼろしか。
頭から膝下まで、すっぽり覆う上掛けに、口もとと冷えきった鼻先をかくしながら、娘はふたつの眼をさらし、闇のはるかを見通している。
その眼を、ちらと空の央へむける。闇よりあかく、土よりくらい色の瞳が、ただひとつの光を受け、きらめく。
青白い月が、荒れ野を冴え冴えと晴らしている。
苔と僅かな草、白まだらの地を除けば、濃藍の闇だけが果てしなくひろがる。
吹く風は絶えず、やまず、ぴりぴりと冷たい。這う草のあいだを横切るのは、うごめく虫か、ころがる土くれか、夜と風のなすまぼろしか。
頭から膝下まで、すっぽり覆う上掛けに、口もとと冷えきった鼻先をかくしながら、娘はふたつの眼をさらし、闇のはるかを見通している。
その眼を、ちらと空の央へむける。闇よりあかく、土よりくらい色の瞳が、ただひとつの光を受け、きらめく。